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第18章 ドビーのごほうび 6

しもべ妖精はまったく奇妙なことをしていた。大きな目で、いわくありげにハリーの方をじっと見て、日記を指差しては次にマルフォイ氏を指差し、それから拳で自分の頭をガンガン殴りつけるのだ。

「なるほど…」マルフォイ氏はしばらく間を置いてから言った。
「狡猾な計画じゃ」ダンブルドアはマルフォイ氏の目をまっすぐ見つめ続けながら、抑揚を押さえた声で続けた。
「なぜなら、もし、このハリーが__」
マルフォイ氏はハリーにチラリと鋭い視線を投げた。
「友人のロンとともに、この日記を見つけておらなかったら、おぉ__ジニー・ウィーズリーがすべての責めを負うことになったかもしれん。ジニー・ウィーズリーが自分の意思で行動したのではないと、いったい誰が証明できようか…」
マルフォイ氏は無言だった。突然能面のような顔になった。

「そうなれば」ダンブルドアの言葉が続いた。
「いったい何が起こったか、考えてみるがよい…。ウィーズリー一家は純血の家族の中でも最も著名な一族の一つじゃ、アーサー・ウィーズリーと、その手によってできた『マグル保護法』にどんな影響があるか、考えてみるがよい。自分の娘がマグル出身の者を襲い、殺していることが明るみに出たらどうなったか。幸いなことに日記は発見され、リドルの記憶は日記から消し去られた。さもなくば、いったいどういう結果になっていたか想像もつかん…」

マルフォイ氏は無理やり口を開いた。
「それは幸運な」ぎこちない言い方だった。
その背後で、ドビーはまだ指差しを続けていた。まず日記帳、それからルシウス・マルフォイを指し、それから自分の頭にパンチを食らわせていた。

ハリーは突然理解した。ドビーに向かって頷くと、ドビーは隅の方に引っ込み、自分を罰するのに今度は耳をひねりはじめた。
「マルフォイさん。ジニーがどうやって日記を手に入れたか、知りたいと思われませんか?」
ハリーが言った。

ルシウス・マルフォイがハリーの方を向いて食ってかかった。
「バカな小娘がどうやって日記を手に入れたか、私がなんで知らなきゃならんのだ?」
「あなたが日記をジニーに与えたからです」ハリーが答えた。
「フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で。ジニーの古い『変身術』の教科書を拾い上げて、その中に日記を滑り込ませた。そうでしょう?」
マルフォイ氏の蒼白になった両手がギュッと握られ、また開かれるのを、ハリーは見た。

「何を証拠に」食いしばった歯の間からマルフォイ氏が言った。
「あぁ、誰も証明はできんじゃろう」ダンブルドアはハリーの方に微笑みながら言った。
「リドルが日記から消え去ってしまった今となっては。しかし、ルシウス、忠告しておこう。ヴォルデモート卿の昔の学用品をバラまくのはもうやめにすることじゃ。もし、またそのたぐいの物が、罪もない人の手に渡るようなことがあれば、誰よりもまずアーサー・ウィーズリーが、その入手先をあなただと突き止めるじゃろう…」

ルシウス・マルフォイは一瞬立ちすくんだ。杖に手を伸ばしたくてたまらないというふうに、右手がピクピク動くのが、ハリーにははっきりと見えた。しかし、かわりにマルフォイ氏はしもべ妖精の方を向いた。
「ドビー、帰るぞ!」
マルフォイ氏はドアをぐいっとこじ開け、ドビーが慌ててマルフォイのそばまでやってくると、ドアのむこう側までドビーを蹴飛ばした。廊下を歩いている間中、ドビーが痛々しい叫び声をあげているのが聞こえてきた。ハリーは一瞬立ち尽くしたまま、必死で考えを巡らせた。そして、思いついた。

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