見出し画像

第17章 猫、ネズミ、犬 8

ブラックは天蓋付ベッドの方に歩いていき、震える片手で顔を覆いながらベッドに身を埋めた。クルックシャンクスがベッドに飛び上がり、ブラックのかたわらに寄り、膝に乗って喉を鳴らした。
ロンは脚を引きずりながら、その両方からジリジリと離れた。

「わたしはシリウスの手引きはしていない」ルーピンが言った。「わけを話させてくれれば、説明するよ。ほら__」
ルーピンは三本の杖を一本ずつ、ハリー、ロン、ハーマイオニーのそれぞれに放り投げ、持ち主に返した。
ハリーは、呆気あっけにとられて自分の杖を受け取った。
「ほーら」ルーピンは自分の杖をベルトに挟み込んだ。
「君たちには武器がある。わたしたちは丸腰だ。聞いてくれるかい?」
ハリーはどう考えていいやらわからなかった。罠だろうか?

「ブラックの手助けをしていなかったっていうなら、こいつがここにいるって、どうしてわかったんだ?」
ブラックの方に激しい怒りの眼差しを向けながら、ハリーが言った。
「地図だよ」ルーピンが答えた。「『忍びの地図』だ。事務所で地図を調べていたんだ__」
「使い方を知ってるの?」ハリーが疑わしげに聞いた。
「もちろん、使い方は知っているよ」ルーピンは先を急ぐように手を振った。「わたしもこれを書いた一人だ。わたしはムーニーだよ__学生時代、友人はわたしをそういう名で呼んだ」
「先生が、書いた__?」
「そんなことより、わたしは今日の夕方、地図をしっかり見張っていたんだ。というのも、君と、ロン、ハーマイオニーが城をこっそり抜け出して、ヒッポグリフの処刑の前に、ハグリッドを訪ねるのではないかと思ったからだ。思った通りだった。そうだね?」
ルーピンは三人を見ながら、部屋を往ったり来たりし始めた。その足元で埃が小さく塊になって舞った。
「君はお父さんの『透明マント』を着ていたかもしれないね、ハリー__」
「どうして『マント』のことを?」
「ジェームズがマントに隠れるのを何度見たことか……」ルーピンはまた先を急ぐように手を振った。「要するに、『透明マント』を着ていても、『忍びの地図』にあらわれるということだよ。わたしは君たちが校庭を横切り、ハグリッドの小屋に入るのを見ていた。二十分後、君はハグリッドのところを離れ、城に戻りはじめた。しかし、今度は君たちのほかに誰かが一緒だった!」

「え?」ハリーが言った。「いや、僕たちだけだった!」
「わたしは目を疑ったよ」ルーピンはハリーの言葉を無視して、往ったり来たりを続けていた。
「地図がおかしくなったかと思った。あいつがどうして君たちと一緒なんだ?」
「誰も一緒じゃなかった!」ハリーが言った。
「すると、もう一つの点が見えた。急速に君たちに近づいている。シリウス・ブラックと書いてあった……ブラックが君たちにぶつかるのが見えた。君たちの中から二人を『暴れ柳』に引きずり込むのを見た__」
「一人だろ!」ロンが怒ったように言った。
「ロン、違うね」ルーピンが言った。「二人だ」
ルーピンは歩くのをやめ、ロンを眺め回した。
「ネズミを見せてくれないか?」ルーピンは感情を抑えた言い方をした。
「なんだよ?スキャバーズになんの関係があるんだい?」
「大ありだ」ルーピンが言った。「頼む。見せてくれないか?」

ロンはためらったが、ローブに手を突っ込んだ。スキャバーズが必死にもがきながら現れた。逃げようとするのを、ロンはその裸の尻尾を捕まえて止めた。クルックシャンクスがブラックの膝の上で立ち上がり、低く唸った。

ルーピンがロンに近づいた。じっとスキャバーズを見つめながら、ルーピンは息を殺しているようだった。
「なんだよ?」ロンはスキャバーズを抱き締め、おびえながら同じことを聞いた。
「僕のネズミがいったいなんの関係があるって言うんだ?」
「それはネズミじゃない」突然シリウス・ブラックのしわがれ声がした。
「どういうこと__こいつはもちろんネズミだよ__」
「いや、ネズミじゃない」ルーピンが静かに言った。「こいつは魔法使いだ」
「『動物もどきアニメーガス』だ」ブラックが言った。「名前はピーター・ペティグリュー「

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?