第十二章 みぞの鏡 1
もうすぐクリスマス。十一月も半ばのある朝、目覚めればホグワーツは深い雪におおわれ、湖はカチカチに凍りついていた。 魔法をかけた雪玉を数個クィレルにつきまとわせ、ターバンの後ろでポンポンはね返るようにしたという理由で、双子のウィーズリーが罰を受けた。猛吹雪をくぐってやっと郵便を届けた数少ないふくろうは、元気を回復して飛べるようになるまで、ハグリッドの世話を受けていた。
みんなクリスマス休暇が待ち遠しかった。グリフィンドールの談話室や大広間にはごうごうと火が燃えていたが、廊下はすき間風で氷のように冷たく、身を切るような風が教室の窓をガタガタいわせた。 最悪なのはスネイプ教授の地下牢だった。吐く息が白い霧のように立ち昇り、生徒たちはできるだけ熱い釜に近づいて暖を取った。
「かわいそうに」
魔法薬の授業のとき、ドラコ・マルフォイが言った。
「家に帰ってくるなと言われて、クリスマスなのにホグワーツに居残るやつがいるんだね」
そう言いながらハリーの様子をうかがっている。 クラッブとゴイルがクスクス笑った。カサゴの脊椎の粉末を計っていたハリーは、三人を無視した。 クィディッチの試合以来、マルフォイはますますいやなやつになっていた。 スリザリンが負けたことを根に持ってハリーを笑いものにしようと、「次の試合には大きな口の『木登り蛙』がシーカーになるぞ」とはやしたてた。
誰も笑わなかった。乗り手を振り落とそうとした箒に見事にしがみついていたハリーに、みんなとても感心していたからだ。 妬ましいやら、腹立たしいやらで、マルフォイは、また古い手に切り替え、ハリーにちゃんとした家族がないことをあざけった。
クリスマスにプリベット通りに帰るつもりはなかった。先週、マクゴナガル先生が、クリスマスに寮に残る生徒のリストを回したとき、ハリーはすぐに名前を書いた。 自分が哀れだとは全然考えなかったし、むしろ今までで最高のクリスマスになるだろうと期待していた。ロンもウィーズリー三兄弟も、両親がチャーリーに会いにルーマニアに行くので学校に残ることになっていた。
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