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第18章 ドビーのごほうび 4

「まずは、ハリー、お礼を言おう」ダンブルドアの目がまたキラキラと輝いた。
「『秘密の部屋』の中で、君はわしに真の信頼を示してくれたに違いない。それでなければ、フォークスは君のところに呼び寄せられなかったはずじゃ」
ダンブルドアは、膝の上で羽を休めている不死鳥を撫でた。ハリーはダンブルドアに見つめられ、ぎごちなくニコッとした。
「それで、君はトム・リドルに会ったわけだ」ダンブルドアは考え深げに言った。
「たぶん、君に並々ならぬ関心を示したことじゃろうな…」
ハリーの心にしくしく突き刺さっていた何かが、突然口をついて飛び出した。
「ダンブルドア先生…。僕がリドルに似ているって彼が言ったんです。不思議に似通っているって、そう言ったんです…」
「ほぉ、そんなことを?」ダンブルドアはふさふさした銀色の眉の下から、思慮深い目をハリーに向けた。
「それで、ハリー、君はどう思うかね?」
「僕、あいつに似ているとは思いません!」ハリーの声は自分でも思いがけないほど大きかった。
「だって、僕は__僕はグリフィンドール生です。僕は…」
しかし、ハリーはふと口をつぐんだ。ずっともやもやしていた疑いがまた首をもたげた。

「先生」しばらくしてまたハリーは口を開いた。
「『組分け帽子』が言ったんです。僕が、僕がスリザリンでうまくやって行けただろうにって。みんなは、しばらくの間、僕をスリザリンの継承者だと思っていました…僕が蛇語が話せるから…」
「ハリー」ダンブルドアが静かに言った。
「君はたしかに蛇語を話せる。なぜなら、ヴォルデモート卿が__サラザール・スリザリンの最後の子孫じゃが__蛇語を話せるからじゃ。わしの考えがだいたい当たっているなら、ヴォルデモートが君にその傷を負わせたあの夜、自分の力の一部を君に移してしまった。もちろん、そうしようと思ってしたことではないが…」
「ヴォルデモートの一部が僕に?」ハリーは雷に打たれたような気がした。「どうもそのようじゃ」
「それじゃ、僕はスリザリンに入るべきなんだ」ハリーは絶望的な目でダンブルドアの顔を見つめた。

「『組分け帽子』が僕の中にあるスリザリンの力を見抜いて、それで__」
「君をグリフィンドールに入れたのじゃ」ダンブルドアは静かに言った。
「ハリー、よくお聞き。サラザール・スリザリンが自ら選び抜いた生徒は、スリザリンが誇りに思っていたさまざまな資質を備えていた。君もまたそういう資質を持っておる。スリザリン自身のまれに見る能力である蛇語…機知に富む才知…断固たる決意…やや規則を無視する傾向」
ダンブルドアはまた口髭をいたずらっぽく震わせた。
「それでも『組分け帽子』は君をグリフィンドールに入れた。君はその理由を知っておる。考えてごらん」
「帽子が僕をグリフィンドールに入れたのは」ハリーはうちのめされたような声で言った。
「僕がスリザリンに入れないでって頼んだからに過ぎないんだ…」
その通り」ダンブルドアがまたニッコリした。
「それだからこそ、君がトム・リドルと違う者だという証拠になるんじゃ。ハリー、自分がほんとうに何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということなんじゃよ」
ハリーは呆然として、身動きもせず椅子に座っていた。


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