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第18章 ドビーのごほうび 5

「君がグリフィンドールに属するという証拠が欲しいなら、ハリー、これをもっとよーく見てみるとよい」
ダンブルドアはマクゴナガル先生の机の上に手を伸ばし、血に染まったあの銀のつるぎを裏返した。ルビーが暖炉の灯りできらめいた。そのとき、つばのすぐ下に名前が刻まれているのが目に入った。

ゴドリック・グリフィンドール

「真のグリフィンドール生だけが、帽子から、思いもかけないこの剣を取り出してみせることができるのじゃよ、ハリー」ダンブルドアはそれだけを言った。
一瞬、二人とも無言だった。それから、ダンブルドアはマクゴナガル先生の引出しを開け、羽ペンとインク壺を取り出した。
「ハリー、君には食べ物と睡眠が必要じゃ。お祝いの宴に行くがよい。わしはアズカバンに手紙を書く__森番を返してもらわねばのう。それに『日刊予言者新聞』に出す広告を書かねば」ダンブルドアは考え深げに言葉を続けた。
「『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生が必要じゃ。なんとまあ、またまたこの学科の先生がいなくなってしもうた。のう?」

ハリーは立ち上がってドアのところへ行った。取っ手に手をかけた途端、ドアが勢いよくむこう側から開いた。あまりに乱暴に開いたので、ドアが壁に当たって撥ね返ってきた。

ルシウス・マルフォイが怒りをむき出しにして立っていた。その腕の下で、包帯でぐるぐる巻きになって縮こまっているのは、ドビーだ
「今晩は、ルシウス」ダンブルドアが機嫌よく挨拶した。
マルフォイ氏は、サッと部屋の中に入ってきた。その勢いでハリーを突き飛ばしそうになった。恐怖の表情を浮かべた惨めなドビーが、その後ろから、マントの裾の下に這いつくばるようにして小走りについてきた。

「それで!」ルシウス・マルフォイがダンブルドアを冷たい目で見据えた。
「お帰りになったわけだ。理事たちが停職処分にしたのに、まだ自分がホグワーツ校に戻るのにふさわしいとお考えのようで」
「はて、さて、ルシウスよ」ダンブルドアは静かに微笑んでいる。
「今日、君以外の十一人の理事がわしに連絡をくれた。正直なところ、まるでふくろうのどしゃ降りに遭ったかのようじゃった。アーサー・ウィーズリーの娘が殺されたと聞いて、理事たちがわしに、すぐ戻って欲しいと頼んできた。結局、この仕事に一番向いているのはこのわしだと思ったらしいのう。奇妙な話をみんなが聞かせてくれての。もともとわしを停職処分にしたくはなかったが、それに同意しなければ、家族を呪ってやるとあなたに脅された、と考えておる理事が何人かいるのじゃ」
マルフォイ氏の青白い顔が一層蒼白になった。しかし、その細い目はまだ怒り狂っていた。

「すると__あなたはもう襲撃をやめさせたとでも?」マルフォイ氏が嘲るように言った。
「犯人を捕まえたのかね?」
「捕まえた」ダンブルドアは微笑んだ。
「それで?」マルフォイ氏が鋭く言った。「誰なのかね?」
「前回と同じ人物じゃよ、ルシウス。しかし、今回のヴォルデモート卿は、他の者を使って行動した。この日記を利用してのう」
ダンブルドアは真ん中に大きな穴の開いた、小さな黒い本を取り上げた。その目はマルフォイ氏を見据えていた。しかし、ハリーはドビーを見つめていた。

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