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第十七章 二つの顔をもつ男 5

ハリーのすぐ上で何か金色の物が光っていた。スニッチだ!捕まえようとしたが、腕がとても重い。

瞬きをした。スニッチではなかった。めがねだった。おかしいなあ。

もういっぺん瞬きをした。ハリーの上にアルバス・ダンブルドアのにこやかな顔がすうっと現れるのが見えた。
「ハリー、こんにちは」
ダンブルドアの声だ。ハリーはダンブルドアを見つめた。記憶がよみがえった。
「先生!『石』!クィレルだったんです。クィレルが『石』を持っています。先生!早く…」
「落ち着いて、ハリー。君は少ぅし時間がずれておるよ。クィレルは『石』を持ってはおらん」
「じゃあ誰が?先生、僕…」
「ハリー、いいから落ち着きなさい。でないと、わしがマダム・ポンフリーに追い出されてしまう」
ハリーはゴクッとつばを飲み込み、周りを見回した。医務室にいるらしい。白いシーツのベッドに横たわり、脇のテーブルには、まるで菓子屋が半分そっくりそこに引っ越してきたかのように、甘い物が山のように積み上げられていた。
「君の友人や崇拝者からの贈り物だよ」
ダンブルドアがニッコリした。
「地下で君とクィレル先生との間に起きたことは『秘密』でな。秘密ということはつまり、学校中が知っているというわけじゃ。君の友達のミスター・フレッド、ミスター・ジョージ・ウィーズリーは、たしか君にトイレの便座を送ってきたのう。君がおもしろがると思ったんじゃろう。だが、マダム・ポンフリーがあんまり衛生的ではないと言って、没収してしまった」
「僕はどのくらいここにいたんですか?」
「三日間じゃよ。ミスター・ロナルド・ウィーズリーとミス・グレンジャーは、君が気がついたと知ったらホッとするじゃろう。二人ともそれはそれは心配しておった」
「でも先生、『石』は…」
「君の気持をそらすことはできないようじゃな。よかろう。『石』だが、クィレル先生は君から石を取り上げることができなかった。わしがちょうど間に合って、食い止めた。しかし、君は一人で本当によくやった」
「先生があそこに?ハーマイオニーのふくろう便を受け取ったんですね?」
「いや、空中ですれちがってしまったらしい。ロンドンに着いたとたん、わしがおるべき場所は出発してきた所だったとはっきり気がついたのじゃ。それで、クィレルを君から引き離すのにやっと間に合った…」
「あの声は、先生だったんですか」
「遅すぎたかと心配したが」
「もう少しで手遅れのところでした。あれ以上長くは『石』を守ることはできなかったと思います…」
「いや、『石』ではなくて、ハリー、大切なのは君じゃよ…君があそこまでがんばったことで、危うく死ぬところじゃった。一瞬、もうだめかと、わしは肝を冷やしたよ。『石』じゃがの、あれはもう壊してしもうた」
「壊した?」
ハリーはぼうぜんとした。

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