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第22章 再びふくろう便 9

ハリー、元気かね?
君がおじさんやおばさんのところに着く前にこの手紙が届きますよう。おじさんたちがふくろう便に慣れているかどうかわからないしね。
バックビークもわたしも無事隠れている。この手紙が別の人の手に渡ることも考え、どこにいるかは教えないでおこう。このフクロウが信頼できるかどうか、少し心配なところがあるが、しかし、これ以上のが見つからなかったし、このフクロウは熱心にこの仕事をやりたがったのでね。
吸魂鬼ディメンターがまだわたしを探していることと思うが、ここにいれば、わたしを見つけることは到底望めまい。
もうすぐ何人かのマグルににわたしの姿を目撃させるつもりだ。ホグワーツから遠く離れたところでね。そうすれば城の警備は解かれるだろう。
短い間しか君と会っていないので、ついぞ話す機会がなかったことがある。
ファイアボルトを贈ったのはわたしだ__。

「ほら!」ハーマイオニーが勝ち誇ったように言った。「ね!ブラックからだって言った通りでしょ!」
「ああ、だけど、呪いなんかかけてなかったじゃないか。え?」ロンが切り返した。
「アイタッ!」
チビのフクロウは、ロンの手の中でうれしそうにホーホー鳴いていたが、指を一本かじったのだ。自分では愛情を込めたつもりらしい。

クルックシャンクスがわたしにかわって、注文をふくろう事務所に届けてくれた。君の名前で注文したが、金貨はグリンゴッツ銀行の711番金庫__わたしのものだが__そこから引き出すよう業者に指示した。君の名付親から、十三回分の誕生日をまとめてプレゼントだと思ってほしい。
去年、君がおじさんの家を出たあの夜に、君を怖がらせてしまったことも許してくれたまえ。北に向かう旅を始める前に、一目君を見ておきたいと思っただけなのだ。しかし、わたしの姿は君を驚かせてしまったことだろう。
来年の君のホグワーツでの生活がより楽しくなるよう、あるものを同封した。
わたしが必要になったら、手紙をくれたまえ。君のふくろうがわたしを見つけるだろう。また近いうちに手紙を書くよ。
                     シリウス

ハリーは封筒の中をよく探した。もう一枚羊皮紙が入っている。
急いで読み終えたハリーは、まるでバタービールを一本一気飲みしたかのように急に温かく満ち足りた気分になった。

わたくし、シリウス・ブラックは、ハリー・ポッターの名付親として、ここに週末のホグズミード行の許可を、与えるものである。

「ダンブルドアだったら、これで十分だ!」
ハリーは幸せそうに言った。そして、もう一度シリウスの手紙を見た。
「ちょっと待って。追伸がある……」

よかったら、君の友人のロンがこのフクロウを飼ってくれたまえ。ネズミがいなくなったのはわたしのせいだし。

ロンは目を丸くした。チビフクロウはまだ興奮してホーホー鳴いている。
「こいつを飼うって?」
ロンは何かを迷っているようだった。ちょっとの間、フクロウをしげしげと見ていたが、それから、驚くハリーとハーマイオニーの目の前で、ロンはフクロウをクルックシャンクスの方に突き出し、臭いをかがせた。
「どう思う?」ロンが猫に聞いた。「まちがいなくフクロウなの?」
クルックシャンクスが満足げにゴロゴロと喉を鳴らした。
「僕にはそれで十分な答えさ」ロンがうれしそうに言った。「こいつは僕のものだ」

キングズ・クロス駅までずっと、ハリーはシリウスからの手紙を何度も何度も読み返した。ハリー、ロン、ハーマイオニーが9と4分の3番線ホームから柵を通って反対側に戻ってきたときも、手紙はハリーの手にしっかりと握られていた。
ハリーはすぐにバーノンおじさんを見つけた。ウィーズリー夫妻から十分に距離を置いて、疑わしげに二人をチラチラ見ながら立っていた。
ウィーズリー夫人がハリーをお帰りなさいと抱き締めたとき、この夫婦を疑っていたおじさんの、最悪の推測が、やっぱりそうだ、と確認されたようだった。

ハリーがロンとハーマイオニーに別れを告げて、カートにトランクとヘドウィグの籠を載せ、バーノンおじさんの方へ歩き出し、おじさんがいつもの調子でハリーを迎えたとき、ロンがその後ろ姿に大声で呼びかけた。「ワールド・カップのことで電話するからな!」

「そりゃなんだ?」ハリーがまだしっかり握り締めたままの封筒を見て、おじさんが凄んだ。
「またわしがサインせにゃならん書類なら、おまえはまた__」
「違うよ」ハリーは楽しげに言った。「これ、僕の名付親からの手紙なんだ」
「名付親だと?」バーノンおじさんがしどろもどろになった。「おまえに名付親なんぞいないわい!」
「いるよ」ハリーは生き生きしていた。
「父さん、母さんの親友だった人なんだ。殺人犯だけど、魔法使いの牢を脱獄して、逃亡中だよ。ただ、僕といつも連絡を取りたいらしい……僕がどうしてるか、知りたいんだって……幸せかどうか確かめたいんだって……」
バーノンおじさんの顔に恐怖の色が浮かんだのを見てにっこりしながら、前の方でヘドウィグの鳥籠をカタカタさせ、ハリーは駅の出口へ向かった。
どうやら、去年よりはずっとましな夏休みになりそうだ。


_______Fin


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