第22章 再びふくろう便 9
「ほら!」ハーマイオニーが勝ち誇ったように言った。「ね!ブラックからだって言った通りでしょ!」
「ああ、だけど、呪いなんかかけてなかったじゃないか。え?」ロンが切り返した。
「アイタッ!」
チビのフクロウは、ロンの手の中でうれしそうにホーホー鳴いていたが、指を一本かじったのだ。自分では愛情を込めたつもりらしい。
ハリーは封筒の中をよく探した。もう一枚羊皮紙が入っている。
急いで読み終えたハリーは、まるでバタービールを一本一気飲みしたかのように急に温かく満ち足りた気分になった。
「ダンブルドアだったら、これで十分だ!」
ハリーは幸せそうに言った。そして、もう一度シリウスの手紙を見た。
「ちょっと待って。追伸がある……」
ロンは目を丸くした。チビフクロウはまだ興奮してホーホー鳴いている。
「こいつを飼うって?」
ロンは何かを迷っているようだった。ちょっとの間、フクロウをしげしげと見ていたが、それから、驚くハリーとハーマイオニーの目の前で、ロンはフクロウをクルックシャンクスの方に突き出し、臭いをかがせた。
「どう思う?」ロンが猫に聞いた。「まちがいなくフクロウなの?」
クルックシャンクスが満足げにゴロゴロと喉を鳴らした。
「僕にはそれで十分な答えさ」ロンがうれしそうに言った。「こいつは僕のものだ」
キングズ・クロス駅までずっと、ハリーはシリウスからの手紙を何度も何度も読み返した。ハリー、ロン、ハーマイオニーが9と4分の3番線ホームから柵を通って反対側に戻ってきたときも、手紙はハリーの手にしっかりと握られていた。
ハリーはすぐにバーノンおじさんを見つけた。ウィーズリー夫妻から十分に距離を置いて、疑わしげに二人をチラチラ見ながら立っていた。
ウィーズリー夫人がハリーをお帰りなさいと抱き締めたとき、この夫婦を疑っていたおじさんの、最悪の推測が、やっぱりそうだ、と確認されたようだった。
ハリーがロンとハーマイオニーに別れを告げて、カートにトランクとヘドウィグの籠を載せ、バーノンおじさんの方へ歩き出し、おじさんがいつもの調子でハリーを迎えたとき、ロンがその後ろ姿に大声で呼びかけた。「ワールド・カップのことで電話するからな!」
「そりゃなんだ?」ハリーがまだしっかり握り締めたままの封筒を見て、おじさんが凄んだ。
「またわしがサインせにゃならん書類なら、おまえはまた__」
「違うよ」ハリーは楽しげに言った。「これ、僕の名付親からの手紙なんだ」
「名付親だと?」バーノンおじさんがしどろもどろになった。「おまえに名付親なんぞいないわい!」
「いるよ」ハリーは生き生きしていた。
「父さん、母さんの親友だった人なんだ。殺人犯だけど、魔法使いの牢を脱獄して、逃亡中だよ。ただ、僕といつも連絡を取りたいらしい……僕がどうしてるか、知りたいんだって……幸せかどうか確かめたいんだって……」
バーノンおじさんの顔に恐怖の色が浮かんだのを見てにっこりしながら、前の方でヘドウィグの鳥籠をカタカタさせ、ハリーは駅の出口へ向かった。
どうやら、去年よりはずっとましな夏休みになりそうだ。
_______Fin
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