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タロー

愛犬の名前は、タロー。タローは、結婚前から主人が飼っていた犬だ。おとなしくて、パンが大好きな可愛い子だった。パンを見ると『パン!』と吠えた。

飼い主に似て犬見知り(?)で、散歩中に他の犬に会っても自分からはいけない。立ち止まって固まる。犬が苦手なのかと思いきや、相手から来てくれると嬉しそうにしっぽを振る。

タローとは、まだまだ一緒に暮らせると思っていた。それなのに、昨年11月17日死んでしまった。享年12歳。

ある日、鼻血が出たので動物病院に連れて行くが、原因はわからなかった。『鼻のガンかもしれない』と言われた。ここには設備がないので専門の病院を紹介することはできると言われた。

ネットで色々調べた。愛犬に放射線治療をして延命に成功している人もいた。悩みに悩んで、私達夫婦はこのまま自然にまかせて見守る選択をした。

最初の頃、タローは鼻血がでると2、3日食欲がなくなりぐったりした。しかし、元気になると普段の食いしん坊に戻った。よっぼど具合の悪い時以外は、大好きな散歩に行った。

やがて水をがぶ飲みしては、家の中で粗相する回数が増える。ポタポタと血尿を床に垂らしながら歩くようになり、マナーパンツをつけるように。大好きな焼き芋やパンさえ食べなくなり、最後は犬用ちゅーるさえ食べなくなった。

タローが死んだ日のことは、よく覚えている。水さえ飲まなくなって2週間。秋晴れの暖かい日だった。予感があった。痩せて軽くなったタローを抱いて、近所のタローが大好きだった公園に行く。ふたりだけで穏やかな時間を過ごした。その日の夜タローは静かに旅立った。

最初に鼻血が出てから、1年5ヶ月。ゆっくりお別れできたから何も後悔はない。

大好きなタロちゃん


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