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2022年の誕生日と近況報告

今年も誕生日を迎えました。
まず、健康に迎えられたこと、好きな仕事を続けられることに感謝したいと思います。失って始めて気づく健康、これからも大切にしたいです。

近況報告をいたします。

1. 全身MRI(DWIBS)の新刊(本年9月)

「全身MRI(DWIBS法)」の新刊がとうとう刊行されることになりました。9月のMR学会に合わせて出版されるのですが、その直前のBodyDWI研究会で一足早く頒布できたらと思っています。

本書により、今まで分かりにくかった「全身MRI(DWIBS)」について、

・DWIBS(ドゥイブス)がどんな方法で、どんな意義があるのか
・放射線科医にも臨床医にもわかりやすい、画像の診かた、読みかた
・撮像者向けの、撮像の意味とパラメータ、コツ

をお伝えができると思います。5年ほど温めていた企画でもあり、ワクワクしています。

編集を受け持ってくださった片平和博先生(熊本中央病院)、中西克之先生(大阪国際がんセンター)、高橋光幸技師長(横浜栄共済病院)のお三方、また、メジカルビュー社の苅谷竜太郎様には、情熱を持って取り組んでいただき、心より御礼を申し上げます。

本の題名乞うご期待

本の題名は、ちょっと風変わりだけれど、みんなが知っている、一回聞いたら覚えてしまうような面白いコトバを使ったものになります。表紙デザインができたら公開をいたしますね!

(全身MRIについてのポイントを後述)

2.無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)

累計10,000名、35病院。 高い診断能。

おかげさまで受診者の累計は10,000名を超え、さらに加速しています。また、提携病院数は35病院となり、受診希望のみなさまに多くの場所を提供できるようになってまいりました。夏までに40病院になる予定です。しかし一方で提携病院のない県もまだたくさんありますので、引き続き努力をいたします。

また、学会などのためにまとめていただいた4つの病院の成績(n=1247)を集計したところ、癌発見率(CDR)が24.8/1000 (つまり2.5%!)、陽性反応的中率19.8%という、これまでの常識では考えられないほどの、高い(社会的)診断能を得ることができました。

MRI撮像や画質の改善、維持に直接取り組んで来た自負はあるのですが、とても高い成績であったことに安堵しています。

死角がないという、とても大切な特長

本検査は、乳がん検診に「痛くない、見られない」という価値を新たに創出したものですが、それだけではなく、従来の画像診断ではなかなか克服できなかった「死角がない」という特長があります。

無痛MRI乳がん検診の感度領域は、全周360度。
身体側(胸壁側、絵の上側)にも、漏れなく感度があります。
この部分が死角になる検査では、約15%の乳癌を発見できないことが分かっています。

「痛くない検査」が他にも出てきましたが、今後は、高い検出能に加え、死角のなさにも注目して、安心して受けていただけたらと思います。

NPS +37と満足度が高い

なお、顧客満足度の指標であるNPS(ネットプロモータースコア)は、最初から+20ほどありましたが、昨年は+30、最新の統計では+37とさらに上昇しています。

なぜ毎年良くなっているのかというと、受診者のみなさんに書いていただいたアンケート(手書き)をひとつひとつ文字に起こし、それをまとめて検診施設にお返ししているからです。

「受付さんと検査技師さんで、検査時間が違っていた」というお言葉なども、改善のための重要なコメントですので、お伝えして直していただいています。おそらくはこうした継続の努力で数値が向上しているのだと考えています。

3.人工知能

AIで99%ってすごいの?

人工知能にを使ってすごい成績がでたという発表やニュースがあります。「AIで99%診断できた」と聞くと、「すごいな」と思いますよね。

でも、新しい方法は期待がすごいので常に誇張されてしまう傾向があります。1000人中3人の癌を発見できる検査法があったとして、AIで99%なら、やはり3人見つけられたというニュースですね。もしAIがさらにすごくて、成績を33%向上させたとしても、4人ということです。

1000人中25人発見する方法があったとしたら、遥かにたくさん見つけていますね。であれば、そこにAIを加えたらどうなるかということが大切です。

教師データの実力がすべての前提

ですから、もともとの画像の持つ診断能が大切だということをみなさんが分かってくださると良いと思います。AI的に言えば、「教師データ」の質がAIの成績を大きく左右するのです。

ちなみに胸壁側に死角があったら、データそのものがないので、AIでなにかが改善するということはあり得ず、物理的に15%の見逃しを生じます。

このような背景があるので、最高の教師データである無痛MRI乳がん検診に人工知能が入ると、とても良いものになる期待があります。このためにRTX3090なども導入しました。引き続き研究を進めたいと思います。

4.山下誠司さん

生き方を言語化してくれる

最近のマイブームは、なんといっても山下誠司さんの生き方です。YouTubeでたくさんの動画がありますが、半分ぐらいは自分もできているかな〜。それを「言語化」してくれているのはすごく大きくて、繰り返し見て元気をだしています。

YouTubeはどうしても「見るだけ」になりがちなので、メモするようにしました。山下さん語録の生き字引になりたいと本気で思っています。

「残りの半分」はできていないので、見習ってぜひ前に進みたいと思います。おすすめなので皆さんもぜひご覧ください。

そんなことを話していたら、社員が山下誠司さんの本を誕生日プレゼントに贈ってくれました。ちなみに「一億円」には興味の中心はありません(すごいとは思うけど)。

重要なのは、「こういう考え方で、こういう行動をして、こういう習慣だったら結果としてそうなった」という、基本的な考え方やプロセスを学ぶことです。常に学ぶ、誰からも学ぶ、ということも山下さんが伝えてくれている一つのキーワードなので、今後も生きている限り学びを忘れないようにしたいと思います。

付録:全身MRIについてのポイント

・全身MRI(あるいはDWIBS(ドゥイブス検査)は「線虫検査」「血液一滴」などの、いわゆる一滴系のリスク検査で陽性になる人が5%ぐらいいるので、その次の2次スクリーニング検査として需要がうなぎのぼりです。このため人間ドックでの導入も進んでいます。他方、画質にものすごくばらつきがあるので、儲け主義で画質の悪いところには十分注意されてください。

前立腺がん骨転移の診断に、一部施設で加算が認められました(600点)。脊椎オリゴ転移に対する定位放射線治療にはその100倍の63000点が与えられたので、DWIBSで検出して脊椎オリゴ転移を治療するというスキームが脚光を浴びています。最近では、PSA-PFSのみならずOSが改善されることが示されました。6ヶ月以上改善する可能性が高く、患者さんの福音になると思います。

・PSMA-PETは高額になると思われるので、DWIBSで短期間の繰り返し経過観察をすることにより、適切なタイミングでの治療介入ができ、患者さんにも喜ばれると思います。

朝、500mLの魔法瓶用にコーヒーをたっぷり淹れて出発します。意外と半日以上ホカホカで飲めるんです。いただいたサポートは、美味しいコーヒーでアイデアを温めるのに使わせていただきます。ありがとうございます。