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現在考えている、がんの画像診断に関すること

今日は良い機会なので、現在考えていることについて、簡潔にまとめて書きたいと思います。

・痛くない乳がん検診

詳しくはこちらをご覧ください。
・開始して3年半が経ち、近く全国27病院に拡大します。いわゆる営業活動をしないで、信頼をいただきここまで来ました。
・昨年はコロナ下にも関わらず、受診者がさらに増えました。
・受診者の内訳は、最近のものでは実に7割もの方が、「マンモを受けたことがない+3年以上受けたことがない」方でした。

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・「一度受けたけれど具合が悪くなって遠ざかっていた」「しこりや痛みがあるけれど、痛いのが嫌なので躊躇していた」という受診理由がとても多いです。
・このため、マンモを受けにくい人(受けられなかった)を救える社会的な価値があると考えています。
・これまでの考え方は、「どうしたらマンモを受けてもらえるか」「マンモや超音波(エコー)で診断能を上げられるか」が主体でしたが、「悩んでいる人辛い人」のための、やさしい検診という受け皿も広げていきたいと思います。

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・ほとんど接触しないので、感染のリスクも低く受けていただけます。
・近くホームページが大幅リニューアルされます。
・昨年から、乳がんは9人に一人がかかる病気になりました。さらに増える見込みです。また30〜65歳の女性のがん死因の第一位です。このため、いろんな機会にみなさんが考えていただける機会を増やしていこうと思っています。
・受診してこなかったみなさんの受診率を10%向上させる目標で頑張っています。

・線虫検査(N-NOSE)陽性の人へ


具体的にどうしたらよいかは、こちらに書いてございます。
・線虫検査(尿一滴)は、がんの「リスク判定」というスタイルをはっきりと強調するようになりました。つまり、がん「診断」ではなく、「リスク」を判定するとレポートに明言されているのです。
・しかし実際には、「安価(9800円)だから」と受けた後に、陽性の結果がでてしまい、どうしたらよいのか困る人が続出しています。
・このため、この受け皿として、しっかりとした癌診断ができる検査法の一つであるDWIBS(ドゥイブス)検査(いわゆる全身MRI検査)が、二次スクリーニング法として注目されるようになりました。
・被曝がないので、数回受けても全く安全なのが利点です。
・画質が悪いものがとても多く流通していますので、私自身は、八王子クリニック、都島放射線科クリニック(大阪)、すずかけセントラル病院(浜松)の検査の質を高めたうえで、これらの読影を行っています。また、研究会で画質を高める活動を続けています。

・病院で受けるDWIBS(検査)


・いわゆる「全身MRI」です。私はその根幹技術であるDWIBS法(ドゥイブス法)を2004年に考案しました。
・前立腺がんの骨転移がある人は特に適応があります。またその他の癌一般でも多く使用されています。
・日本医学放射線学会と日本磁気共鳴医学会(MR学会)で、加算を受ける施設の画質認定が始まりましたが、内部からこれに協力し、画質を高めることを始めました。
・「どこで受けたらいいのか」という質問をよくいただきます。受診できる施設がさらに増えるように努力していきたいと思います。

・DWIBS法と世界とのつながり(1)


・痛くない乳癌検診は、医学的には「非造影MRI」というジャンルに相当します。一昨年の科学雑誌(Radiology)でもこのことが提言されました。しかしまだ方法論が固まっておらず、実施されてはいません。
・世界に先駆けて日本で開始し、すでに3年半経過していますので、おそらくは世界を5年程度はリードすることになります。
・世界でも今後、造影MRIから非造影MRIへ変わっていくトレンドは間違いありません。以下のような従来の常識がありますので、これをどうやって解決できるのかのノウハウ(すでに持っている)を患者さんのために惜しみなく示してきたいと思います。

・拡散強調画像では安定した画質が得られない。
・T1強調画像(非脂肪抑制が必要だ)。
・脂肪抑制はCHESS法のほうがよい。
・高分解能のほうが癌がよく写る。
・MRIでは偽陽性が多い。
・MRIでは服を脱がなくてはならない。
・非造影では良性も悪性も写ってしまうので、実用には至らない。

・DWIBS法と世界とのつながり(2)


・最近、ONCO-RADSという新しい画像診断体系が発表されましたが、これは全身MRIを用いたものです。
・より広く癌の診断に用いられることになるので、海外の皆さんと議論をしていきたいと思います。

・新しいがん検診についての懸念事項

いい方法だと盲信して飛びつくと、思わぬ問題に直面することがあります。その受診者の立場になって書きます。


・神戸大学で木村教授が開発中の「痛くない」乳癌検診(嚢胞も写ってしまう懸念)


・TVでご覧になった方も多いと思います。
・私がとても心配しているのは、嚢胞と癌を原理的に識別できないことです。
(MRIでは複数の種類の撮影をするので、その組み合わせで識別ができます)
・嚢胞をがんとまちがえると、非常に多くの方が不要な精密検査をうけなくてはならなくなります。
・これまで、放射線科医や乳腺外科医がほとんど発表をしていません。画期的な方法なら、普通であれば、いろんな医師が競って発表するのですが、その事実がありません。
・学会で、「(おびただしい数の)嚢胞と識別するために、別の日に2回病院に来なくてはならないという発表を聞きましたが、実用性に乏しいことになりませんか」と質問をしましたが、この点について、まだ解決できていないのではと思います。
・新しい方法は常に魅力的ですし、応援はしたいと思うのですが、嚢胞と間違えてしまう画像診断は、実際には成立する可能性が低いです。すでにかなりの投資がなされているので心配をしています。

・線虫検査(不安な日々が増えてしまう懸念)


・9800円なので、飛びつく人も多いと思います。
・陰性ならとても良いと思います。
・陽性になると、「リスクがすごく高い」という判定になりますが、こうなると、その日から不安にさいなまれることにもなります。
・ところが、「専門医を受けてください」と書いてあるだけです。どんながんがあるかもわからないし、リスクが高いというだけで、専門医は実際にはかかることができません。ここに大きな矛盾があることは間違いないです。
・検診でDWIBS検査(被曝しない全身MRI検査)や、PET検査を受けることができますが、5〜10万円するのが普通です。内視鏡検査も必要で、数万円かかります。入り口が9800円だからと飛びつくと、その後は不安と高額の受診料に悩む可能性もあることを考える必要があると思います。
・もちろん一次スクリーニングとして優れた面はたくさんあるのですが、執筆時点で、起こり得るコースが十分示されているとは言えない(人々は誤解している)のが現状です。
・このことは、5年以上前のブログにも書いてわかっていましたが、生命保険などが提携する場合は、これも含めた保険にすると良いと思います。


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