質問の意味は・・・
深夜のコンビニ。ものすごくスタイルの良いお姉さん来店。レジ前のガムの棚をしばらく見た後、ガムを一つ手にとって、レジカウンターに立っていたボクに振り返って言った。
「このガムって美味しい?」
いつでも臨戦態勢の店長。その瞬間に様々なことが思い浮かぶ。
ガムなんて、あんまり食べないから、どれが美味しいかなんて知るわけがない。それでも店員として店長としてメーカー、ターゲットとなる年齢層、全国ランキング、店ランキングはある程度頭に入っている。この女性はボクにどんな答えを求めているのだろう?
彼女がボクに求めている返答は製品の説明などではない。ひとりの男としての返答。ボクは彼女の求めに答えられるはずだ。
「わかってるでしょ?店長」
彼女のつぶらな瞳がそう言った気がした。
そもそも「このガムって美味しい?」なんて質問自体がおかしいのかもしれない。
彼女の質問はアナグラムになっていて、規則に従って入れ替えるんだ。すると、なんと!「店長、好きだよ」となる。
なる筈がない。
それでもボクは意を決して口を開いた。
「美味しいと思いますよ」
なんという無難な受け答えだ。
一生の不覚。
店長です。
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