話すの何回目かな 3
父、69周年記念 続き
そんな父親だが、足の悪いおばあちゃんをおぶって勤務するホテルのロビーまで連れて行ったのを会社の偉い人に見つかり、非正規雇用から役付にまで上げようかという話になったが、自由がきかないので断ったという。ここまで話しても我が父の人物像はつかめんと思うが、そういう人だ。
そしてこの気質と教えはきれいに私に受け継がれている。
人に縛られるのを嫌い、身分で区別されるのを嫌い、人のために何かするのを惜しまなかったりする。ちょっとやそっとのことではあまり驚かず、人を馬鹿にすることでしか自信が持てない気質の人間に腹が立ち、猫舌なので炊きたてのご飯が嫌い。あと死にそうになるけど死なない。そんな感じである。
どこに行ってしまったのかはわからない。でも確実に心の中にはいる。欲を言えば墓くらいは見つけたい。
なんかあのとき聴いていた父親とおんなじ感じの人生を送ってて、あの奇人とはやはり親子なんだなと思うなど。私ももうじき、29歳になる。あそこまでの奇人ではないが、私も何か多少変なところがあって、これから何が起こっていくか考えるとかなり怖いが、まあ頑張るしかない。
あなたとの自由な思い出を抱きしめながら。
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