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陰に咲く花になりたくて

畑仕舞いを完了させる
16日のクリスマス会のために、畑作り部門は完全撤収だ
畑を遊び場にするのか、なにかディスプレイをするのかわからないが
とりあえず、平にしておいて欲しそうな感じだ
担当者から実際そう言われたわけではないけれど
なんとなくお察ししてお片付けした
本来であれば、土起こしとかしておいた方が来年のためになるのであろうが
まあ、仕方なし

さて、多少草が残って見えるが
どうせ雪に隠れるからよかろうなのだ

星さんは来年の構想をあれやこれやと考えている
ボクはといえば、2つあったはずの逃げ道が両方とも夢幻の如く消え去ってしまったので、現実問題、畑もスーパーも畑多楽縁も継続と相成ったわけだが…
いや待て、ここで「相成った」は使ってよかっただろうか?
「相成った」は「なった」のかしこまった表現で、[物事が実現した]、[変化してそうなった]という意味だ
だめだぁ…実現してないし、変化もしていない
不適切な表現であった

とてもつらい


雪が降り積もるようになって、スーパーの方では雪かきの仕事が追加される
店先の雪を払い、凍結防止の融雪剤をまいておく
そんなに小さな店舗ではないので、それなりに体へ負担はかかる
それに、この仕事が追加されたからといって、今までの仕事が減るわけではない
そのへんはまあ、問題が出てこない程度にうまくやりくりしているのだけれども
店の周りの雪かきついでに、たまに、近くの歩道の雪かきもする
「お前のとこだけ雪がそのままだ」
というご近所からのご意見が、やはり他の店舗ではよく届けられるからだ
逆に、そういうことをやっておけば
「雪かきありがとね」
と、お年寄りから声をかけてもらえることもある
雪かきっしておくと、近隣からの印象が良い…
合間、時間で、やる、点数稼ぎとしてはッ
フッなかなかに安い仕事だ
ッフ、息を、切らしているように
見える…と?
ハハっ…ハァハァ
なに、まだまだここからさ
ついでのついでに、従業員の車の周りの雪もどかしておく、仕事で疲れて帰る時に、自分の車に積もった雪を降ろすために足元を濡らすのもしんどいだろう、みどりさんッ
うん、本来ならばみどりさん1人だけにやりたいところだが、そういうことをすると色々とおかしなことになるので、ただ1人にやりたいがために全員分やることになる
完全に業務外なので速攻で済ませる
今まで通りの業務、商品の補充やバスケット・カートの回収、売り切り業務その他諸々、それらのためにチラチラ店舗内に戻りながらやっているので、人によっては「なんか知らないけどいつのまにか雪どけられてた」くらいの印象だろう
雪かきなんてのは店の誰がやっても良いことで、店としてやってあればボクがやりました!なんてことは別にどうでもいいことだ
できていれば店、ひいては会社が好印象
できていなければ、最悪、店長が怒られるだけ
だから、店長はボクに依頼とも指示ともとれる感じで雪かきするよういうのだけれども、ボクにだって結構な仕事量がある
あえて、ボクがそこまでやる必要は、まあ、無い
けれども、やる
なぜなら、ボクには『陰に埋もれる努力、カッコいい』と思う癖があるからだ
なんとも中二感満載なのだが、きっと子どもの頃から世間の流行に乗ることの出来なかったボクのメンドクサイ感性がこじれた結果なのだろうと思う


どうやら、畑多楽縁でのクリスマス回は大成功となったようだ
ボクは出勤準備ギリギリまで寝てからスーパーで働いていたので、顔見せすらしていない
ボクは日陰の生き物なので、そういうキラキラ感のあるところは苦手なのだ
どこぞの大学の留学生も視察ついでに訪れたらしく、大層インクルーシブな空間になったそうな
これできっと町や関係者からの星さんへの評価、HATARAKUへの評価というのも上がることだろう…
勢いのある人や集団のやることに1枚噛んでおいて、自分への修飾としたり、なんか自分もすごいことやってる感に浸るというのは、別に悪いことではないだろう、もちろん、度が過ぎれば鼻につくというものだが
でも、ボク、そういうのは苦手なんだよね
日陰の生き物なので
だから、今の活動がとても上手くいってどんどん勢いに乗っていったとしたら、すぐにボクの身の丈を超えていってしまうのだろうなぁ
なんて思う
それ程までの大成功でしたとSNSにアップされている様子から見て取れる
クリスマス会を良いものにしようと集まった人たちの成果だ
とてもキラキラしていて素晴らしいと思う
同時に、その場にいなくて良かったと思う
そこはボクのステージではないだろう

そんなボクにも用意されているステージというのはある
23日と24日、日付が変わったあたりに起きて、暗く凍てついた夜道を勤務先へと車を走らせる
1年で最も長い夜に人知れず、顔も名前も知らないご家庭の特別な日を彩るケーキを作る
そういうひっそりとした場にいるのが、なんともボクらしいというものだ

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