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旅立つ夫妻へ。

Miyachiくんは僕の友達。写真撮ったり、山登ったり、スパイスカレー作ったり、ミシンを駆使してリュック作ったり、3Dプリンターでゴリゴリのオリジナルのプロダクト作ったりと、自分で書いててわけわかんなくなってきたけど、ともかく好奇心とバイタリティに溢れたすごい男だ。
11月のある日、そんな男から連絡がきた。

「写真撮って」

いや、どう考えても僕よりMiyachiくんの方が上手いし自分で撮ればいいのにと思ったけど、よくよく話を聞くと「Miyachi夫妻」の写真を撮って欲しいということだった。なーる。
僕はMiyachiくんのnote記事がとても好きで、同じ記事を何回も読み返したりしている。パートナーのまりこさんを撮った写真が抜群によくて、いいなあいいなあといつも楽しませてもらっている。写真はもちろん2人が旅に出ている空気感を味わえるのがとてもいい。
それらの記事内の写真はMiyachiくんが撮っているから、彼自身はどこにも写っていないことが多い。つまり「夫婦で写っている写真」がないのだ。
Miyachiくんの独立にあたって、2人は今住んでいる奈良県を出ることになっている。引っ越す前に2人が奈良で暮らした記録を残しておきたくなったのだろう。もちろん依頼は気合いモリモリの二つ返事で引き受けた。

11月18日、2人と合流してMiyachiくんオススメのスパイスカレー屋さんでカレーに舌鼓を打ちながら作戦会議。
呑気にカレーをうまうま頬張っていてハッと気付いた。こういう何気ないところをこそ撮らなきゃじゃないか、と。

慌ててシャッターを切ったら見事にMiyachiくんのピントを外した。画角の都合でカレーも入ってない。大丈夫か僕…。
しょげてもしょうがないので、がっつりカレーを平らげ、挽回していこうと意気込んで奈良公園に繰り出した。

いつも写真に写っているのはまりこさんだけだから不思議な感じだ。

斜面を降りるよう仕向けることで、手繋ぎエスコートチャンスを生み出した策士とは僕のことだ。Miyachi夫妻の手繋ぎ写真を収めた写真家として後世に語り継いでもらいたい。

なにせMiyachiくんはシャイだから、積極的に恥ずかしいことをさせていかなければならないと密かに心に決めて撮影に臨んでいた。

執念でGFXのピントを合わせる。
2人が何の話をしているのか聞こえないぐらいの距離だけど、楽しそうでよかった。

手漕ぎボートに乗るサービスまでしてくれたので、期待に応えるために池の周りを全力で駆けまわった。先回りしたり距離をとったり、改めて単焦点おじさんは大変だと思い知った。

もちろんXF90mmも火を吹く。

ボートの上ではMiyachiくんも撮ってる。記事の外では2人はこんな感じなのか、と微笑ましい。

何かを放り投げるMiyachiくんと大きな瞳で追うまりこさん。

2人はそういう力関係なの!?

Miyachiくんの記事に出てくるまりこさんの写真はクールビューティーなものが多いので、彼の前で笑顔が多くて少し驚いた。

Miyachiくんも基本的に真顔。

だから2人が笑顔で写ってる姿を収められたのは個人的にとても嬉しい。それにしてもいい夫婦だ。

なんとなく好きな3コマ。2人を意に介さずムシャムシャしている鹿と。

それからMiyachiくんがよくまりこさんを撮っているという春日大社の方へ。アンダーの民の全力を出した。

ここでピントを外したら死刑を宣告されるだろうってぐらいのシャッターチャンスが訪れた。呼吸を忘れて撮りまくった。

寄った。
ありがとうGFX50R。ありがとうマクロプラナー。ありがとう2人。ごちそうさまでした…!!!

はー、肩寄せ合うとかありかよ…興奮しすぎて疲れたわ。

疲れても足を動かすのをやめない…!!写真は体力…!!

夕暮れ。良い銀杏を見つけたので、Miyachiくんの人気シリーズ「ぽつんとまりこ」をやらせてもらった。驚いたのはXF35mを使う僕よりも後方でMiyachiくんがNIKKOR Z40mmを使っていたこと。ぽつまりの真髄を見た気がした。

今日はぽつんとじゃなく、奈良感あふれる夫婦写真をね。

と、この辺りですっかり陽も落ちてしまったので、散会となった。僕は楽しかったけれど、2人が満足できる写真が撮れただろうか。少しでも2人の奈良の思い出になっていたらいいなと思う。

帰り際にMiyachiくんがポツリとこぼした。
「結婚式を挙げてないから、ちゃんとした2人の写真を残しておきたくって。けじめというかなんというか」
衝撃的すぎてカメラ落とすかと思った。めちゃくちゃ大任やんけ……!!先に言っててくれよ…!と思ったけど、あらかじめ知ってたらガチガチに緊張して楽しくは撮れなかったかもなーと。これはMiyachiくんの気遣いだったのかもしれない。
それにしてもこんな大役に指名してもらえて嬉しい。

2人が少し遠くに行ってしまうのはもちろんとても寂しいけれど、どんな新章を見せてくれるのか、楽しみの方が大きい。だから僕は2人がどこに行こうとも応援している。
このタイミングで2人を撮れてよかった。
次の新天地でも撮らせてもらうからこれからもよろしく。

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