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【駄文】その話、本当?

 今回は「牛乳山乳石道祖神(ぎゅうにゅうざんにゅうせきどうそじん)」の話です。
『おじさん、こういうのが好きなんでしょう』
と聞かれたら、ブンブンと頷くしかありません、ハッキリ言って大好きな分野です。
 まずは、この名称。この名前だけでご飯が進みます。おそらくは「牛乳山+乳石+道祖神」ということなのだろうと推察しますが、牛乳がとれる山だから「牛乳山」ということなのでしょう。縁起を見ると「応神天皇(260)の頃ですよ。44年間地域を治めながら牛を飼育し、宮中に「酥」を献上していたと記載されています。西暦260年に「酥」を献上してたですって。

酥の話、本当?

縁起は次のように掲げられています。

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Wikipedia先生によると
「朝廷は奈良時代から平安時代、諸国に対し蘇の納付を義務化」
とあります。概ね、西暦700年から1200年くらいにかけて蘇が生産されていたとしても、この「牛乳山」では、その400年以上も前から「酥」を生産していたとされているのです。しかも、『農民に先駆けて牛を飼育』とあります。
「どうしてこんなところで、牛を飼うの?農家の方も飼育していないのに」
と考えてしまう訳です。その牛は都から連れてきたのか、地元で調達したのか。酥を作るノウハウはどこから仕入れたのか。そんな贅沢品を作る余裕があったのか。地元の方々との関わりはどのような感じだったのか。何故、「酥」を朝廷に贈ったのか。都への復権を願いつつ、40年以上に渡り叶わなかったのか。それとも「俺は田舎で「酥」を作ったりして楽しんでいるよ」アピールだったのか、何とも不思議な話であり、面白いと感じてしまうのです。
 で、この神社では、鳥居が南側と東側にあり、よく見ると「石背国国造四世」をお祀りしているのが南側にある鳥居に掲げられた「牛乳山御霊大権現(説明文では大明神)」であり、東側の鳥居には「乳石大明神(説明文では乳石道祖神)」と掲げられており、自然石が御神体として祀られているようなのです(この自然石に、あま酒を捧げて乳の出を願ったのでしょう)。

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写真では比較的新しい、しめ縄が付されており、今も地域の方々に愛されているものと思われます。なお、山と称されていますが

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ちょっとした丘程度の盛り上がりで、車で走ると見落としてしまいそうな印象ですが、古くから信仰され、愛されてきたことを思うと、浪漫を感じてしまいます。人々の「子どもに乳をあげたい」という切なる願いを聞き届け、叶えてきたのでしょう。

 で、余談になりますが、神社や温泉などの「お参りしたら乳が出る」とか「子宝に恵まれる」というのは、科学的には否定されると思いますが、私は迷信とばかりも言えないのでは、と考えています。
 お参りや温泉などで、日常とは異なる「ハレ」を体験することで、精神的に安定し、肉体的にも良い効果が出ることもあるのではないでしょうか。参拝などで山を登り降りするのも体に良さそうな感じがします。
 まして、栄養価の高い「酥」を食したりすれば、良い相乗効果が出ると思うのです。
 なお、酥については「蘇」が正しいのではないか、いやいや、そもそも別な食べ物というような説もありますが、本稿では「鏡石町」さんの掲示に敬意を表して酥とさせていただきました。

 なお、鏡石町さんの町内には、童謡「牧場の朝」のモデルとされ、日本最初の国営牧場である「岩瀬牧場」があります。

 明治初期の安積開拓事業の一つなのかも知れません。
 しかし、その明治期のさらに1600年以上前から、この地では乳牛が飼われていて、物心両面から住民の力となっていたのです。
 浪漫があります、物語があります。



 


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