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「(仮題)妖精博物館 黎明奇譚」に向けて(忘備録その1)

 現在構想中の物語が【(仮題)妖精博物館 黎明奇譚】となります。
 まだまだ、粗々の展開もできていませんが、少し考えを整理しましたので、忘備録的としてnoteに投稿しておきたいと思います。
 普段のnoteでの投稿は1000文字~1200文字を意識しているのですが、今回は少し長い(2700字超)です。
 今回の創作物語については、創作の過程をnoteで交流している皆様と楽しめればと考えており、今後も続くかもしれないので(その1)としました。

(以下、忘備録の本文です)
 令和2年秋、県による「ネイティブの生きた英語を子どもたちに」という趣旨の外国人講師派遣事業により、南会津地方の小中学校に派遣された英国出身の英語講師の表敬訪問を受けた金山町の長谷川町長。
 英国人講師から
「金山町は神秘的な雰囲気で妖精が住んでいそう。英国にもこんな素敵な場所は無い」
という話をされて舞い上がり「妖精が住むふる里 金山町」での町興しを思いつき、具体的な事業の企画立案について「企画課」に丸投げする。

 町長が三期目を目指す上での目玉事業として大きな期待を寄せるが、もともと妖精には縁もゆかりもない土地である。町内にある「沼沢湖」に、その昔、大蛇(オロチ)が人を襲っていたという伝承はあり、夏に湖祭りを開催している程度である。
 周囲の自治体はバブル経済に踊り、民間事業者によるスキー場を中心とした会津リゾート構想やゴルフ場開発などが展開され、開発事業や観光客の誘致に成功しているが、金山町は取り残され、町長は地元から突き上げを喰らっている状況での思いつきである。
「観光産業が町興しには重要なんだ。民間がやらないなら町がやる」

 このような状況で迎えた平成3年4月、金山町で初めて町外から採用された田中哲二主事(22才 郡山市出身)が企画課に配属された。金山町のことを露ほども知らぬ田中は大学卒業時に、東京の閥系企業への就職を狙うが全滅。郡山市で企業を営む父の口利きを得て、就職浪人を避けるために金山町役場へ就職したが、転職して金山町を一年で去ることを目標にしている。

 なお、田中の採用について、民間企業の投資を受けて開発を行う周辺自治体とは一線を画し、
『町民主導による「金山町方式での町興し」を実現するため、町外からの職員を採用し、新たな視点で町の魅力を発掘する』
という大義名分での採用である。
 このような背景から町興し事業を主担当することになった田中。企画課に所属する10歳上の先輩である高橋は、協力するとは言いながら「俺はノーアイディア」とシレっと言う。
 飯田企画課長は「これからの町づくりは若い人の感性だ。責任は俺が取る。好きにやっていい」と、良い上司のように語るが、何のことはない丸投げである。それでいて「俺の再就職先に影響するから、上手く頼むよ」と圧力は忘れない。

 町長からは平成5年度上半期(2期目の最終年度)までに、明確な事業の成果を見せるよう指示(圧力)が出ている上に、
『福祉課の「シルバーユートピア構想」、総務課の「ふるさと創生事業」のような失敗は許さない』
との指示(圧力)も出される始末である。
(この事業の失敗の経過については、本稿では割愛します)

 田中は「妖精が住むふる里」事業にどう取り組むのか。
 田中の転職は上手くいくのか。 
 只見川の渓谷が美しい、奥会津の静かな金山町で、翻弄されつつ奮闘する若者の物語です。

ちょい見せ(不確定)
 令和3年4月に採用された直後、田中と高橋の会話
「次の町長選は、平成5年10月ですよね。だとしたら俺は転職していますから関係ないですね。居る間は頑張りますが、後は高橋さんにお願いします」
「そうはいかないんだ。金山町で、ちょっと大きな工事の場合、冬は雪で工事が進まないから、2年間の工期が必要になるんだ。
 だから平成5年度の上半期に何かしらの工事完了を目指すには、平成4年度に5年度分を含めた2年分の予算を計上する必要がある。単年度予算に対して、債務負担という予算計上の方法になる。
 で、平成4年度の予算計上の締切は10月末になるから、実質的に今年の秋までには「事業の青写真」を描き、予算要求をしなければならない。
 つまり、田中さんが今年度一杯で辞めるとしても、予算を要求した後になるんだよ」
「実質的に半年しかないじゃないですかぁ。それを俺が企画するんですか。俺、採用一年目ですよ」
「まぁ、そういうことだ。それに、大手民間企業を目指すなら、このくらいのミッションは達成しないと駄目じゃないか。良い土産話にしなよ」
 高橋は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
(ちょい見せここまで)

 結論を申し上げれば、田中はミッションを達成します。

 物語の山場として予定しているのが、コンサルが語るこの壁です。
「妖精博物館というハコ物は、予算と時間さえいただければ建設できますよ。見積書が必要というなら、数日中に概算で提出もしますよ。建設場所は指定してくださいね。
 ただ、問題は建物の中身、展示物ですよ。金があれば買える、準備できるというものじゃないんです。マニアの方々が所有していますから滅多に市場に出ないし、値段もあってないようなもんです。
 美術館とか博物館なんてのは、本来、金のある実業家が何年もの時間と金をかけて蒐集した収蔵品が先にあって話が始まるもんです。これから一、二年で集めるなんてのは、誰に相談しても無理な話です」

 田中は、どのように行動してこの山を越えるのか。

 お話の展開はこんなスケジュールになります。
平成3年4月 田中採用。事業担当
平成3年10月末 令和4年度予算要求
(妖精博物館建設予算(4年度から5年度にかけて建設 1億7千万超)
平成4年度 妖精博物館 建設工事開始
平成5年度 9月妖精博物館 開館
平成5年度 10月 町長再選

 なお、妖精博物館の開館を待たず、平成4年度の予算が内部の査定を終えた冬、妖精博物館の建設予定地で田中は高橋に報告します。
「転職を決めました。御心配と御迷惑をおかけしました」

(忘備録、ここまで)

 さぁ、キャラは立つのか、物語は生まれるのか。
 アイディアは繋がるのか、纏められるのか。
 飽きずに書きあげることができるのか。
#何を買いても最後は宣伝
 「福島県」の自治体で無茶振りに奮闘する「公務員」という設定は、そのまんま「元宮ワイナリー黎明奇譚」に被ります。

 けど、ある意味では公務員は無駄な仕事をしているように見えて「無茶振り」されたミッションを達成するために、汗をかくことが多いとも言えます。
 元宮ワイナリーでは、「庁内での戦い」がメインでしたが、今回は「町内での戦い」がベースになりそうです。

 不可能に思えたミッションを妖精が救う!
 ということになりそうです。
 



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