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一人暮らしクロニクル その1

 メディアパルさんのこちらの企画に参加です。

 募集期間が長いので、何本か投稿しようかと思案しておりタイトルに「その1」を入れましたが、続くかどうかは未定です。本稿もそうですが、基本的にはノープランなのです。

 40歳にして東京への転勤を命ぜられ、東京で一人暮らしをすることになりました。急に内示を受けましたので、おそらくは「本命・対抗・穴」と目論んでいた職員に断られ、仕方なく私に声がかかったのだろうと思います。
 2010年4月のことでした。

 場所は東京都中央区、最寄り駅は八丁堀という好立地で古いながらも2DKのマンションで一人暮らしをスタートし、2ケ月後には社会人の柔道サークルにも参加し、気ままな東京ライフをスタートしたのです。

 その年の夏、柔道の稽古を終えた後のミーティングで、サークルの先輩が、ちょっと変わった問いかけをしてきました。
「知り合いのフランス人、柔道雑誌の記者が、柔道世界選手権の取材のために来日する。もし、ホームスティさせていただける方がいたら協力をお願いしたい」
という内容でした。

 この年は、東京で50年振りとなる「柔道世界選手権」が開催される予定になっていました。その先輩と「親しい」というほどではありませんでしたが、単身で2DKということで、実質的に1部屋は使っていませんでしたので、
「食事とか洗濯という、日常的なサポートはできませんが、空いている部屋を使うだけでしたら、協力できます。誰も居なければお声がけください」
と、申し出したのです。

 フランス語は全くわかりませんが、片言の英語で何とか通じるだろう。という雑な考えでの申し出でした。また、他に協力する人がいるだろう、とも考えていました。
「大人ですから、家事や炊事等のサポートは要らないですよ。ベッドさえあれば」
とのお話に、
「ソファーベッドがありますので、それを使っていただければと思います」
と、軽く応えて、話は終わると思いました。

 ところが、私の予想とは異なる展開となりました。来日直前に
「福島さん、〇月〇日に来日するということなので、その日から〇日まで、ホームスティをお願いしても良いですか。また、忙しいところ恐縮ですが、東京駅で待ち合わせしてますので、できれば東京駅で合流して、福島さんの部屋まで案内していただけると助かります」
 多分、驚いた顔は隠せなかったと思いますが、
「わかりました、鍵の件もありますので、当日は東京駅から合流するようにします」
と、何とか応えました。
「二人なので、大変かと思いますが、よろしくお願いします」
と、頭を下げていただきましたが、
「二人なんて、聞いてないよー!、今初めてですよ」
と言いたい気持ちを何とか抑えました。翌日、慌ててパイプベッドを1台買いに行き、受け入れ準備を整えました。

 なお、フランス人ということで、ワインも何本か準備し、
「ご飯は提供できないですが、冷蔵庫の中も含め、部屋にある食べ物、飲み物は自由に食してください。家電、炊事場等も自由にお使いください」
ということを、先輩を通じて伝えていただきました。

 取材に来た二人は、めっちゃビールを飲みました。私が準備したものは勿論、自分たちでも様々なビールを購入して飲んでいました。ワインは受けませんでした。
 また、「どんなコミュニケーションを取ろうか」と思案していましたが、二人は、毎夜帰宅してきませんでした。一晩中遊び歩き、東京ナイトを満喫していたようです。
 私が出勤する時間までには帰宅せず、その後、朝帰りをして仮眠・仕事をして、私が帰宅する時間には取材のため外出するという生活で、部屋で顔を合わせることはなく、ビールの空き缶やゴミを片付けながら
「あぁ、一度は部屋に戻ったんだ」
ということを確認するだけでした。

 ということで、特殊な一人暮らしの思い出なので、全く誰の役にも立たないエピソードですが、企画に参加したく投稿します。
 なお、二人には「合鍵」を渡して、出入り自由としておきました。

 10年以上前の話になりますが、インパクトがある出来事でした。さて、
#何を書いても最後は宣伝
 この頃の経験を基にして創作した物語が、こちら「恋する旅人」に収録しているメインの作品になります。

 八丁堀駅も登場します。そして、この作品に登場する主人公と、少しリンクするのが、こちらの「元宮ワイナリー黎明奇譚」になります。

 併せてお読みいただけたら嬉しいです。
#ひとり暮らしのエピソード

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