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公務員のタマゴに伝えたい話 #45道州制


 時々議論されるものの、なかなか具体化はしてこない「道州制」ですが、原則的なことを申し上げれば、筆者としては大反対です。
  国・県・基礎自治体(市町村)という三層構造でさえ、無駄が多く非効率的だと考えているところに、さらに階層を多くして、何をどうしたいのですか、という感じです。
 さらに踏み込んで言えば、道州制よりも県を廃止することを議論した方が良いのではないかと考えています。

 150余年前の明治時代を考えれば、国が地方を管理するにあたり、3000を超える基礎自治体にアクションを起こすのは非効率的であり、間にワンクッション入れて、まとめ役を置く必要性はあったと思います。
 しかし、現在、インフラ整備が進み、交通網や通信網が発達し、基礎自治体が1700程度になっていることを踏まえれば、国と基礎自治体の二元構造で良いのではないかと考えています。

 基礎自治体については、広域市町村連合などの工夫により、国が直接管理する窓口の数をもう少し減らす(理想は300とする)必要があるとは考えています。(小選挙区が300なのは、その布石ではないかと妄想してます)
 前段で国・県・基礎自治体の三層と申し上げましたが、実際のところは、国の中にも中央省庁と地方局の二層があり、県の中にも県庁と地方局の二層、基礎自治体においても、合併などを経験した自治体においては、本庁と旧市町村役場である出先(支所)など、二層構造が未だに見られますので、実務的には三層から六層が複雑に絡み合いながら、住民サービスを行っていることになるのです。
 
 繰り返しになりますが、特に筆者が無駄と感じるのが、「県」です。本庁の直轄事業、地方局が担う事業に加え、基礎自治体に事務を「丸投げ」する事業を、自分たちに都合よく使い分けして仕事をしているのですから。
 特に広域的な視点が必要な事業はともかく、一般的な住民サービスについては、県は動かないことが肝要だと感じています。「余計なコストをかけないことも住民サービス」であるからです。

 実際に筆者が被害を受けた事業の一つである、県が企画した「住民団体向けの補助事業」を例にとりますと、何の事前調整もなく県の担当課から通知が一本入り
「住民団体向け補助事業を行うので、基礎自治体は受付と審査に協力して欲しい。審査にあたっては事業内容が基礎自治体の有する計画に合致しているか確認すること」
という内容でした。
 筆者はすぐ、県の担当者に電話しました。
「協力って記載してありますが、何の根拠に基づいて事務を行う必要があるのでしょうか。機関委任事務は廃止されており、法定受託事務でなくては市町村は事務をできないのではないですか。
 また、自治体の計画に合致しているかを審査と言いましても、総合計画から都市計画、福祉、産業など幅広い分野において、複数の計画があります。
それらの計画のどこまで審査するのでしょうか。
 事前の説明会もなく、質疑応答の資料もなく、この通知だけでは、あまりに乱暴すぎるのではないですか。まして、何故県で直接受付をしないのでしょう。地方振興局もありますよね。
 協力しないとは言いませんが、これらについて考えを聞かせて欲しい」
というようなことを穏やかに確認した訳です。

 この事業は三年間継続されましたが、通知が来るたびに筆者は同じ質問を繰り返しましたが、一度も明確な回答はいただけませんでした
 こういうことが、多々繰り返されていることから、筆者は県不要論者になってしまったのです。
 なお、県職員には優秀な方々も多く、基礎自治体に理解を示す方や、良い企画をされる方も多く、個々の職員の方については好印象を抱いていることは申し添えておきます。

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