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【企画参加】二足の草鞋

 高校卒業時に、国家公務員である横浜税関に採用されました。そして、1年後に神奈川大学の夜間部に進学し、所謂「二足の草鞋」ということになりました。この話をすると「苦労したのですね」という受け止め方をされることもあるのですが、私としては「苦労した」という印象は残っていないのです。確かに眠い日が多かったですし、学費も生活費も全て自分の給料で賄ってましたので、常にお金は無いし、夜間ということもあり、サークルとか恋とか青春というような華やかなキャンパスライフとの縁がありませんでしたが、大学に行ける、大学で学べるということを、ただただ嬉しく、楽しんでいました。

 そして、大学卒業を機に、現在も勤務している市役所へと転職しました。実は、横浜税関という仕事を選んだのは「大学に行きやすい」という理由が大きく、大学を卒業することは、同時に横浜税関で勤務する意味を失うことでもありました。もちろん、気心の知れた仲間との仕事を続けるという選択肢もあり得ましたが、
「自分の力を、生まれ育った故郷のために役立てたい」
そんな思いが、強く育っていたのです。
「横浜で「国民のため」に働くより、自分を育ててくれた「地域のため」に力を尽くしたい」
そんな思いで、地元市役所の採用試験を受けました。

 今は、どんな仕事、どんな職業でも「地域に貢献できる」と考えるようになりましたが、若い愚か者は「地域の役に立つ仕事=市役所」と盲目的に考えてしまい、一般的な就職活動をしたり、民間企業の採用試験を受けたりすることなく、公務員試験だけを受けました。

 あれから30年になろうとしていますが、お恥ずかしいことに精神は成長しておらず、未だに「地域のために力を尽くしたい」という思いが自分の中心にあります。むしろ、若い時よりも確固たるものになっているかもしれません。
 その結果、現在、本業とは別に「kindle作家」という仕事をしています。とは言え、仕事という程の稼ぎを得ることはできていませんが「地域のために力を尽くしたい」と考え続けた結果、本来の仕事だけでは届かない部分を、もう一人の自分に、もう一つの仕事に委ねることになりました。
 
 また「二足の草鞋」を履いているような状況です。
 「この仕事を選んで良かった」。いつの日か、そう振り返りながら眠ることができるよう、この道を楽しんで歩きたい。


サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。