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『トゲアリトゲナシトゲトゲ』の歴史と今

テレビ朝日系列で毎週月曜の深夜2時16分から放送されている「トゲアリトゲナシトゲトゲ」という番組がある。
この番組は2021年4月から放送が始まった3時のヒロイン 福田・Aマッソ 加納・ラランド サーヤ(敬称略)が毎週様々な企画に挑戦するバラエティ番組である。

自分はこの番組にプロデューサーという立場で関わらせてもらっているのだが、この番組の着想→企画書作成→番組立ち上がりまでを自己満足的に振り返ってみようと思う。

遡ること4年前…
現在も特番として放送している「あいつ今何してる?」という番組を演出していたことから、反省会がてらネプチューンさんと収録後に食事に行かせて頂く機会が時たまあった。

そこで、ホリケンさんに「芦田っち的に最近面白い人いる?」と聞かれた時、「Aマッソ、好きです」と答えたことを今でも覚えている。

どこかで彼女たちのコント「進路」を観て衝撃を受けて、そこからさまざまなネタを貪るように観ていたからだ。
するとホリケンさんが「Aマッソいいよね〜俺も話したことあんまないけど、尖ってていいよね〜飯に今度呼んでみる?」と言ってくれた。
(ネプチューンとAマッソは同じ芸能事務所に所属している)

それから数ヶ月後、ホリケンさんと自分とAマッソ、マネージャーで食事会を開き、僕は初めてAマッソと対面した。
ネタからは想像できない物腰の柔らかさと想像以上の小柄さでいいギャップを感じたことを今でも覚えている。

村上さんメインのYouTube企画も現在思索中

しかし彼女たちの鋭利さはホリケンさんを前にしても全く臆することなく、「ねぇ〜俺は会話したいだけなんだけど!全然ちゃんと答えてくれないじゃん!」と呆れ笑いをされるほど、一個一個の質問(ホリケンさん的にはシンプルな好奇心で聞いている日常会話的質問)にほぼボケて返すという、まさにAマッソを堪能させてくれた食事会だった。

そこで自分の面白センサーはどうやら間違えてなかったようだと確信できたので、彼女たちにこう声をかけた。
「公式チャンネル、勿体無いから面白いこと一緒にやりませんか?」
(私のテレ朝での本業に支障がない程度に、趣味的な範囲で一緒にやるという意味です。悪しからず。)

当時のAマッソのYouTube公式チャンネルはライブのネタがいくつかアーカイブされているだけで、ほぼ形骸化していたからだ。
すると彼女たちは「やりたいです」と即答した。

ここからAマッソと私の関係性は始まり、2019年3月に初めて私が監修として入った企画の予告編が発射されたのだが、その企画会議ではまず、ネタ作りの中枢を担うAマッソの頭脳である加納愛子のツッコミに着目した。

作家の竹村さんと話していくうちに、加納さんの切れ味ある怒り関西系ツッコミは同年代の女性芸人にはない唯一無二性があるよねという見解で一致した。だからこそ、彼女のツッコミを最大限に引き出す企画にしようという軸が決まり、「面接官加納」が生まれた。

これがスマッシュヒット企画となり(現時点で50万再生超え)、やはりこの才能は多くの人に普遍的に面白がってもらえる才能であることを確信できた。ちなみにこの面接官シリーズは今でも続く人気シリーズとなっている。

その後も、加納さんと会議をしながら定期的に企画を発射していった。
2019年7月に公開された「アンガールズ田中、テレビで売れる方法を講義」は最大の再生数(120万再生超え)となった。

しかし最も重要なのは、Aマッソがブレイクすることであり、私がテレビ朝日で彼女たちをフックアップすることである。
次のフェーズの目標は、”地上波でブレイクさせたい”、これだ。

しかしピュアなお笑い番組の企画書ほど通すことが難しい企画書はない。
特にテレビ朝日において、そう言った類のバラエティ番組は新規でなかなか生まれづらい状況が当時続いていた。
どうしたものか…と苦悩しているところで、吉報が届く。
テレビ朝日がバラバラ大作戦という若手のチャレンジ枠を設置し、月曜から金曜のど深夜になんと14もの新番組を開設するというのだ。
しかもその企画選定基準は、「地上波の枠にとらわれない多角的な展開で攻めていく」。さらに、定期的に14番組で総選挙を行い、弱肉強食、新陳代謝の非常にいい枠にするという。

「ここだ」と思った。

では、どういう企画にするか?
その時、ヒントになったのが2020年8月に行われた加納&サーヤのユニットライブ「余韻と脚色」である。

一人の観客としてそれを鑑賞し、Aマッソとはまた違う面白さ、パワー、化学反応を感じ取り、新時代の女性芸人としての二人に高い可能性を感じた。
そして奇しくもそれと同時に、AマッソのYouTubeで面接官シリーズで「Aマッソ加納&3時のヒロイン福田がかなでを面接」を公開したのだった。

この企画のロケで、加納&福田の相性の良さという大発見があったのだ。
しかも二人は同い年の上に、隣の中学校に通っていた幼馴染。
Wツッコミにも関わらず、互いがツッコミというポジションに固執せず、自由にテンポ良く攻守交代していく様は、非常に刺激的で面白かったのはもちろん、「この組み合わせ、あるぞ」と興奮したのを覚えている。
(実際この動画は90万再生を超えた)
そんな近い時期に起きた2つの発見は企画書作成の大きなヒントとなった。

さらにそのヒントを後押ししたのが当時レギュラー番組として歩み出しはじめようとしていた「あざとくて何が悪いの?」である。
(2020年10月からレギュラー放送開始)

この番組の着想はそもそも田中みな実さんを私が「圧倒的に面白い。この人の能力を最大限に引き出せる企画を考えよう」と思ったことがキッカケだ。(詳細は以下note)

ここで、学んだことが演者同士の掛け算がハマった時の強大なパワーだ。
「あざとくて」でいうと、田中みな実×弘中綾香×山里亮太という掛け算である。個々が持ち合わせた巨大な才能と能力を120%引き出せる企画を用意できれば、個々の能力は足し算ではなく掛け算となって想像を超えたパワーとなる。

さらに、当時ラランド、Aマッソの二組は今ほどの知名度を持ち合わせておらず、お笑い好きにはもちろん周知されていたが、まさにネクストブレイク枠のコンビであった。そのため、バラバラ大作戦や他局の深夜番組で、これらのコンビをメインにする企画書が出てしまうかもしれない…
それであれば、今自分が直面した加納×サーヤの化学反応、加納×福田の化学反応、これをごった煮した3つの掛け算は2つの掛け算以上の力を生むのではないか?

「この組み合わせだ」

そう思った瞬間2020年8月26日に加納さんにLINEを入れた。
なぜなら彼女は掛け算の軸だからだ。
福田サーヤは当時ほぼ絡みがなかったので、加納さんに「この座組みどう思う?」を聞いて確信を持っておきたかったのだ。
すると「楽しそう!!ありがとうございます!!」と返信が来たので、もう決まりだった。「この三人で企画書を書こう」。

しかし、2020年8月末はすでにもうバラバラ大作戦の10月スタート番組が決定しており、次の企画募集のチャンスは半年〜1年後。
悠長にその期間まで待っていると、他局や他のテレ朝企画でどこの誰がこの座組みを思いついてしまうかわからない…
そこで、今思うと全然抑止力になっていないが、自分のTwitterでツイートしておいた。取るなよ!の思いを込めて…

いち素人Dのツイートに、この「いいね」の数を見れば、三人のファンがいかに多いのかがわかる。

そしてこの辺りで、サーヤさんが自分のツイッターをフォローしてくれた。
おそらくこのツイートを見たんだと思う。

ここまでくると、企画を通す準備として本人たちとの信頼関係を築き、彼女たちの個性をより知っておきたいと思ったので、まずサーヤさんにDMを送った。彼女とは一度も話したことがなかったからだ。(3時のヒロインは「あいつ今何してる?」に出てもらっていたし、AマッソYouTubeでも絡んでいた)

ここからは先日出演させてもらったサーヤさんのラジオ「虎視舌舌」でも詳細を話したが、中目黒のリゴレットで加納さんとサーヤさんと三人でご飯を食べて、顔合わせをした。

そこでのサーヤ&加納の相性の良さと才能をビシビシ感じてしまった私は、松坂大輔風にいうと”自信が確信に変わり”着々と企画書通過のための準備を進めた。

こうして「トゲアリトゲナシトゲトゲ」が生まれた。
(タイトルは河島D考案)

三人の化学反応は予想以上、期待以上で、今も毎週録ごとに面白さを更新していると感じる。3年目ながらDに抜擢された河島Dも毎回目を輝かせながら三人と向き合い、訳のわからない企画を毎週会議でプレゼンしてくる。
(たまに意味不明すぎて、秒で却下されることもあるが、それくらいがこの番組にはちょうどいい)

この番組でしか見られない福田さんのお笑いマルチぶりは、この番組を一度見ればすぐに誰でも感じ取ることができるのではないだろうか?
加納さん、サーヤさんは、コンビとはまた違った面白さと伸びやかさで縦横無尽に飛び回っている。この3つの化学反応は唯一無二であり、財産である。毎回そんなことを感じる、それが「トゲアリトゲナシトゲトゲ」という番組である。

長くなりましたが、そんな「トゲアリトゲナシトゲトゲ」がバラバラ大作戦の中で最も面白い番組を決める「バラバラ大選挙」に出馬中です。
選挙期間は本日7/3(日)23:59まで。

彼女たちも毎日のようにSNSで投票を呼びかけてくれている。
テレビ朝日社内選挙と社外票選挙、2つの1位があるため、先日は三人でテレビ朝日内を練り歩き、投票呼びかけ活動も行った。
(そんな時でもお笑いを忘れない三人の即席喧嘩コントは以下のリンクをぜひご覧くださいませ)

ここで1位を獲得できると、今よりもはるかに良い時間帯で特番ができる。
潤沢な予算で、彼女たちがより輝く舞台を用意できる特番ができる。
そして番組の存続につながる後押しになる可能性だってあるはずだ。

だからもし見たことがないという方は試しにTVerで今週放送をご覧ください。損はさせません。

そしてもし、笑うことができたら「トゲアリトゲナシトゲトゲ」に1票をお願いします。4000文字も費やして言いたかったのは、この一言でした。

「大事なことは繰り返される」と現代文の授業で習ったのでもう一度書きます。

「トゲアリトゲナシトゲトゲ」に1票をお願いします。

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