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【創作】詩

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詩が書けたら、こちらにまとめていきます。
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2022年11月の記事一覧

【詩】毛糸にはその気持ちを伝えるすべがない

死は必ずしも生の終わりではないよ きみは編み物をする手を止めて言った そしてこう続けた 生…

桐沢もい
2年前
6

【詩】絶望

僕は公園でブランコに揺られる スーツ姿で そのまま絶望の夜空を見上げる 急に月が爆発したの…

桐沢もい
2年前
2

【詩】おはじき

コンビニの会計待ちの列は 暇だ なんだか頭が重たく感じる日は空を見上げて 「そりゃあ、こん…

桐沢もい
2年前
1

【詩】焼け焦げた羽毛

気づいてた? 太陽の光に目を細めたきみが 部屋のカーテンを引く直前 雲が太陽の光をさえぎっ…

桐沢もい
2年前
1

【詩】海辺から渋谷へ。また海辺へ。

恋するきみは砂浜の寄せては返す波際に立ち、人を好きになる気持ちについて考えた。足のくるぶ…

桐沢もい
2年前
3

【詩】雨

雨が小ぶりのときはあえて傘をささずに雨に話しかける きみはどこから来たの? つづいて空を見…

桐沢もい
2年前
4

【詩】自分に絶望しきった男の面接(男の受けこたえのみ抜粋)

(冒頭の形式的な挨拶は省略) ぼくにできることは なにも有りません はい そうですね なにも はい やるきもないです はい それもないですね おもい付きません はい これまで あったこともありませんね いちども はい あ、すみませんもういちど…… ああ、いきがいですね ないですね いきているから生きています はい なんとなくですね はい そうです たまたま ねっとをみていたらみつけて はい すみません、もういちどいいですか…… こいびと いません ともだち…… わかりませ

【詩】余ったピース

人のあつまりはいつも、正しくピースが作られていないジグソーパズルみたいで、どう組んでもい…

桐沢もい
2年前
1

【詩】それなら、これはとてもよい景色だ。

寒い季節にマスクをつけると、その隙間から漏れる吐息の湿気ですぐ眼鏡が曇る。ある夜、すっか…

桐沢もい
2年前
1

【詩】何かしらちょっとずつ

あなたは段ボール箱を頭からかぶって、小さな穴をあけてそこから私を見ているのよ。そういうの…

桐沢もい
2年前
1

【詩】嗚呼、ビジネスマン大合奏!

お昼休みの職場にお昼ごはんの咀嚼音、嚥下音が響く。まことにけっこう! みずみずしい生命音…

桐沢もい
2年前
3

【詩】影

街灯が作る自分の影と夜道を歩いていたら、唐突に影に話しかけたくなった。 ――おまえ、ちょ…

桐沢もい
2年前
1

【詩】池袋

池袋を歩く ファーストフード店からただよってくる油のにおい 下水からだろうか、かすかな腐臭…

桐沢もい
2年前
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【詩】恋なんてどこまでも娯楽

恋なんてどこまでも娯楽 いつも不確かで気まぐれで なにひとつ 明日も同じと保証できる要素がない そんなものを娯楽でなく 生きる“しるべ”にどうしてできよう 享楽や悦楽のたぐいは 分陰と知るがゆえに 魂にかりそめの火を灯すことができる ゆえに恋は いつ裏切られるやもしれぬと心得たうえで いっとき我を忘れんばかりに心を燃やすのが 最良の享し方と言える そうした巧みさをもってすれば 恋の総体を生きがいとすることは あるいはできるやもしれん しかし、 ある特定の恋を生きがいと