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数理モデルのお話

こんにちは。必要に駆られて勉強日記的なノリで記事を書いています。

江崎貴裕『データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために』ソシム,2020

最近出版されたこの本の話をします。
「データサイエンティストは21世紀で最もセクシーな職業」と言われて久しいですが、今もそうなんでしょうか。関係ないけどセクシーという言葉を聞くと、進次郎さんの顔が浮かびます。
都市計画の研究室にいて、都市のデータ分析もやっていきたいと思うなかで、ちょこちょこは学んできたのですが、まだまだ初心者なので全体像を把握する意味で買いました。

この記事では
①データ分析・数理モデルとはなんぞやって話
②自分の興味に基づきチョイスしたいくつかのモデルの話
を書いていきたいと思います。

1.そもそもデータ分析/数理モデルとは

本の最初らへんに書いてある話です。データ分析とは、
「我々の直感的な理解や制御が及ばない事象について、対象から情報(データ)を取得・分析し、その対象がどのようなメカニズム・ルールで動いているのかを客観的に理解・制御しようとすること」
とあります。

データを眺めること以上の分析(未来予測とか)をしたい時などには数理モデルを使います。数理モデルとは、
「数学的な手段を用いて記述された、対象のデータ生成ルールを模擬したもの」です。
よいモデルは元のデータから引き出せない様々な情報を教えてくれたりします。が、数理モデルによって得られた結論はあくまで使用したモデルという仮定の下、という条件付きであることに注意です。


2.いくつかのモデルの話

2.1 確率モデルにおけるマルコフ過程

まず確率モデルとは、
微分方程式など、同じ条件からスタートした場合、変数のダイナミクス(挙動)が毎回同じになる決定論的ダイナミクスに対して、
変数のばらつきが無視できないために、確率的要素を持たせたほうが対象の実態をよく捉えられると考えられるときに用いるモデルのことです。

時間変化する確率変数のことを確率過程といい、確率過程の中でも、
現在の状態の情報だけを使って次の状態を決める確率過程のことマルコフ過程(Markov process)といいます。理論解析のしやすさからよく使用されるみたいです。

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(出典:https://batapara.com/archives/markov-matrix.html/

2.2 強化学習モデル

まず強化(reinforcement)という概念は、人間や動物が何か行動を起こしたときに、その結果得られた報酬に従ってその行動を行う回数を増やすという特性のことを指します。

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(出典:http://kazoo04.hatenablog.com/entry/agi-ac-14

強化によって、トライアンドエラーを何度も繰り返しながら適切な行動を学習していく様子を数理モデルで表現したのが強化学習モデル(Reinforcement Learning)です。モデル化される意思決定主体をエージェント(Agent)と言い、エージェントは環境(Environment)の中で報酬が多くもらえるような行動を学習します。

強化学習モデルの学習の仕方の一つにQ学習(Q-learning)があります。QはqualityのQという説がありますが、明確な記述があるわけではなく、謎に包まれているみたいです。

Qが行動の価値を表すのに対して、Vは状態の価値を表す記号として用いられます。

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(出典:https://nkdkccmbr.hateblo.jp/entry/2016/10/08/205107

2.3 エージェントベースモデル

個々の物体・エージェントの振る舞いを記述するモデルがあった時に、それらをたくさん用意して、互いに相互作用させ、全体としての振る舞いを表現するモデル多体系(many-body system)モデルまたはエージェントベースモデル(agent-based model)と言います。

代表的な相互作用の仕方に、
・それぞれの要素がすべての要素と、同じ強さで相互作用する
・要素が二次元や三次元空間の位置情報を持っていて、近くの要素とだけ相互作用する。(自分たちの肌感覚に近い?)
・要素のあいだに特定のつながり(ネットワーク)が定められていて、つながってる相手とだけ相互作用する。
の3つが挙げられています。

3つ目について、系の中の要素間のつながりをまとめたものをネットワークと言い、つながりの一本一本のことをリンク(Link)、つながれる個々の要素のことをノード(Node)といいます。

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(出典:https://www.kagoya.jp/howto/rentalserver/node/)

3.おわりに

話題になっていたので買いましたが、学術書の味気ない感じと違って、カラフルだし読みやすいです。今結局何の作業してるんだっけとかなる時もあるので、この本が手元にあると便利かもしれません。

※記事内の画像は画像検索で適当にもってきました


追記
この著者の人は「渋滞学」の西成先生の研究室の出身だそうで.
渋滞学は結構近いことをやっていることもあり,面白く読んだ記憶があります.

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