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トロピカル~ジュ!プリキュアが大好きなんだ。

はじめに

昨年のプリキュア20周年施策で久しぶりにプリキュアシリーズに対する熱をものすごい勢いで焚きつけられてしまった(特に全プリキュア展と全プリキュアライブが思い出補正も相まってかなりキテしまった。)ので、ここ1年くらいプリキュアシリーズを延々と視聴していたんですけど、見ていなかったシリーズをすべて視聴し終わって好きなシリーズの話でもなんか書きたいなって思ったので、トロピカル~ジュ!プリキュアが好きって話を書こうかなって思います。自分はこのアニメ暇さえあれば見ているくらい好きで通して何回見たか分からないくらい見ています。
別に宣伝目的でもないのでネタバレも一切配慮しないですし、トロプリについては知っている前提で書いていきます。
このアニメ自分のツボにハマりすぎてて何を見ても好きってなるので、無限に褒めていると思います。

1.とにかく明るい!楽しい!テンポがいい!

トロプリって基本的にトロピカる部の5人が日常生活や学校生活の中で楽しいことをみんなでやっていくといった形で進行していくわけだけど、主人公のまなつの性格も相まってコメディタッチでずっと明るく楽しい感じで話が展開していくのがね、これがもう見ていてずっと楽しいし気持ちがいい。そして話のテンポもやたらといいため、次にどんな展開かなんて考える前に誰かしらしゃべりだすので見ていて全然飽きないから無限に見ていられるんですね。
飽きないテンポってアニメ見ているときにかなり大事だと思うんですよ。話が動いたぞ、動くかも、ってなったときに考える余地をあまり与えられると、アニメの展開と自分のイメージがずれることってあるし、逆にテンポが早すぎると脳内の処理が追い付かないことありますよね。
トロプリのテンポ感って私にとってちょうどよかったのか、そういうストレスがなく視聴できるんですよね。その辺はもう相性の問題かもしれないけど、私とトロプリのテンポは相性が非常に良かったってことでそんなところがとても好きなんですね。
本編のノリとテンポ感はOP映像からもしっかり出ていて、冒頭から意味が分からないくらいに陽気にみんなが踊っているし(絶対に踊らないだろって感じの敵キャラまで)、よくわからない遊びしているし(最終回でなんか回収されてて笑っちゃう)、あすか先輩はなんかようわからんキックボードに乗ってるし(これは出てこない)、途中から追加されるラメールもとってつけたような勢いで出てくるし、もうほんとノリと勢いが凄いのでOP映像ですら見ているといつまでも面白いくて毎週始まった瞬間から楽しくなるところが本当に大好きなんですよね。曲も南国風の陽気なメロディなので聞き心地がとてもよく何度も聞いていられるし。本編33話にだけ使われたトロピカる部verはやたら騒がしくてめちゃくちゃ元気になれるからオススメ。あとサブタイトルも44話を除いてすべてに!マークが入っているのも作風を押し出してていい感じですね。
テンポとOP曲の話だけでも好きがあふれているトロプリ最高にトロピカってる!
あと作風の話をする上で欠かせないのが33話「Viva!10本立てDEトピカれ!」でしょう。本編と全く関係ない意味不明なショートショートを10本(実は11本ありましたってオチを作るあたり実は頭いいだろ。)放送するとかいうなかなか攻めたことしてる回なんですけど、なんでこんなことやろうと思ったんだよってなりますよね。スタッフ陣の頭がおかしいトロピカった結果なんでしょうね。そんなところもこの作品の魅力ですよね。

2.「今一番大事なことをやる。」

プリキュアって1年間話が続いていく上で何かしらお話の中心となるテーマが設定されているんだけど、今作のテーマは作中でまなつが何度も口にする「今一番大事なことをやる。」というものです。
この言葉を額面通りに受け取ると、刹那的なものに聞こえかねないんですけど、今感じている大事な気持ちに目を向けて、その時その時にきちんと向き合うことでこの先大事な選択をするときの大きな財産になる。みたいなことを作中でしっかり言及してくれるのがめちゃくちゃ教育的でいいなと思うんです。最終回でローラが決断を迫られる部分にもしっかりつながりますしね。
またそのテーマとの対比として出てくる敵の親玉が「あとまわしの魔女」なのもあまりに分かりやすくていいですよ。つーか「あとまわしの魔女」ってどんな名前だよ。とは思っても1話からずっと「今一番大事なことをやる。」ってフレーズは繰り返し出てくるし、対比した存在であることは誰にだってちゃんと伝わりますよね。よく分からないなりに正反対のこと言ってるのだけはわかるので。
その魔女についても一番やりたかったはずの「自分を助けてくれた人間の女の子と仲良くなること。」に対して勇気が持てず一歩踏み出すのをあとまわしにし続けていたら、相手の人間の寿命はとっくに尽いてしまうほどに時間がたって何をあとまわしにしていたかも思い出せなくなってしまい、それでも懲りずにあとまわしを続けるために永遠の命が欲しかったという、なんともちょっと切ない話になっています。これってあとまわしにすると取り返しがつかないこともあるってのを言ってくれてるんですよね。ちゃんと「今一番大事なことをやる。」の大事さを語る上での対比になっていますよね。
設定したテーマの大事さをちゃんと伝えてくれるトロプリ、素晴らしいね。
現実においても本当に大事なことほど面倒くさかったり、取り組むためのエネルギーが必要だったりで、あとまわしにしたくなってしまうことを知っている大人にも大変刺さるしね。耳が痛い。自分もあとまわしにしちゃう側の人間なんで。そういった自戒の意味もあってか「今一番大事なことをやる。」ってテーマが大好きになったのかもしれませんね。
そして一年間通して繰り返し「今一番大事なことをやる。」って言い続けるのでこの作品のテーマは?って聞いたら、見た人100人中100人が絶対に答えられるようになってるのも、トロプリのいいところだと思っていて、伝えたいメッセージが明確だから、結局何が言いたいんだとはならないからシンプルな気持ちで見ていられますよね。だからこそ自分は何回も繰り返し見ていられるのかなって思います。
で忘れちゃならないのがプリキュアは女児向けアニメです。
作品のメッセージ性っていうのは子供に向けられるべきだし、子供に分かりやすくあるべきだと思っています。
・対比が非常に分かりやすい。
・何回も繰り返して言う。
・これからいろんなことを経験をするにあたっての教訓になっている。
この辺はめちゃくちゃ意識して作っているように思います。
だからこそ言いたいことはちゃんと伝わるし、これからを生きる子供に向けた作品作りをしていると思えるところが大好きなんですよね。

3.実は緻密なキャラクター描写

メインの登場人物の魅力も作品を語る上では欠かせませんよね。
全身トロピカる人間の夏海まなつ
とにかくかわいい凉村さんご。
画面に映るだけで面白い女、一ノ瀬みのり
曲がったことが大嫌い頼れるみんなのまとめ役、滝沢あすか
自信満々人魚姫なローラ
どう形容しようか悩みまくるくらいに個性的。
この個性的な面々もしっかり描写されてこそ活きてくるってもんなんですよね。
先に書いたようにテンポがもうものすごくいいし、みんなどんどんしゃべるから雑に流されてしまいそうなもんなんですけどね。よくよく見ているとなるほどなぁとなるようなポイントが結構あって、キャラクター描写が上手いなと感心しちゃうんですよ。だから繰り返し見ていると、気づきがあったりするところも見ていて飽きないポイントですよね。
全員分書くとキリがないので主人公のまなつについて、第7話「やってくる!海の妖精くるるん!」と第19話「まなつパニック!学校の七不思議!」を例に書いていきます。
7話ではくるるんの落とした女王さまからの贈り物を探している際に、ローラがわかめをかぶって海から現れるシーンで、まなつが過剰に怖がったりしているんだけど、19話で実はお化けが苦手なことが判明したりします。
これってまなつのお化け嫌いを知らなくてもまなつがオーバーリアクションとることにそんなに違和感ないんだけど、知っているとちゃんと意識した描写なのが見て取れるようになっているんですよね。
気づいたとき感心しましたよね。こんな些細なところで、12話も後って放送期間にしたら3か月もありますからね。覚えてる人なんてほとんどいないだろうから、2回は見ないとほぼ気付かないんですよ。
これはこだわりによるものなのか、この子ならこんな反応するっていう頭が脚本家の中で明確だから自然に出てきているのかは分からないけどキャラクターが生きてるって感じなんですよね。こういう気づきがあるたびにトロプリ好きだなって思うわけですね。
そして19話についてですけど、この話のきっかけはまなつが普段トロピカる部の活動をするにあたって、いつも自分が言い出しっぺだから今日はみんなのやりたいことを聞きたいってところから始まるんだけど、学校で一時期騒ぎになった人魚の噂を放置しておくとローラが学校生活を送りにくくなるかもってことで、学校の怪談調査をして話題の目線を変えて鎮静化させようってことをみのりん先輩が提案してくれる。それでお化けが苦手なまなつにスポットが当たるわけですね。
・いつも自分が言い出しっぺだからみんなやりたいこと出来ているのか心配していた。
・自分以外の誰かがせっかく提案してくれたことを自分のせいで台無しにしたくない。
・不思議調査はローラのためにもなる。
からお化けは苦手だけど頑張りたいってのは、まなつが苦手なことを頑張るって話を自然に展開することができるし、まなつが他人を思いやることができる子なのを同時に表現できているので上手い持って行き方ですよね。
この話では怪談の主である裏山の廃屋に取り残されたしゃべるお人形さんとまなつが仲良くなるって展開ですけど、その中でお人形さんが昔一緒に住んでいたお友達を待っていると聞いたら屋敷を壊す(放置していても危ないから取り壊すことが決まっていた)のを待ってもらわなきゃって繋がるのもすごく自然にまなつの掘り下げになっている。
実際のところお人形さんの正体はエルダだし、お友達を待っているは思い付きの口から出まかせなんですよ。それを信じてしまうまなつの素直さも相まって思いやりがより伝わるってのも分かりやすくいいですよね。
そこでまた上手いのがエルダは咄嗟の嘘をついたとはいえ、状況的に自分の乗り物が壊れて帰れなくなったから一人で寂しくお迎えを待っているってのは本当のことで、心情的には自分の嘘と重なっているので、全力で心配してくれるまなつに対して「けっこういいやつね。」とかけた言葉は本心だと思えるし、視聴者側も気持ちを重ねて見ることができますよね。
そして思い返すとトロピカる部の活動ってまなつがやりたいことを提案しているのはそうなんだけど、実はまなつ個人がただやりたいじゃなくて
・誰かのために(お弁当作りはお母さんのため)
・誰かと一緒に(サンドアート大会は他の人たちに参加して欲しいから部活対抗にしたし、保育士体験は学外であればローラも参加できるからやりたいってことになった)
・困っている人がいて(放送委員の回は悩みを聞いたからじゃあとなっている)
のようなことがまなつのやいりたいに繋がっているんですよね。
これってテンポがいいのもあって何となく見ていてるとその時に気付くの難しいし、気付かなくても話の進行的に違和感も不都合も無いんですけど、後からまなつってこんな子だよって言われるとそういえばってなるんですよね。
作中でどうでも良さそうなセリフや描写にも思い返すと意味があるんだってなるってことは、最初から人物像がブレずにしっかり表現できているってことだし、トロプリいったいどこまで考えているんだ?ってなるから面白いですよね。
決してノリとテンポ感だけで話作りをしていないのが分かりますよね。むしろ非常にロジカルに作っているなと思えちゃいます。
だからこそ後述します最終回でのまなつとローラのやり取りがとても愛おしく尊いものになるんですよね。
日々の積み重ねや、過去の描写を意識して話作りしてくれるのって、1年続くからこそできることだし自分がプリキュアシリーズを好きで見てるのも、50話近くも見るなかでそういう演出を見せられるのがとても好きだからってのはあると思います。
枠が決まている中でキャラクターを如何にうまく描くかってめちゃくちゃ大事だと思うんですね。
トロプリはその辺をとても上手にこなしているんですよ。

4.トロピカる部とかいう謎の組織

まなつたち5人はトロピカる部という部活に所属しています。
これを聞いて「なるほど、トロピカる部ね。」となる人は才能があるので直ちにトロピカル~ジュ!プリキュアを視聴したほうがいいですね。きっと楽しいよ。
まあそんな人はいないと思いますけど。だってトロピカる部って聞いても普通に意味わからないでしょう。
私がトロプリを初めて観たのが11話「もりあがれ!海辺のサンドアート!」という回で、この話はトロピカる部が初めて学校の他の部活を巻き込んでイベントを企画する話だったんですけど、トロピカる部という言葉を聞いた時は「トロピカる部って何だよ?聞き間違いか?」って思いましたよ。
実際にアニメを見ても具体的な部の目的はわからなかったし、とりあえず楽しそうだなとは思ったけどトロピカる部が何者かはよくわからないまま。なんとなく楽しそうなことをしてるから、とりあえず受け入れさせるようなパワーはありましたよね。
ちなみに「トロピカる」は恐らくまなつが作ったであろう言葉で「常夏の太陽みたいにキラキラまぶしい幸せな気持ちが、胸の奥からぶわーー!っと湧き上がってくるような感じ」とのこと。なんかすごそうだよね。でもトロプリを見てるとトロピカってる!って言葉がクセになっちゃうからね。
パワーワードすぎていい感じのことはだいたい「トロピカってるー!」で片ついちゃうくらい汎用性が高いですし。たぶん思い込まされてるだけなんだけど、トロピカってるから問題なし。
トロピカる部がどんな部活かって話は、第6話「今はじまる!その名は、トロピカる部!」の部活設立回を見ても、生徒会長に「こんな何をするのかわからない部、認めるわけにはいかない。」と言われているのに対して「しゃあない、本当に何をする部かわからんもんな。」となるくらいには具体的な活動内容は謎に包まれています。
その名は、って勿体ぶった上でトロピカる部!バーン!って出されても普通に疑問符しか出てこんだろ。
設立にあたって「今一番大事なことをやる部活」としてその時一緒にいたOGの先輩方の後押しもあり、設立が認められましたがやっぱり具体的にはさっぱりなままです。まなつの人間力で設立をもぎ取った感じですね。生徒会長もよく折れてくれたよね。
しかしこの部活動っていうのが設定として実に活きているなと見ていくうちに思うようになります。
話を作る時に5人が基本的に同じ空間にいるほうが都合がいいわけですよね。そうした中で部活動という活動の基盤があれば校内で一緒にいる時間は増えるし、放課後一緒にいるのが自然だし、土日であっても部活動の一環ってことにしちゃえば集まっているのにいちいち理由がいらなくなるわけですね。
部活動という同じ目的を持って動くから会話の流れも想像しやすいし、回を進むごとにキャラクターの役割も明確になっていくから人となりが見えてくるし、大きな事件を起こさなくても自然とキャラクターの掘り下げが進んでいくんですよね。
また部活自体の成長を描くことも物語にできるようになっているのも無駄なくていいなと思うところ。何を目的とした部活なのか全く分からない中でも、例のサンドアート大会を開いたように、いろんな人を巻き込みながら楽しい企画を運営したり、困っている人のお手伝いをしていくことで徐々に学校内での信用を得ていく形になっていきます。
この周囲から徐々に認められていく過程を描いてくれてるのが最高に気持ちよくて、普段からトロピカる部を見ている視聴者側の自分たちは絶対嬉しくなっちゃうんですよね。こういう設定の無駄の無さもトロプリやっぱ頭いいのでは?となって好きになっちゃいますね。
また認められたくてやっているってわけじゃないから、そういう描写はあくまでさらっと描いちゃうってのもいいんですよね。あえてドラマチックにはしないってのが話は脱線しない程度に、でもみんな嬉しくなっちゃういい塩梅だなって思うんですね。
トロピカる部って何かしらのイベント運営していることが多いんだけど、運営としての役目もちゃんと果たしているのがさりげなく描写されるのもすごく好きで、イベントの説明とかしっかりしているし、自分たちが参加しながらもトラブル対応みたいなことをしている描写もちゃんとあるんですよね。思いついた!さぁやろう!上手くいった!楽しかった!が基本だし、それだけでも話自体は成立すると思うんですけど、イベントの運営が思い付きだけで成立しているわけじゃないって描写がちゃんとあるのってすごく丁寧だなって思いますね。
特に26話「晴れわたれ!キラキラ☆流星群の夜!」は細かい描写がめちゃくちゃしっかりしていて
・流星群を見るイベントのために夜の学校を使いたい→校長先生の許可を取りに行き、保護者の許可を得たうえで顧問の桜川先生に引率してもらうことで許可を得る。
・知ってもらわなきゃ人が集まらない→校内で宣伝活動をする。過去の話で知り合った放送委員にも協力してもらいしっかり宣伝するあたり、ちゃんと話がつながっているし無駄がない。
・曇り予報が出ている→炎の晴れ男(あすか先輩のお父さんトロピカってるね!)を呼んできて晴天祈願を行う。
・人が思いの外集まる→ブルーシートを追加で用意する。
とまあしっかり運営をしているんですよね。
そしてイベント運営が大変だってことは別に主題じゃないので、大変そうには描かないんですよね。このさりげなさがかなり好きポイント。
話の主題的には興味の無いことでも目を向けてみたら面白いことってたくさんあるよねってことだと思うから、別にそこまでしっかり運営の役目を描写する必要もないような気はするんですけど、踏むべき段取りがあるのと無いのとでは物語の説得力が変わってくるので、その辺もトロプリの上手いところですよね。
またトロピカる部の活動って基本的にみんなで協力してやっているので、作中通して団結して何かをやり遂げることの達成感や楽しさみたいなことを描きながら、みんなの仲が良くなっていくのもとても自然で、トロプリの見やすさってこういう部分からも来ているように思いますね。

5.ローラ・アポロドーロス・ヒュギーヌス・ラメール

好き。
トロプリの最大の魅力といってもいいかと思います。
トロプリは何においてもローラを主軸に回っていきますから。
ローラを好きになるならないは個人の感想でしかないですけど、苦手意識があってしまうとあまりにも話の中心すぎるのでアニメを見るの自体がキツくなってくるんじゃないかと思うくらいにはローラが出ずっぱりです。
物語の冒頭で人魚の女王様が「人魚と人間の心が通じ合ったとき奇跡が起きてプリキュアが現れる。」的なことを言っているんですけど、トロプリの軸はここなんです。
人魚と人間の絆の物語なんですね。
つまりローラと他のトロピカる部4人との友情物語ってことになります。
だから話の中心には基本的にローラがいます。
ローラとまなつ、ローラとさんごちゃん、ローラとみのりん先輩、ローラとあすか先輩、この関係性の変化が一番の軸になるのでローラは誰よりも出番が多くなります。
故にローラの行動や心理描写に説得力がないと絶対にダメなんですよ。
逆にそこがしっかりしているからこそ、トロプリ最大の魅力と言えるわけですよね。
トロピカる部が結成して、なんとなく部活メンバーの立ち位置が定まったよってなる10話以降からめちゃくちゃ丁寧にローラの心情の移り変わりを描写してくれるんですよね。
特に11話から17話で初変身するまでの、ローラが人間と仲良くなりたい、人間になりたいって考えに至るまでの導線があまりに丁寧で、初変身で尾びれが脚になるシーンは涙なしでは絶対に見れません。
だって1話時点では「人間なんて自分が手柄を立てて人魚の女王になるための捨て駒」だってはっきり口にするくらいには人間のことをないがしろにしていましたからね。そんな子が人間になりたい。ときっぱり言えるようになるまでの変化って相当ですよ。
ローラって思ったことは割とすぐ口に出すし、納得できないことには断固抗議の姿勢を示すくらいに素直な反面、やりたいことに対して「やってあげてもいいわよ。」とか、面白いと思ったものに対して「悪くないわね。」とか言っちゃうくらいには素直じゃないんですよ。自分のわがままにとれるようなことだったり、相手に希望を聞いてもらうみたいなことはあまり表に出さないんですよね。だから人間になりたい、みんなともっと一緒に色んなことしたいなんて、みんなの前では口が裂けても言わないんですね。かといってモノローグとかで言わせるわけじゃなくて、部活動中にあえてローラが疎外感を感じるような状況を作り出したり、ローラとみのりん先輩の人格を入れ替えたり(なにそれ?)して人間に対して思いを巡らせる時間を自然?に(トロピカってるからOK!)作り出して、視聴者が簡単にローラの心理を想像できるようにして説得力を生んでいるわけですね。やっぱりロジカルだね。
そのうえでローラと入れ替わったことがあって、膨大な読書量の成果からくるるんの考えていることすら想像できちゃうみのりん先輩がそれに気づいて言及するのも、それまでの話と二人の関係性があってのことだし、とてもいい演出になるんですよね。(余談だけどローラとみのりん先輩の関係性が大好きなんですよ。ローラにその足は何のためについてるの!?って言わせるのすごくよくないですか?ローラが弱気になっているみのりん先輩にしゃべらせるためにパパイヤについて質問するのとかめっちゃいいよね?人前で緊張せずにしゃべるためにローラを参考にするみのりん先輩とかかわいいじゃんね。それに対してなによそれって微笑交じりに返せちゃうのめっちゃいいよね。)
こうして非常に丁寧に人間の女の子と人魚の女の子が仲良くなる過程を描くんですよね。ってことは、物語の行き着く先って非常にわかりやすくて、あぁこれはお別れに向かう話だなって想像できちゃうんですよね。
ここで見てる側が話の方向性を想像できるように作るのって非常に上手いですよね、自然と先の展開気になるもん。
ここが物語の一番大きな縦軸になるから、季節感のあるイベントが入るにつれてそこに近づいていくのが分かって気持ちがしっかり動くんですよね。
しかも後半に差し掛かる37話で人魚の世界の掟で人間と関わった人魚はその記憶を消すことになるとかいう衝撃の事実まで発覚するのが、えっそんな湿っぽいくて闇の深そうなことやるんかいってなりますよね。トロピカってなくなーい?ってなっちゃう。
ただ暗い話にはなりません。なぜならトロプリだから。湿っぽいのはトロピカってないので。この作風もトロプリの好きなところですね。
ここまでローラとのお別れを予感させる要素モリモリの中でもトロピカる部から絶対にいなくなる人が他にいるんですよね。3年生のあすか先輩ですね。
卒業が控えているんですよ。ローラから目線を外しつつお別れが来るという事実にしっかり言及することで、目線を変えてやるだけでローラ側にそのまま感情が移るようにしてるのってかなり巧みな仕掛けですよね。
そして卒業するにあたって送り出しのためのイベント(トロピカ卒業フェスティバル通称トロフェス)を企画する流れになるのもトロピカる部のこれまでの活動を思うとめちゃくちゃ自然な流れだし、そこに他の部活動や生徒会を巻き込むのも過去の活動があるからちゃんと説得力があるんですよね。
ローラとのお別れを最大限に演出するために過去のそれまでの話が活きてくる構成になっているんですよね。
41話で一見すると本編と関係ない総集編が入るんですけど、お別れの前に一度みんなとローラの出会いを振り返ることで視聴者が思い出すことになるし、ローラと本人の間でしか知らないやり取りをトロピカる部で共有することでトロフェスに向けてお互いの気持ちを高めあう演出になっていて総集編なのに無駄がないんですよね。やっぱりアニメ作るの上手いな?ってなりますよね。
このように物語の軸にローラがいるってことを1年間絶対に崩さなかったトロプリの姿勢が本当に大好きなんですね。
そしてローラ自身が人間的に魅力のあるキャラクターだってこともしっかり描いてくれているので、そんなん好きになっちゃうよね。


6.万感の最終回

1年アニメですから、ここが好きってのはやっぱり大きなポイントでしょう。
最終回では4人とローラのお別れが描かれますよね、お別れを惜しむ気持ちを持ちつつも夢のために帰っていくローラの背中をみんなで押すわけですけど、ローラと過ごした時間が一番長いまなつが一番自分の感情を抑えてローラを応援しているというのも分かるし、他人のやりたいことを全力で応援するのがまなつだってことを考えると、そのまなつがローラの決心を邪魔するようなことは決して言うはずがないんです。
だからこそ最後の最後で劇のセリフが言えず「行かないでローラ」と言ってしまう瞬間がとても胸を打つわけですよね。
この瞬間を演出するための今までだったって素直に思えるから良い最終回なんですよ。
そして涙涙の最終回かと思えばそうはならないんですね。なぜならトロプリだから。湿っぽいのはトロピカってないので。
ここから劇に戻れなくてセットを倒しちゃうまなつ、押しつぶされるローラ、そして天丼。さっきまで泣いてたはずなのに急に笑いが巻き起こって最終的にはみんな笑顔、ここまで見てトロプリが好きな人にとってはこれこそトロプリだ!最高にトロピカってる!て言える最高の演出。いやー大好き。
最後はお別れして人魚の掟通りみんなの記憶がなくなるけど、それを見越して事前に手を打っているローラのしたたかさもまた良いんですよね。そこに最後は和解(?)(一応謝っていたし、なにより引きずるのはトロピカってないからね。)して別れた敵勢力を利用するって展開もなるほど無駄が無いとなりますよね。あるものは使ってなんぼなトロプリ最高だね。
まなつと再会した際のお互いの名前がスッと出てくるセリフ回しもあくまでドラマチックに描かない。なぜならトロプリだから。湿っぽいのはトロピカってないので。
ここまで1年間通してきた作品の雰囲気を大事にしてトロピカってる!って自然に言えるように作品作りをしてくれるトロプリが大好きだ!

まとまらない

とまあここまで長々と書いてきてたら1万字を超えてしまったし、自分が何の話しているのか分からなくなってきたのでここらで閉廷としたいのですが、まとまらない。
まだまだ好きな話好きなところいっぱいありますし、一話ずつ書こうものなら一生書いていられそうですけどそういうわけにもいかないのでとりあえず終わらせます。
ただくるるんについてほとんど言及しないまま終わるのももったいないので、くるるんについてだけ少し書きます。
くるるんって海の妖精として登場して、画面にはちょくちょく映り込んでいますけど、話の本筋にほぼ何も絡まないんですよね。しいて言えばローラが魔女の館に捕まった時に逃げ出すのに活躍したくらい。しかし舞台装置としての機能は多分に果たしていて、そこにいればかわいいし、文鎮代わりにされていたり、家出してきたエルダの背後にいきなり現れたり、いるだけで本当に面白いので存在が優勝!なくるるんも魅力ですよね。
くるるんかわいい。
ということで私がどれだけトロピカル~ジュ!プリキュアが好きかはここまで読んでくれた人(いる?)には十分伝わったかと思います。
ということで皆さんも一緒にトロピカってこー!!

さ よ う な ら


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