「フィリピンの国際収支 (BoP )が、2023年2 月に、8 億 9,500 万ドルの赤字に」

フィリピンの国際収支 (BoP )が、2 月に、8 億 9,500 万ドルの赤字となり、1 年前の 1 億 5,700 万ドルから拡大し、直近5 か月で最大の赤字となりました。
国際収支は、経常収支と金融収支、資本移転等収支に大別され、経常収支はさらに、自動車などモノの輸出から輸入を差し引いた貿易収支、旅行や特許使用料などを対象とするサービス収支、配当・利子のやりとりを示す第一次所得収支、対価を伴わない無償資金援助などの第二次所得収支に分けられます。
2023年1 月の国際収支は、30 億ドルの国債発行により、 30 億 8000 万ドルの黒字でした。
一方、2 月の赤字は、主に中央政府 が外貨債務を決済し、さまざまな支出を支払うために中央銀行(BSP)の預金から資金を引き出したことから生じました。
中央政府の債務残高は 1 月末時点で 13.698 兆ペソに達し、12 月末の 13.419 兆ペソより 2.1% 高くなっています。この内、対外債務は 1 年前から 17.8% 増加して 4 兆 3140 億ペソになっています。
国際収支(BoP) は、特定の時点におけるその国の海外との取引を測定します。赤字は、入った資金よりも多くの資金が流出したことを示し、黒字は、より多くの資金がフィリピンに流入したことを示します。
BoPの赤字拡大は、貿易収支の赤字が主な原因です。世界的な商品価格の上昇によって輸入が膨らんでいると共に、フィリピン経済の再開による需要増が、重なっています。
貿易赤字は 12 月の 45 億ドルから 1 月には 57 億 4000 万ドルに膨らみました。輸入が3.9%増加して109億7000万ドルになったのに対して、輸出は13.5%減少して52億3000万ドルになりました。
経常収支の悪化は、OFWの送金やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の海外売上が、貿易収支の赤字を穴埋めできていないことに起因します。
2022 年の経常収支赤字は、2021 年の 59 億ドルから 178 億ドルに上昇しました。 
また、米連邦準備制度理事会( FRB)の利上げサイクルに対する懸念から、不確実性が高まり、資金流出が流入を上回ったことも要因です。
1月の個人送金は前年比3.5%増の30億7000万ドル、現金送金は27億6000万ドルに跳ね上がりました。
海外機関投資家やファンドなどの投資は、1 月に 2 億 9,212 万ドルの純流入を記録しました。
中央銀行の2月末のドルポジションは、前月の1,007億ドルから2.5%減少した982億ドルになりました。これは、7.4 か月分の商品の輸入とサービスの支払い、および第一次所得を賄うのに十分です。
また、短期対外債務の5.9 倍、全対外債務の3.9 倍です。
今後、フィリピンのドルポジションは、OFWからの送金、BPO収入、海外ファンドからの投資、観光収入の継続的な伸びによって支えられる可能性があります。 
また、2023 年の第 2 四半期に中央政府が予定している 30 億米ドルまたはユーロ建ての個人向け債券(少なくとも 5 年の期間)、国際収支にプラス加算されます。
中央銀行は、2023年末時点で、16 億ドルの国際収支赤字(GDP の -0.4%)を予想しています。これは、2022年12 月時点での予測 54 億ドルの赤字 (GDP の -1.3%) よりも低くなっています。
フィリピンの国際収支は、 2022 年に 73 億ドルの赤字となり、2021年の 13 億ドルの黒字から反転しました。

本記事は、以下のニュースを要約したものです。
https://www.bworldonline.com/top-stories/2023/03/22/511996/bop-deficit-widens-to-895m-in-feb/


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