第18話 しょうちゃん ボクからのメッセージだよ
今日もしょうちゃんはいつも通り、いつもの同じ服を着てママと出かける。
今日は帰って来るのかな?
新しいところへ行って、もう帰ってこないのかな?
ボクはいつも通り
めいっぱい吠えて
めいっぱいしっぽを振って
最高のパフォーマンスで二人を見送った。
これでボクの朝の仕事はおしまいだ。
やれやれ、ゆっくりおやつを食べてお昼寝しよ~。
ボクはケージに戻り、しょうちゃんが置いていってくれたチーズを眺めてみた。
そして、しょうちゃんチーズをくわえて南側のマットのところに移動する。
ここは柔らかな光がガラス越しに差し込んで、背中が程よく暖かい。
ボクのお気に入りの場所だ。
あたりは静かで、下の方から道を行きかう車の音がするだけだ。
ボクはしょうちゃんチーズをマットに落として、改めてそれを眺めて考える。
ボクをペットショップから連れてきてくれたのはしょうちゃんだ。
しょうちゃんが、悪魔みたいに真っ黒なボクを選んでくれた。
悪魔って、きっと、しょうちゃんが大好きなお菓子なんだろうな。
ボクの名前のポッキーもお菓子の名前だもんね。
悪魔っていうお菓子みたいに真っ黒なんだね、ボク。
ボクは自分の両足を眺めてみた。
真っ黒って・・・
ボクは自分の両前足を見て、改めて気が付いた・・・。
あ、ボクは色の区別が良くわからないんだった。
ボクは、あてが外れた前足で、しょうちゃんチーズを少し転がしてみた。
チーズは少し動いただけで、もちろんそれだけのこと。
ボクはしょうちゃんが出て行ったドアに目を向けた。
そのドアは廊下の向こう、まっすぐでよく見える。
ボクは思わず、しょうちゃんが出て行ったドアに駆け寄った。
だけどすでに、しょうちゃんの匂いは消えていた。
仕方なく廊下を戻る。
と、しょうちゃんの部屋の扉がほんの少し開いているのに気が付いた。
ボクは鼻先をそのわずかな隙間に突っ込んで、ドアを開き、中に入り込んだ。
初めて入るしょうちゃんの部屋。
しょうちゃんの匂いで溢れてる。
その中でベッドの匂いが一番よさそう。
ボクはベッドに飛び乗ろうと、体制を低くし息を吸い込んでハッとした。
ママのベッドより高い・・・。
ジャンプは無理だ。
ボクは息を深く吐き出して、体制を戻した。
そうして感度抜群の鼻をクンクンさせて適切な位置を探し出し、そーっとマーキングを施した。
ボクを見つけくれてありがとう
しょうちゃんがどこに行っても忘れないからね
危ない目にあったらボクが守ってあげる
ベッドの下に敷かれたラグ。
お外の草むらと感覚が似てていい感じ。
ボクは急いでリビングに戻り、今度は心置きなく、しょうちゃんチーズをゆっくりと味わいにかかった。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。
また次回お会いできるのを楽しみにしております。
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