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第19話 リードはボクの命綱 でもママったらひどいんだよ

ボクは散歩が大好き!

今ではどんなとこでも歩けるよ。

でもね。

初めてリードを付けて外に出た時は、やっぱり一歩も歩けなかったんだ。

それまでお外に行く時はママに抱っこされてたからサ。

初めての事はなかなか大変なんだよね。


でもママは、歩けないでいるボクのことを怒らなかったよ。


いきなりでは歩けない事がわかると、お家に帰って荷造りひもを緩〜くボクの体にかけたんだ。


ボクの好きなボールで誘導して、おうち中でならひもをつけていても動けるようにしてくれたんだよ。

リードより格段に軽い荷造りひもを使ったんだね。

つながれることに慣れさせてから、またお外で歩かせてくれたんだ。


それがうまくいったから今度は、荷造りひもをリードに変えた。


そうしてだんだんに慣らしてくれたんだ。


ボクは、ママが引くリードがあるから、お外を歩くのも怖くない。

元気な男の子の自転車が、ボクのそばを猛スピードでで通り過ぎても、

狭い道で車とすれ違う時も、

リードのおかげでボクはママとお手々をつないでるみたいに安心できる。

砂利道だって

お砂場だって

水たまりだって平気だよ。

ボクが、臭いを嗅ぐことに夢中になっていても、ママがリードを引いて危険を知らせてくれるんだ。

そして時々会う、いばりんぼうの怖いイヌからも守ってくれる。

どっちに逃げたらいいか教えてくれるんだ。


ボクは歩きながら時々ママを見上げて、

「イイね」

って言って見せる。

そしたらママも

「イイね」

って笑って返してくれるんだ。


ボクの大好きな時間。
外の空気は気持ちいい。
草の匂いとか、お花の匂いとか、いろんな匂いに溢れてるんだ。

そしてボクの縄張りも主張できる。
ボクの匂いもたくさんつけてまわったよ。


でもね。

散歩に慣れてきたころ、困った事があったんだよ。


いつものように、少し狭い道を軽快に歩いてたら、ボクのリードがママの手から外れたんだ。


ママはそれに気づかない。
どんどん先に行っちゃうんだ。


ボクは、リードなしでは歩けない。

リードはボクらにとっては命綱のようなもの。

リードされずには動けないんだ。


ボクは、その場で、ママが来てくれるのを待つしかない。


そのうちにママとの距離がどんどん離れていって、すごく遠くに行っちゃった。

そうして、道がカーブしてるところでとうとうママの姿はボクの視界から消えた。

ボクはさすがに心細くなった。

でも、ボクはママを信じてる!

きっと迎えに来てくれる。


ボクはママが見えなくなった方向に身を乗り出す。

4本の脚は硬直状態。

その場所からは少しも動けないんだ。


ボクの目は遠くはよく見えない。

だから嗅覚をフル活動させるがママの匂いはいまだに感知不能だ。



どのくらい待っただろう・・・。

ついにママの匂いをボクの鼻は捉えた

直後、ママの姿が目の前に迫ってきた。

ボクはその場でクルクル回って喜びを最大限に表現したよ。



ママがボクを抱っこして謝る。

「ごめんね」

ボクはママの腕を、そっと舐めてママに返事した。

「いいよ」


ボクにはわかってた。

ママはきっと来てくれるって。


でも、これからは気を付けてよね。

ボク、一人では歩けないんだからさ。


ボクはそのことを伝えたくてママの腕をペロペロと二回舐めてみた。







今日も最後までご覧頂き、ありがとうございます、
またこの次にお会いできれば嬉しいです。






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