ウチナータイム圏内に住む人の実態と認識について

やりっぱなしの話だけど、テーマは面白いと自意識ライジングしてるから載せとく。

初めに
 ウチナータイムとは日本の南西端沖縄県に存在する、日本本土とは異なる独特の時間感覚のことを指す。明確な定義や発祥などはわかっていない用語である。沖縄県に加えて北海道や鹿児島県の人などもウチナータイムで動くといわれるときもある。これらは島ならではの時間に縛られない自由さなどのポジティブな意味合いで使われるときもあれば、約束の時間に守れないなどとネガティブな意味合いで使われるときもある。APU生活で過ごす中で私は北海道出身の友人がウチナータイムゆえに約束の時間に守れなかったのだと言っていた場面に遭遇したことがある。はたしてウチナータイム発祥と言われている沖縄では本当に老若男女にいたるまでウチナータイムの存在が認知されているのか、そのように他者から認識されることにどう感じているのか疑問を持ち、それらに焦点を当てながら調査を進めた。調査対象は沖縄出身のAPU生2名(男1女1)である。調査方法は電話を通しての口頭のやり取りを選び、主に以下の5つの質問を軸に対談をおこなった。1ウチナータイムは本当に存在するのか2ウチナータイムとはどのようなものか3ウチナータイムが要因となり他文化の人と衝突したことがあるか4沖縄県と県外の時間の流れの感じ方は異なるのか。
 本稿ではウチナータイム圏外に住んだ経験のある沖縄県出身大学生の違和感や認識に着目してまとめる。

1. ウチナータイムは本当に存在するのか
 ウチナータイムという習慣は確実に存在し、未だ沖縄県民内で適用されている。本質問に対して2人の返答はおおよそ同じであったと言えるだろう。特に具体例を挙げる際に「7時に集まるとして」の仮定を使用し、その際にウチナータイムが適用されると30分か1時間の遅れが出ると予想したところも同じである。ここから少なくとも現在大学生である世代は実際にウチナータイムが確実に存在しており、ウチナータイムによって時間がずれる範囲は30分~1時間といえるだろう。2時間以上の遅れはウチナータイム圏内の人でもさすがに受け入れられないようである。
ウチナータイムは全世代共通の文化かという質問に対してはAB両人の意見を得ることはできなかった。しかし、Bとの対談内では年上の世代には適用されるが、小学生などは時間を守るといった話があった。つまりウチナータイムは現在存在しているが、今後もその地で引き継がれてゆくかは定かではないと考えられる。

2. ウチナータイムとはどのようなものか
 AB両人ともにウチナータイムは沖縄県特有の文化であり、待ち合わせ時間に遅れるなどといった形で現れると述べた。しかしこのウチナータイムの概念が適用されるのはあくまでも友人間などの親しい尚かつ同じ地位に立つ人間同士の場合である。目上の相手や初対面の相手との待ち合わせや、部活、仕事などといった時間に厳しい場面ではいくらウチナータイム圏内の人びとも時間を守るようである。ウチナータイムの背景にある心は、許し合う気持ちだとAは述べていた。相手の多少の遅れは許し、次に自身が遅れた時には逆に許してもらうといった構図でこのウチナータイムは成り立つのである。
 ウチナータイムを認識した時期や手段についてABは共に明確には覚えていなかった。ウチナータイムはあくまであって当たり前のものであり、内地とは異なることはTVの情報や内地から来た人又は親によって伝えられ、後天的に知ったようである。

3. ウチナータイムが要因となり他文化の人と衝突したことがあるか
 両者ともにしたことがないとの返答であった。これはAPUという環境が大きく作用しているのではないかと考えられる。Bが述べたようにそもそもAPU生は時間にルーズなケースが多く見られ、多様性に寛容な別府やAPUコミュニティーで彼らウチナータイム圏内の人びとが暮らしているうちは、衝突はほぼないといえるだろう。Bの話によると自身がウチナータイム圏内から来た人間であるゆえに、時間に遅れないように気を張って待ち合わせ時間前に向かったが実際は他の人々の方が遅く到着したケースもあったようだ。彼女は一度そのギャップに驚き、なぜウチナータイム圏内でないのに遅れるのだろうと違和感を持ったことさえあるらしい。

4沖縄県と県外の時間の流れの感じ方は異なるのか
 沖縄県は他の地域よりも時間がゆっくり流れているというイメージは一般的なものであるといえる。そのようなイメージはリゾート地などで多く見られるものと同じである。ABは両人とも別府から沖縄に戻ったときに「時間がゆっくりだな」と感じるそうだ。Aはなぜそのように感じるのかまったくわからないと述べていたが、Bの話によると友達や自然に触れている時間が特にゆっくりであるように感じるそうだ。これはウチナータイムという文化が発生した背景につながるであろうと予想し、そのような関係があると感じるかという旨の質問をしてみたが両人ともに「よくわからない」との返答であった。

質問外で得られた発見について
 Bは沖縄県にウチナータイムという文化が存在していることを認識していながらも、自身は時間を浪費したくないと述べている。しかし彼女は自身が早く待ち合わせ場所に到着したとしても友達が遅れてくるのはまったく構わないと述べた。これは、ウチナータイムとは時間にルーズなどネガティブな面を見直す一因となるのではないだろうか。通常私たちは遅刻してくる人を待つとき、その人に自分の時間を無駄にされたと感じる。しかしBにとって相手を待つ時間は決して無駄な時間ではないのだ。これは私たちとウチナータイム圏内の時間への態度や認識が根本から異なることを示しているのではないだろうか。
 また少なくとも大学生の世代は、ウチナータイムの発生や由来を認知してないことが分かった。

最後に
 今回の調査は未熟で質が十分でないものであったため、当初の目的を果たすほどの結果を得られることはできなかった。しかし、「質問外で得られた発見について」でも述べた通り、私たちとウチナータイム圏内の時間への態度や認識が根本から異なるのではないかという新たな問いを得ることができた。また全世代への聞き取り調査は行えていないため、今後研究を続けるならデータ収集の必要である。

大学の課題のアーカイブってことで。卒業後とかに見返したらどんな風に見えるのか楽しみや

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