鉛フリーはんだと上手に付き合う

弊社くらはし屋は今年から鉛フリーはんだに完全に移行しました。使用しているハンダと機材についてまとめました。

リフローの場合

リフロー炉は以前から使っているLY-962Aです。比較的廉価で熱風+赤外線ヒーター式、単純な赤外線式と比べると大きな基板でもムラが出にくいかなと思ってます。共晶ハンダの時にはプロファイル1(最高220度)、鉛フリーはんだではプロファイル3(最高温度250度)を使っています。商用電源100Vで使うと昇温が遅く、特にプロファイル3では失敗の原因になっていましたので、溶接機用の昇圧トランスを導入しました。AliExpressだともっと安いのがあると思いますが、常時コンセントに刺したまま使うので一応日本メーカー製のものを購入しました。115Vで使っています。

はんだペーストは千住金属工業の「エコソルダーペーストM705-GLV Type4」を使っています。M705はよく糸ハンダとしても売られているハンダですが、フラックス成分の透明度が高く白い基板で260度10秒まで上げてもフラックスが透明を保ったままです。ただ、ハンダの表面の仕上がりは、ザラっとした「よく見る鉛フリーはんだ」の表面ですね……。

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ハンダゴテ作業

こっちも千住金属工業のエコソルダーGA-ST F2 M24APを使っています。このハンダのことはTiwtterで教えていただいたのですが、M24APというハンダは共晶と区別できないほど仕上がりがキレイです。

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ハンダゴテFX-100の温度設定は共晶も鉛フリーも350度設定、コテ先はT31-03D08 / 0.8D型がメインでときどきT31-03D16 / 1.6D型を使います。コテ先温度はもうちょっと下げたいのですがFX-100はコテ先ごとに温度が決まっていて50度ごとにしか温度を変えられないので我慢してます。一度、別のマイクロソルダリング用ステーション型を買ったみたのですが、IH加熱のFX-100と比べるとハンダゴテをあてたときの温度変化が大きくて私には使いこなせませんでした。

鉛フリーにしてからコテ先の酸化がひどく、すぐ真っ黒になってしまいます。チップリフレッサーで処理するとその時にはキレイになりますが、すぐに酸化膜に覆われてしまいます。

そこでコテ先ポリッシャーを導入しました。


これは回転する2本の真鍮ブラシでコテ先のフラックス残渣と酸化膜を掻き落とす装置なのですが、ほんとピッカピカになります。作業の最後にこれで汚れを落としてピカピカになったところでハンダメッキをしてコテとクリーナーの電源を切ります。

汚れがひどいときには付属のケミカルペーストFS-100で表面を覆ってから使いますが、すごく体に悪そうな煙がのぼるので、よっぽど酸化がひどい時しか使いません。私のところではブラシで酸化膜が落ちない場合にだけ使っています。酸化膜が落ちなくなるのは、作業後にちゃんとハンダメッキしないで長期間放置した場合です……作業後のお手入れすごく大事です……。

FT-700の欠点は交換ブラシが高いことでしょうか。2500円ぐらいします。ほぼ毎日2ヶ月ほど使って、まだ傷んだ感じはないですが、ペーストFS-100が付着してしまって使うたびにうっすら体に悪そうな煙が立ち上るので、できればFS-100用とそうでないものにわけるか、洗浄したいです……。

最後に余談

リフローで使っているハンダペーストもハンダゴテ作業で使っている糸ハンダも、どっちも業務用で入手がめんどくさいです(千住金属工業に連絡して業者を教えてもらい、業者に見積もりを依頼して代金を振り込み、業者にとどいたら受け取りに行く……なんと昭和の薫り)。

そして量が多いです。ペーストは500g、糸ハンダは1kg入りです。

ペーストは使用期限内に使いきれませんので、原価ちょい割れで小分け販売をしています。一度試してみたい方はぜひ。

糸ハンダもご要望があれば小分けを検討します。実はそのために糸巻き機を作ったんですが、いまいちキレイに巻き取れないのでどうしようかなと思ってます。

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こっちは1kgのハンダをスムーズに送り出すための軸受です。左がSLA(Elegoo Saturn)、右がFDM(snapmaker 2)です。どっちも使い始めてまだ条件だしをしている最中なので仕上がりが微妙です……。

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引き出しにベアリング付き軸受でヒノキの棒を取り付け、そこからハンダを引っ張り出して使っています。

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