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雲間サイエンスカフェ「あなたの知らない量子の世界」

2020年2月23日(日)14:00〜16:30
話し手:高橋 徹 先生(広島大学大学院先端物質研究科 量子物質科学講座)
聞き手:雲間店長 寺本紫織さん

久しぶりにサイエンスカフェに参加してきました♪
サイエンスカフェとは,美味しいお茶とお菓子をいただきながら,科学の難しいテーマをかんたんにお話してもらうイベントです。

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サイエンスカフェは講師の先生のお話を,ときどき雲間店主の寺本さんがツッコミを入れながらすすみます。(まるでおうちにいるかのようなくつろぎっぷりの寺本さんw)

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今回のテーマは量子でした。
わたしはちゃきちゃきの文系なので「量子ってなにそれ,おいしいの?」状態で,聴きに行きました(^^;)

ここから先は,そんなわたしのつたない記憶たよりに書いたメモです。

量子ってまだここ100年くらいで論じられてきたことらしくて,それ以前は「量子」という考え方はなかったのでした。
そもそもは「光」について考えていたのです。

17世紀後半,かの有名なニュートンさんは「光って粒じゃね?」と言いました。よく雲間から太陽光がまっすぐ線のように差してるように見えるけど,そうなるには光ってのはちっちゃい粒じゃないの?て考えたわけですね。
その後,ホイヘンスさんという人が「光って波じゃね?」と言いました。ニュートンさんの説明だと光がモノの後ろに回り込んだりすることなどが説明できなかったからです。湖に浮かんだボートに波がやってきても,ボートの向こう側に波がつたわっていきますよね。これは波の性質だからできるわけです。光だって回り込むじゃない!と言ったわけです。

それから月日は流れ去り・・・

19世紀初頭ヤングさんが「ヤングの実験」をおこないました。
これは2つのスリット(穴)のある板に光をあてたら,板の向こうにあるスクリーンに光はどう届くかを実験したものです。
もし光がまっすぐいくのなら,壁にはスリットと同じような2本の線ができそうですよね。でも実際にはスクリーンにはシマシマができたのです。

https://youtu.be/ImknFucHS_c
この動画の1分19秒あたりから見てみましょう。

こういう風に干渉し合う状態になるのは波の性質があるからだとわかりました。

そして,19世紀中頃マクスウェルさんが「マクスウェル方程式」を発表しました。それまでにも電気と磁気という考え方はあったのですが,電気と磁気からできる波々をちゃんと計算できるようにしたのです。
そしてその計算から「電磁波」というものも考えました。
そして「光のことも計算合うやん!」「光も電磁波!つまり波!」と言ったのです。

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(今だから言えるけど)電磁波ってこういう種類があります。
レントゲンなどに使うX線は波長が長く,ラジオやテレビの電波などは波長が短いのです。ちなみに電子レンジはマイクロ波を使っています。

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https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/ishijima/microscope-01.html

それぞれ波長と振動数が決まっています。波長はナミナミの横の幅,振幅はナミナミの縦の幅になります。

この頃には「光って波よね〜」説が強くなりました。
そんな流れの中,20世紀初頭アインシュタインさんが出てきました!

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ちゃきちゃきの文系でもこの顔とお名前は知ってるくらいの超有名人!
この方がなんと「光は粒じゃん!」と言ったのです。
マクスウェルの説ではどうしても説明できないことがあったのです。

金属に光をあてると,電子がピョンと飛び出してくる場合があります。
これはなぜか波長が長い光をいくら強くあてても飛び出てこず,波長が短いと弱くても飛び出たのです。これをマクスウェルさんの説では説明できなかったんです。
しかし,アインシュタインさんは光が粒であると説明がつく!と言ったのです。
アインシュタインさんはこれでノーベル賞をとりました。

1913年にボーアさんという人がそれまでの原子構造とは違うことを唱えました。
それまでのやつってのは,原子核(プラスの陽子と中性子のかたまり)の周りを,マイナスの電子がくるくる回ってるやつ。これ習いますよね,わたしも習いました。

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しかし,ボーアさんはこれだと電子がピョンと出ていった後,エネルギーを失って電子が原子核に落ちそうなのに落ちないことの説明できないとして,新しい原子のモデルを考えました。それがこんなやつです。

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あれ,なんかナミナミじゃね?

1924年にド・ブロイさんという人が博士論文を書きました。(なかなか激しい髪型ですねw)

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この論文は
「光だけじゃなくて全ての物質が,粒だけど波みたいにふるまうぜ!」という内容でした。しかし指導教員たちはだれもこの論文を理解できず,教授のひとりがアインシュタインに聞いたところ,
「この論文はノーベル賞に値する!」と言ったのです。
そしてド・ブロイさんは実際に1929年にノーベル賞をもらったのでした。

ボーアさんは,先程の電子のナミナミがド・ブロイ波の波長の整数倍でないと,波線がうまく閉じないぜ,これが量子の条件だぜ,と言いました。

と,いうわけで(?),ここにたどり着くまで長かったですが,この
「粒みたいにも波みたいにもふるまう」というやつを「量子」と呼ぶことにしたんです。
ええ,わかりますよ,その気持ち・・・・粒だけど波ってなにさ!みたいなね・・・でも,だってそういうことになっちゃったんだもの(byたれにゃんこ)

その後,シュレディンガーさんがボーアさんの説をうまく方程式にしました。そう名前くらいは聞いたことありますよね。「シュレディンガーの猫」のシュレディンガーさんです。猫については,後で説明します。
とにかくシュレディンガー方程式でナミナミを計算で導くことができるようになったのです。

しかし,量子ってやつぁー,一筋縄ではいかないやつだったのです。

最初の方で説明した2つのスリットの実験,その実験でこんなこともわかりました。
1つの電子が両方の穴を通ってる,自分で自分に干渉している(一粒子干渉)。
えぇー,なんじゃそりゃドッペルゲンガー?(-_-;)

https://www.youtube.com/watch?v=vnJre6NzlOQ
この動画の3分6秒あたりから

そしてそのまま続けて動画を見ていると,人間がスリットの通過を監視すると,電子はシマシマを描かず2本の線を描いたこともわかりました。
えっ,人間が見てただけなのに?電子みたいなちっちゃいものがそれをわかったの?

このあたりからなんだかもう理解を超えてきてるんですけども・・・
がんばって続けましょう。

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さて,そういうわけで(?),ボルンさんという人とかが「量子ってのは確率的なことがあるんじゃね」と言ったのです。

しかし,シュレディンガーさんは「シュレディンガーの猫」という思考実験をして,そんなおかしなことがあるか!と言ったのです。

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Schrodingers_cat.svg

ある閉じた部屋があります。そこには放射線を出す装置があって,放射線を観測する装置が検知すると金槌でガラス瓶を割ります。ガラス瓶には毒ガスが入っていて,猫は死んでしまいます。しかし放射線がいつでるかわかりません。
わたしたちは,この部屋を開けた時,猫が死んでることもあるし,生きていることもある。そんなことが同時に存在するなんてあるものか!と言ったんですね。
(シュレディンガーさんはこれで嫌になって量子力学の世界から遠のいてしまったとか)

かのアインシュタインさんもボルンさんに「神はサイコロをふらない」と言って否定しました。ボルンさんは「神が何をなさるかについて注文をつけるべきではない」と返したそうです。なるほど・・・。
(ちなみに,このボルンさん,オリビア・ニュートン=ジョンのおじいさんだそうですよ!えーまじかー!そよ風の誘惑ぅ!!)
アインシュタインさんはなにかまだ見つけられてない変数があるはずだと思ったんですよね。
しかしながら,いまのところ量子力学の理論を覆す説明は現れてないそうです。

ここでS先生が
「その観測が雑ってことはなかったんですか?」と質問しました。
待ってましたとばかりに高橋先生,新しいスライドを出しました。
(このへんでもう当初の予定の2時間を過ぎていたので,駆け足気味の説明だったので,もうにゃんこ的には理解できてないんですけども。。。)

ハイゼンベルクさんの「不確定性原理」です。
電子の位置のあいまいさ (不確定性) を小さくしようとすれば,運動量の不確定性が大きくなり,
電子の運動量の不確定性を小さくしようとすれば, 位置の不確定性が大きくなってしまう。
位置と運動量の両方の測定値を「きっちりとした値」 に確定することはできない,というものです。
これは要するにどんなに正確に観測しても,粒であり波である量子にはあいまいさが出てしまうということ。

要するに・・・・量子ってわけわからんやつや!
ということがわかったサイエンスカフェだったのでした・・・・(長かった)

ちなみにそもそもS先生が知りたかった『量子テレポーテーション』の詳しい説明までは及ばず,
SFの世界の『テレポーテーション』のようにA地点から離れたB地点にピョンと現れるということではなく,A地点にいる高橋先生が知るある量子の状態を,離れたB地点にいる寺本さんにうまく伝える仕組みのようなものである,とのことでした。

量子テレポーテーション

説明しきれなかった量子テレポーテーションについて,第2弾はあるか,乞うご期待!?








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