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サイエンスカフェ「重力茶会」

この記事は当時Facebookで公開したものに加筆修正したものです。

重力茶会に行ってきました。
「重力茶」と書いて「グラビティ」と読みます(笑)

2016年3月4日(金)
ファシリテーター:寺本温泉茶家元
話し手:高橋 徹 先生(広島大学大学院先端物質研究科)
植村 誠 先生(広島大学宇宙科学センター) 

わたしは骨の髄まで文系ですが,このへなちょこの脳みそで理解したと思われることを書いておきます。(自分用メモ)
間違ってたら高橋先生が訂正してくださることを期待。 

高橋先生のお話

まず重力とは何か,というお話。
重力が何かということを理解するために,
ちょっと高次元のひとになってみる。
しかしわたしたちは所詮3次元のひとなので,重力場を2次元で考えてみる。 

高橋先生はちっちゃい重力場を作って説明してくださったのですが,動画も作ってくださってるので,載せときます。

まっ平らな世界の真ん中にこういうなんか重たいものがあると,その場はゆがみます。 
ゆがんだところに,端にボールを置くと落ちていきますよね。
これが重力。

アインシュタインさんは,どんな風にこの場がゆがんでいるかわかれば,この落ちっぷりを計算できるよね,と言って計算式もだされているとのことですが(一般相対性理論),まあわたしに理解できるわけもありません(^^;) 

さきほどの動画ではボールは最短距離をたどって落ちていきました。
では次はこの動画も見てみましょう。

これは2個のボール=例えば星とかがぐるぐる回って落ちていきますが,お互いの落ちっぷりが影響を与え合って,ちょっと軌道が途中で変になりますよね。

このときにこの黒い場もふるふるっとふるえています。

これが重力波。 

アインシュタインさんは,100年位前に「質量で時空がゆがむよ!」と言ってたのですが,この重力波というものを人類はずっと観測することができなかった。 

そこでLIGO(ライゴ)という研究施設が,2015年9月14日に重力波を観測したよ!と言って,2016年2月11日にニュースになりました。

この施設は4kmのトンネルが2本,画像のように十字になっています。

このトンネルに,レーザーを流してやると
なみなみなみなみ・・・と4kmのトンネルのつきあたりまでいって,
そこにある鏡にあたって,跳ね返って,また
なみなみなみなみ・・・とかえってくるわけですが
何も起きないと,なみなみのカーブはきれいなままになります。 

これが途中で重力波の影響を受けると
乱れが起きて,かえってきた時になみなみのカーブがずれます。

これを観測するぞ!という施設なんですね。 

LIGOはアメリカのリビングストンとリッチランドの2箇所にあって,これが3000kmくらい離れてるんですが,このたびこの2箇所でほぼ同じ波形がほぼ同時に観測されたことから,これは重力波だろう!わーい!ということになったわけです。 

休憩

ボノベーグルさんが,寺本家元の「重力波なおやつ作って!」という無茶ぶりにこたえて用意してくださいました。
茶会なのに無茶?(笑)

たくさんおやつが並べてある写真をよくよく見ていただくと,ブラックホールが2つあるがおわかりになるかと。

まわりに重力波が拡がってるんですね。 

植村先生のお話

重力波はとってもとっても弱いものなので,すっごいでっかいものがぶつかったりしないと,観測できないんですね。

今回はその波形から,太陽の36倍の質量のブラックホールと,太陽の29倍のブラックホールがぶつかって,太陽の62倍のブラックホール出来た時の重力波ということがわかりました。
(29+36=65なので,あまりが重力波になったんですね) 

しかし,これを聞いて,天文学者たちは「ぽかーん」となった。 

今までブラックホールというのは,おおまか〜に分けて2種類しかないと思われてた。

・太陽の約10倍くらいの質量のもの
・銀河系の中心にある,太陽の1億倍くらいの質量のもの 

つまり,宇宙にはチロルチョコとドラム缶チョコしかないと思ってたのに,ある日「板チョコもあるよ!」と言われたわけです。

なにそれ美味しいの?状態。
(誤解のないように言っておきますが,植村先生はチョコの話はされてません。わたしの妄想です) 

チロルチョコはなんとなく作り方わかってるけど,ドラム缶チョコは作り方がわかってない。
板チョコだって作るの無理なんだよ,理論的に途中で溶けちゃうはずなんだ!どうやって作ればいいんだ・・・

愕然とするショコラティエ・・・じゃなかった天文学者たち。 

話を戻すと,ブラックホールというのはブラックなので,普通のお星様のように望遠鏡で光を見て観測,というわけにいかない。

また,LIGOはどこから重力波がきたか,というのは検出しにくいそうです。

そういうわけなので,その板チョコを詳しく観察というわけにもなかなかいかないようです。 

いつかは板チョコの作り方がわかって,ドラム缶チョコの作り方もわかるようになるといいですね。 

広島大学の宇宙科学センターは,LIGOに研究協力してるそうなんですが,時々データが送られてくるので,そのたび検証しないといけないんだそうです。
これが嘘のデータかホントのデータか教えてくれないそうなんですよね。
嘘かもしれないデータでも一生懸命分析する。

これってピーターと狼に気分的にならないんかと思いますが(^^;)
避難訓練をしょちゅうしてるみたいなもんですね。 

LIGOは高いお金かけて作ったけど,全然重力波を観測できなくて鳴かず飛ばずだったのですが,今回改築して,本番稼働の前のテスト稼働2日目でラッキーにも重力波を観測した。

ふつう,全然成果を出さなかったらお金出してもらえないと思うんですけど,そこでお金出してくれるところがアメリカってすごいですね。 

感想

そういうわけで,たのしく物理の世界にちょびっとふれることができました。

寺本家元はしゃべりながらも,手をずっと動かし続けて,お茶をいれ続けてくださいました。
ずっとお茶飲んでたので,おなかすかなかったですね。 

高橋先生,植村先生,寺本さん,ボノベーグルさん,ありがとうございました。

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