MMTまとめと検討 4 資産考2

前回は資産の検討と言いつつもお金の流れがどうなっているかという所で終わってしまった。変に数字を引いてきて話がごちゃごちゃした感があるので、改めて今回は経済格差によってGDPが小さくなるのかどうかを検討したい。基本的に安定した資本主義の場合、格差が拡大することは当然の様に思うが、その格差とは資産量の事である。まずはその資産量自体が市中の貨幣量に影響するかを考える。

私のイメージで資産と言われるものを上げていく。

まずは財産一式である。家、車、家具、服、そして何らかのコレクションや趣味の物等である。家はどうやら持ち家だと家賃換算分GDPに参入されるらしいので、家はGDPに貢献するものだが(しているのだろうか)それ以外はどれだけ良いものでもGDPに貢献はしない。これらの資産は現物なので、誰からもお金を取らないし、市中のお金を減らさない。

そして、自宅用以外の土地や建物である。これらはかなりお金持ちっぽいイメージの物だが、オフィスビルや賃貸、資源を生む山等であろうか。これらはGDPに貢献する。賃料は口座に振り込まれ、銀行を通して再度市中に帰ってくる。格差拡大には貢献するが市中のお金への影響はない。

外貨である。これは外国口座に外貨として貯蓄されている場合もあるし、外国国債や外貨建て債券として運用されている場合もある。外貨を購入すると、その外貨を販売した人が外国拠点であった場合、市中のお金は減少する。また、外国資産を購入する様な場合も市中のお金の減少に貢献する。これによって海外部門収支が大きくなる様だとGDPに影響が出てくるだろう。

基本的には反対売買する人もいるわけで大きな影響を出すようなイメージは無いが、アメリカを考えた場合、彼らのドル流出量は半端ではない。そういった意味ではアメリカが赤字国債を出し続けるのは海外のドルを米国債に置き換え、ドルを再度市中に流しなおす、という点で正しいのかもしれない。

株式である。お金持ちによっては自分の会社を持っている人もいるだろうし、上場株を自己運用や投資信託で持っている場合もある。株式というのは一種不思議な資産で、別に検討をしたいが、株式は値上がりと配当によって資産増加を狙うための金融資産である。株式売買はお金そのものの総量には影響しない。証券会社を通してお金の支払いをされた後は銀行なりに流れ込み、市中に帰ってくる。

最後に、債券の様な利息が入り、払い戻しの確定している金融資産である。具体的には国債、地方債、社債などである。これらは償還期限まで額面に対する利息をもらうことができる。これらの債券の売買や利息はお金の動きはあるがGDPには貢献しない。これらの金利はそれぞれ発行元の収入から払い出される。

社債は会社が自らの儲けから利払いをし、最終的に償還するという流れであり、これは市中からお金を受け取り、会社がそのお金を使うためGDPにはプラスの効果がある。利払いについては会社の儲けから支払われ、それは銀行等に貯蓄され、また市中に帰ってくることができる。

ここで一番大きいのが国債だろう。国債はまず、発行された時点で市中のお金を減らしている。これは基本余裕資産からの支払いであるし、その後、何らかの政策を通して市中にお金は帰ってくるわけだが、それが実施され、使い切るまでは市中のお金は減っているわけである。

また、国債の金利は税金から支払われるわけで、これは市中の幅広い層から集められたお金が、その債権を持っている人に集まる装置として働いている。そういった意味では国債は格差拡大に貢献するが、税金で減らされた市中のお金の量は帰ってきている。

また、この国債の利払いを賄うために増税をした場合、これは明らかに市中のお金の流れを妨げる機会を増やすことになる。最終的に市中に帰ってくるとは言え、市中からお金を減らした状態から戻す状態までのタイムギャップはお金の流れを阻害している。今回は市中のお金の増減だけで考えているが、本来政策でGDPに貢献する様なお金の使い方ができるはずの税金が単なる利払いで使われているというのはGDPの効率を下げているように思える。

他にも何かあるのかもしれないが、一先ず私の思いついたものを並べてみた。市中からお金を減らす効果のあるものは外貨、外国資産、国債と言ったところだろう。それ以外の物は市中を回っているだけで格差拡大には貢献しても市中のお金は減らさない。

アメリカの様に輸入をどんどんする国は市中からお金がどんどん減るため、市中に出回るお金を減らさない策が必要になる。海外に流れるお金を国債等の別の資産に置き換えてお金を国内に戻すか、信用創造率を高くするか、単純にお金を発行するか等が考えられる。

それ以外では基本的に市中のお金は減少しない。毎回同じ様なお金の流れが繰り返されるのであれば、GDP自体は増えも減りもすることが無いということになる。あるいは設備投資等の購入資産がお金の流れを早くするのであればGDPは増加してゆく。

最早MMPどこ行った状態ではあるが、次回はもう少し格差の拡大についてその仕組みを検討してみた。