『超・自習法』の登場で将来学習は革新するかもしれない

何気に毎年HowTo本を3,4冊読むのだが、特段の期待があるわけでもなく、何か役に立つテクニックがあれば程度のモノとして読んでいる。しかし、稀にHowTo本とは思えない感銘を受けることがある。

HowTo本というのは項目分けされたテクニックやティップスの集まりで、その数も7から始まって100やそれ以上というものもあり、1億円稼げなくてもそれは78個目が正しく実施されていなかったから、とか言われかねない内容で、心の底から納得感のある本と言うものはほとんど無い。(たった一つのこと、とあっても実際に身に着けるべきものは一つではない等)

良く覚えている本として『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』がある。これは英語名が『Moonwalking with Einstein』とあるので実はHowTo本ではなかったのかもしれない。実際に記憶術を試した著者のドキュメンタリー形式で、人間の記憶能力のポテンシャルを感じさせる素晴らしい本だった。自分でも試してみるとかなり記憶の定着が良く、記憶力が悪い自分でもこれだけのことができるのか、と気づかされた一冊である。しかし、瞬時に覚えるというものではないので、あまり活用できていない。どんなことでもトレーニングが必要である。

余談ではあるが、『超・自習法』でもチラリと出ており、影響力の大きい本だった様である。

そして『人生がときめく片づけの魔法』。正直これは私が嫌いな片付けに関する本だったのに加えて、題名が秀逸と思って買ったが、片付け嫌いな私が想像以上に片付ける気にさせられた驚くべき本であった。結局そこまで徹底して片付けができる様になったわけでは無が、片付けへの抵抗を減らしてくれて感謝している。

何年も経った後で古本屋で売った時に、ハードカバーでもないのに350円も付いたのに二度驚かされた。初版だったからだろうか。

最後に『読みたいことを、書けばいい。 』である。これは結構noteでも取り上げている人を見るが、自分もアカウントを作って放置していたnoteを再開する後押しをしてくれた本である。別に誰に向けて書くわけでもなく、ただ自分の読みたいものを書くという点で非常に納得させられた本であった。

実は内容については殆ど記憶になく、ただ行動に移させたという点で非常に良い本だった印象が強く残っている。

さて、今回読んだ『超・自習法』なのだが、今まで読んだHowTo本の中でもダントツに感銘を受けた本であった。

概ねHowTo本というのは上手くいった際のエッセンスを抽出して、これができれば成功間違いなし!という構成になっていることが殆どだ。そして、そのエッセンス全てを実行できる人というのは限られており、結果的に、こういうことができる様な人が成功するのね、という形になっている。なのでHowTo本はその本の目標とすることに役に立たないことが既定路線である。(とは言いつつ聖杯を求めて手に取ってしまうのだが)

それに対して『超・自習法』は各段階の学習プロセスや、その際の躓き、どう対処すべきかという点について正直な書きぶりで、やる気にさせてくれる点においてもそうなのだが、失敗しても挑戦し続ける価値を感じさせる文章になっている。また、常に簡単な道ではないということも何度も書かれており、これを読めば人生大成功の様な本とは一線を画している。

内容は、学習とはなんなのか、どういう過程を経て学習されるものなのか、どういう状態を学習したというのか、学習のできをどうチェックするか、そして、それらの段階でどのような失敗をするのか、足踏み状態になったらどういう考えで試すものを探すのか、という構成になっている。

私の注目点は、各段階でどの様な気持ちの問題が起こり、どの様に対処すべきか、その先に何があるのかが解りやすく書かれていることだ。まるで昔自分の失敗した経験がそこに書かれている様で、当時、こういうことをすればもっと上手くやれていたのかもしれない、と思わせる。そしてその学習は難しい道だと言いながらも、自分でもそのステップを登っていけばできる様になるのではないか、と感じさせる構成になっているのである。

私見ではあるが、この本の登場によって数年後の学習教材は徐々にその構成を変えていくのではないかと考えている。またHowTo本も今までのティップス集というポジションから、より具体的なポイントに絞った学習を促進させるような内容になっていくのではないかと思っている。

その結果として、この本を知らない人でも以前に比べてスムーズに学習ができる様になり、学習全般に革命を起こすのではないだろうか。それくらい感銘を受けた本であった。

将来的には子供の学習方法にも何らかの影響を与えることを期待しているが、結局のところ本人が学習する意欲があることが大前提であり、ちょっと難しいかもしれない。とは言えやりたいことが出てくる中高生あたりから始めても効果は断然高いはずで、是非この本のを広く知ってもらいたいと思う次第である。