【掌編小説】てのひらのうた「はないちもんめ」遅延作

こおり鬼
触るとひやっとした。とても気持ちがいい。足元には、いつも近所をうろつく猫までいる。冷気に惹かれてやって来て、それももうずっと動かない。そのまま一緒に凍ってしまったらしい。眠ってるみたい。人も猫もみんな白くなった。暑い日の夕焼けは、血のように真っ赤でとても綺麗だ。だけど、そろそろみんな帰ろうよ、って言っても誰一人動かない。涼しくなるようにこおり鬼しようって、誰が言い出したんだっけ?じゃんけんで負けたのは私。鬼の私がみんなを氷に変えて、残った私は一人になった。みんな仲良く涼しそうだけど、私だけ暑いままだし。こおり鬼になんかやるんじゃなかった。今日も熱帯夜。あ、あの猫の背中を枕にしたら涼しそう。

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