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友情の総重量【毎週ショートショートnote】

「ヒロシ、首に手を回して」

俺はもう一度体勢を変えて、落ちそうなヒロシの腰を支えた。

友担ぎゲームは人類が相手の心を読むことができるようになってから、友情が成立しなくなった現代において、もう一度友情を取り戻すために始まったと言われている。

なぜ、脱落者が射殺されるのか。
なぜ、毎年抽選で出場者が選ばれるのか。
なぜ、ヒロシが相棒に俺を選んだのか。

全くわからない。

ただ、わかっているのはヒロシを地面に落とさずにあと5時間耐えなくてはいけないということだ。

俺の周囲には何体もの死体が転がっている。

手が痺れてきて、もう感覚はない。

「大丈夫か」『落とすなよ』
「お前にかかってるんだ」『マジでお前と死にたくないよ』

ヒロシの声と心の声が同時に聞こえる。

それが本音か。まあ、俺はヒロシにどう思われても構わない。ヒロシを支えることが、心の奥にしまい込んできたお前への想いだから。

あ。

「レンアイハ、イハンデス」

俺は否定する隙もなく銃で胸を打ち抜かれた。

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