ドラマストアについて

ドラマストア。

はじめて、自分が大好きになってから解散を発表したバンド。
はじめて、自分の存在の根拠とまでなっていたバンド。

スピッツもズーカラデルもハンブレッダーズも、anewhiteもOKOJOもthe quiet roomも、もちろん大好き。だけど、ドラマストアが好きな理由はそれらとは少し違った。

ネガティブな気持ちを認めてくれる。
弱いところも人間だって思わせてくれる。
もどかしさ、つたないながら誰かを思う気持ち、大好きって気持ち。
胸の高鳴り。
焦燥感と同時に覚える、伝えたいという思い、渇望、快楽。

それは他のバンドでも味わえた。
だけど、ドラマストアはそれだけじゃなかった。

「君を主人公にする音楽」

ドラマストアのコンセプトであり、ドラマストアが体現していたこと。

どの曲を聞いても、いつでも、自分が主人公でもいい、自分が主人公の世界があったって悪くないって思えた。
ドラマストアの存在は、わたしが主人公でいる世界の肯定だった。

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ずっとモヤモヤしていたのは、ドラマストアが解散するということが、ドラマストアのこれまで形にしてきたものを壊すことだと思ったから。
たくさんの歌で歌われてきたことは、ドラマストアの解散と矛盾する気がした。たくさんのキラキラした瞬間を切り取ったり、思い出せたり、ドラマストアの曲を聴きながらできていたことが、解散によってできなくなる気がしたから。
というか、わたしが思っていた、希望をもらっていた形とは少し違ったり、その希望の裏に海くんたちの無理や苦しさがあってのものだったりしたんだって思ったんだ。そう思ったら、今までほどの力をもらえないんじゃないか。私が希望をもらっていた間、海くんたちは主人公になれていたんだろうか、いやきっと違うだろう。

「好きや希望は一番絶望に近い」

インスタライブでの海くんの言葉。苦しかった。

数字は幸せで、残酷だ。

ごめん、インスタフォローしてなくて。
だからインスタライブも見られなくてごめん。
言い訳すると。ドラマストアが好きで好きで仕方ないって気づいたのは意外と最近で、だからバンドのインスタをフォローした。海くんたちのアカウントをフォローしていなかったのは、なんでだ。あんまりフォローを増やしたくなかったからか、インスタは情報を得る用に使っていたからバンドのさえフォローしてればいいと思っていたからか。

ピクトグラム。バズらせにきてるなと思った。
TikTokの中では誰もが主人公だとするなら、コンセプト通りか。
でもなんだか違和感があるような。
初めは好きになれなくて、少し戸惑っていた。

解散の話を聞いて、賭けていたのかもしれないと思った。
もし、ピクトグラムがバズったら。
他の曲でもいい、存在がもっと知られていたら。
わたしがインフルエンサーだったなら全てどうにかなっただろうか。

  生まれ変われるなら何になりたいんだろう
  このままでいいよと言えるから
  未来でも君と笑っていたいよ   ー未来前線/ドラマストア

このままでいいよと言えなくなったのだ、ドラマストアは。
ドラマストアがそう言っているから、と肯定できていたものの全てが崩れていった。
受け取ってきたつもりのメッセージが、灰になった気がした。
そんなこと意図していないだろうし、わたしの極端な解釈だとも思う。
でも、そうとしか思えないのだ。

彼らが作ってきた物語の終わり。
それは、わたしが主人公である世界線の終わりに繋がっていた。

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ドラマストアが解散して半年が経とうとしている。
受け入れたようで、まだ少し抵抗している自分がいる。

今まではドラマストアがわたしを主人公にしてくれていた。
これからはドラマストアが主人公になるんだ。
誰かが主役の物語でなく、彼ら自身が主役の物語を描いていくんだ。

理解はできたけれど、やっぱり辛い。
ドラマストアだけが肯定してきてくれたわたしを、どう保てばよいのか。
主人公でもいい、とわがままになれる瞬間は、この先あるのか。
あるべきだと思う自分と、わたしなんかがと思う自分のバランスをどう守るのか。
ドラマストアがいない怖さは挙げればキリがない。
解散前のように曲を聴くことも、今はできない。
そんな風にしか思えない自分が悔しい。

  僕らしさは君が決めてくれてもいい ーーStand by You / ドラマストア

わたしが決めたドラマストアらしさは、「わたしが主人公の物語を紡ぎ続けてくれる」というものだった。
解散が否定するものの大きさ。
受け入れたいのに拒んでしまう器の小ささが、ドラマストアがくれたものを自分では生み出せない技量不足が、憎らしい。

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ドラマストアが作るドラマは更新されなくなった。
わたしが主人公でいるドラマを終わらせるのは違う気がするけれど、その手段は今もあいまいだ。
けれど、ドラマストアを聴いていたあの時、わたしは確実に主人公だった。
物語のどまんなかで、ストーリーの先を左右するキラキラしたところで笑っていた。
その記憶が、今の心を支えている。
いつかわたしが、わたし自身の手で、わたしを主人公にするんだ。

  また新しくなった”僕ら”は僕を生きていけるーー世界はまだ僕
を知らない / ドラマストア

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