酸味で世界を見てみたい

南インド旅行の前に、南インドの料理について書かれた『ごちそうはバナナの葉の上に』という本を読んだ。著者の渡辺玲さんは現地で出会った南インドの料理にほれこみ、インド料理店で働いた後、料理教室やケータリングなどをやっている人だ。 自分は料理をするほうではないし、詳しくもないのだけど、この本で基本的なことがわかってためになった。

まず、南インドは米の文化であるということ。北インドは小麦が中心なので主食もナンとかチャパティだけど、南インドはご飯の上にいろいろかけて食べるのが主流だ。

昼食に食べる定食のことをミールスといい、それがこの本のタイトルにもなっているように、しばしばバナナの葉の上に盛られて供される。そして、ミールスを頼むと、ご飯にかけて食べるおかずが数種類、自動的に出てくる。サンバル、ラッサム、ポリヤル……といろいろあるが、どれがどういうものだったかは、さっぱり頭に入っていない。現地で実際に何度か食べてみるまでは覚えられないだろう。

そのおかずを食べる順序も一応決まっているらしく、まずダル(豆)を食べ、それから何々を食べ……というルールがあるそうだ。おそらく味の薄いものから食べて、ごちゃまぜにする前に一通りおかずの味を味わえ、ということなのだと思う。

興味を持ったのは、酸味について。 南インドでは酸味を出すためにタマリンドを使っているそうだ。タイのトムヤムクンと同じく、タマリンドの実をふやかして、液状にしたものを料理に使う。北インドではタマリンドがない代わりに、酸味にはトマトやヨーグルトをよく使うようだ。

そういえば、中南米ではライムがよく使われているし、日本には梅干しがある。酢を作るにしても日本は米から作るのが主流だろうけれど、南インドではココナッツから作るそうだ。その土地で栽培・収穫できるものによって変わってくるのだと思うけど、酸味には何を使っているのか?という目で世界を見てみるのも、おもしろそうだと思ったのだった。

ごちそうはバナナの葉の上に

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