016 ネズミと猫のミイラと庶民的な街(ダブリン)

ロンドンから空路アイルランドの首都ダブリンへ。格安エアラインを使う。ロンドンからダブリンまでの航空運賃は2000円ほどの驚きの価格。日程によってはもっと安くなる。

でも、安いのはそれなりの理由もあって、 まず空港まで遠い。ロンドン市内から空港まで1~2時間かかる。その交通費のほうが飛行機代より高いくらいだ。そして、不便なフライト時間。朝早かったり夜遅かったりする。機内サービスはなく、席も自由席で驚いた。聞くところによると、荷物の重さや個数の制限も厳しいらしい。

そんなことを差し引いても安さにはかなわない。

ダブリンに到着。緑のじゅうたんを敷いたような丘が続いている。

街は小さすぎず大きすぎず、ロンドンに比べて庶民的な雰囲気。きれいな街、というわけではないけど、 好感が持てる。大都市ロンドンから脱出できたこともあり、気分が良い。思わず街角で募金してしまった。

昼食に食べたスープとサンドイッチもおいしかった。パンをスープにつけて食べるのは今まで気持ち悪いと思っていたけど、初めておいしさを知った。店員も親切で、非英語圏の人にも優しい気がする。

雨が降り始めた。天気が悪くても、いやな気分ではない。街が歩きやすいからだろうか。

最近は「この街に住めるだろうか?」という視点で街を見ている。東京やロンドンなどの大都市は何でもあって便利だけど、情報量や選択肢が多すぎると、それを選ぶだけで消耗してしまう。手ごろなサイズの街が居心地がいい。

午後はネットカフェに行き、最低限の時間ですばやく列車の予約や調べものをし、夕食はスーパーで安くすませた。と、言いたいところだけど、ネット屋では10分超過で1時間分の追加料金を取られ、スーパーでは安売り品を選んだつもりだったのに、あとでレシートを見たら値引きされていなかった。

タオルを濡れっぱなしにしておいたら、恐ろしく臭くなった。

* * *

アイスランドエアウェーブで見逃したバンドが、ここダブリンでたまたまライブをやっていたので見る。せっかくなのでアイルランド名物のギネスビールを飲んだら、ライブ中しょっちゅうトイレに行きたくなって困った。ライブは良くて、CDが欲しくなるが踏みとどまる。お金をセーブしなくては。

宿のドミトリーが男女相部屋だ。油断して着替えていたら、いきなり女の人が部屋に入ってきて焦る。ロンドンでもデンマークでもそうだったので、ヨーロッパではそれが当たり前なのかもしれない。でも、なんだか気を使う。

物価はアイルランドに来れば安くなるかと思ったけど、そうでもなく、ロンドンと同じくらいの感じだ。

* * *

昨日CDを買わなかったことを後悔し、レコードショップで購入する。結局ライブ会場で買うより、高くついてしまった。なにかお金の使い方を間違っている気がする。

街を歩いていると、服屋ばかり見てしまう。自分はそんなに服が好きだったのか、と思ったけど、それよりも、今の自分のファッションがみすぼらしことが気になっているのだろう。

夕方、地下室がある教会を見物に行く。閉館ちょっと前だったので、ただで中に入れてくれた。ネズミと猫のミイラがあるとガイドブックに書いてあったけど、どこにあるのかわからない。

観光客らしき日本人の女性がいて、やはりネズミと猫のミイラを探しているようだ。

「どこでしょうか?」

「ないですね」

その人もアイルランドで語学留学をしていたそうだ。教会が閉まるので、近くのカフェで話の続きをする。留学の情報を聞き、なんとなくイメージが湧いてきた。

宿の同じ部屋にいびきのうるさい人がいて、いびきをかくたびに、周りの人が起きていちいち文句を言ったり、いびきの声を真似してからかったりする。その人のいびきだけなら気にならないのに、周りの人たちの反応が不快で眠れない。

* * *

午前中は雨模様。これといって見に行きたいところもないので、部屋で本を読んで過ごす。司馬遼太郎の「新撰組決風録」を読んでいる。ロシアの宿で、それまで持っていた本と交換してもらったものだ。

ヨーロッパまで来て、新撰組もないだろうと思うけど、読み出すと止まらない。「いつか読もうと思っていたけどたぶん読まない本」のひとつだったけど、こういう機会に読めてよかった。

もうひとつはまっているのが、SUDOKU(数独)。日本生まれの数字パズルで、こちらでも人気があるようだ。これもやりだすと止まらない。アイルランドに来るときの空港で暇つぶしにやり始めて夢中になってしまい、あやうく飛行機に乗り遅れそうになった。

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