リスクとは「不確かさ」のこと

『15歳からのファイナンス理論入門』をいう本を読んだ。

この本の著者の慎さんは、社会貢献のためにまずお金の理論を学ぼうと思ったそうだ。この本を手に取ったのは、そのあたりにピンと来たからかもしれない。お金の仕組みには何か根源的なものがありそうだし、単なる交換のためのツール以上の何かなのだという気がしている。

現実に今の世の中にはお金があり、それで世の中のある部分(大部分?)が回っている。生きていくにはお金とうまく付き合っていかないといけない。そんな動機が潜在的にあって、この本を手に取ったのだと思う。

この本に書いてあるのは「ファイナンス理論」とは何かということだ。ファイナンスというのは実はお金の話ではなく「不確かさ」、つまりリスクとどう付き合っていけばいいのか、ということを考えた理論である。

確かにお金が欲しい、お金を貯めたいと思うのは、将来の不確かさを少しでも減らしたいという気持ちから来ているように思う。自分も含めて、たいていの人はその不確かさを恐れて生きている。そのことが自分なりにわかっただけでも、この本を読んだ価値があると思った。

内容から触発されて考えたのは、主観と客観について。もし自分が欲しいものが完全に主観に基づくものだったら、そこには何の理論も法則もない。自分の気持ちに素直になればそれでいい。

問題は、客観的な価値が欲しいと思った場合。お金や名声という客観的に価値があるものは、皆が欲しい。だから他人より多く価値を得たければ、リスクを取らなければならない。多くの人が避けようとするリスクをあえて取ることで、自分がユニークな存在になり、価値を得られる可能性が高まる。出る杭は打たれるという諺があるけど、これはリスクを取って価値を得ようとする人に、価値を渡すまいとする抵抗のことかもしれない。

いや、そんなことが言いたいんじゃなかった。自分が思ったのは、だから主観的な価値をもっと大事にしたらいいんじゃないかということだった。その方が生きやすそうな気がする。

とはいえ客観的な価値も少しは必要なので、この本に書いてあるようなリスクを分散すること、リスクとリターンの関係を知ること、埋没費用に気を取られないことなどを頭の片隅に置いて、足下をすくわれないようにして生きていけばいいんじゃないだろうか。まあ、自分もそろそろ何かリスクを取らなければいけないような気がしているのも確かなのだけど。

15歳からのファイナンス理論入門

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