021 国境を越えて生活するって、意外と簡単なんだなと思う(ベルリン)

ロンドンから、空路ベルリンへ飛ぶ。クリスマスから年末にかけては、知人に会うためにヨーロッパ各地をあちこち移動する予定だ。

知人といっても、語学学校で知り合った人がメイン。クリスマスや新年を1人で過ごすのは寂しいんじゃないかと思ったので、いろいろお邪魔することにした。これだけでも語学学校に行ったかいがあったというものだ。

雨のベルリンは、いかにも東ドイツな雰囲気。落書きや張り紙がたくさんあって、それ自体は美しいわけではないのだけど、風景に溶け込んでいるようで違和感がない。乱雑さを外装にうまく取り入れた映画館もあった。

都会はどこも似たようなものだという先入観があったけど、ヨーロッパに来てそれが変わったような気がする。日本やアジアの自然発生的な勢いのある街とは違って、それぞれの街に統一感があるのが新鮮だ。

出店でソーセージを買って食べる。ドイツはスナックフードが充実。安くておいしい。

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今日は食生活がこの旅一番に充実した。

まず昼に宿の近くのレストランでランチを食べる。看板にビジネスランチと書いてあり、その値段の安さにつられて店に入ったら、中は本格的なレストラン。味も本格的でおいしい。魚貝のスープとチキンのシャンベリなんとかという料理を食べる。手の込んだ料理を久しぶりに味わった気がした。

店の人も親切で、 ドイツが一気に好きなる。ついつい調子に乗ってデザートまで食べてしまった。

夜は、語学学校で知り合いになった友人たちに会う。英語、ドイツ語、中国語、日本語が入り乱れた会話になる。

日本料理屋に食事に行って、刺身や寿司を食べる。思っていたよりおいしい。お客さんもよく入っていた。会話の弾む楽しい夕食になってうれしい。でも、料理を作っているのは日本人じゃなくてベトナム人だそうだ。

食後、ドイツの人にベンツに乗せてもらって夜のベルリンを観光。ガラス張りのモダンな建築群に目を奪われる。ブランデンブルグ門、ユダヤのモニュメントのなどの名所のほか、売春街などディープなところも案内してもらった。運転手が飲酒運転で恐ろしかったことを除けば、充実したドライブだった。

ヨーロッパに来て、国境を越えて生活することって、意外と簡単なんだなと思うようになった。もちろん苦労もあると思うけど、実際に他の国で暮らしている人を見ていると、結構なんとかなるものだという気がしてくる。

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ベルリンを散策。

ベルリンの電車は2時間までなら乗り放題。駅の改札もない。たまに調査員のような人が乗ってきて、切符を持っているかをランダムに確認する方式だ。これも社会主義の名残だろうか。

まずはやっぱりこれだろうと思って、ベルリンの壁を見に行く。実際の壁は今では一部分しか残っていない。壁がなくなっている場所には、道路に敷石が埋め込まれていた。それに沿って散歩してみる。一番長い所で1キロくらい壁が残っていて、見応えのあるウォールアートで埋め尽くされていた。

夕方、国会議事堂を見に行く。昔の建物をモダンに改築したものらしい。天井のドームがガラス張りの展望台になっていて、一般の人も無料で上ることができる。そこから下を見ると、議場が真下に見えた。「常に上から市民が見ているよ」というコンセプトなのだそうだ。

見物客の中に日本人の女子らしい人がいて、お互い何となく気づいていながらも、声をかけないという気まずい状況。あれこれ考えず気軽に声をかけるだけでいいはずなのに、「何この人、怪しい」と思われたらショックとか思って、結局声をかけない。

今夜は夜行列車でパリに向かうので、電車の時刻まで付近をぶらぶらする。

すると偶然にも、さっきの女子に遭遇。今度は話しかけて、時間つぶしにお茶まで付き合ってもらった。イギリスの大学に留学しているそうで、「イギリス人はなぜあんなに偉そうなのか」とか、「英会話ではだらだらと無駄話をするのが、いちばん難易度が高い」とか話をする。

それだけのことだけど、勝負に勝ったような気分だった。

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