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両神山・神流川金山沢(沢登り)

以前所属していた山岳会の先輩(tw氏)からお声がかかり、晩秋の両神山金山沢を遡行した。日程の合う現山岳会の会員にも声をかけて、計3人のパーティでの山行となった。

金山沢は、荒川水系の中津川支流神流川のさらに支流小倉沢上流、両神山の頂陵部一帯を水源とする沢だが、かつてはCo1110付近で分かれる右俣を金山沢、左俣を八丁沢(金山沢左俣)と紹介している文献が多かった。現在はというと、右俣の金山沢に入りCo1220付近の二俣で左へ分かれる支流を金山沢左俣と呼称する記録が多いようだ。
最近の呼称で言うと、今回は「金山沢右俣」を遡行し、両神山頂から大峠方面への登山道Co1650圏の鞍部に詰め上げ、廃道扱いになっている落合橋へ直接降る山道を下山する計画である。

前日は道の駅みとみに泊まり、雁坂トンネルを抜けて出合の丘でtw氏と合流する段取りだったが、18日朝に道の駅で出発準備をしているとtw氏が現れ、そのまま2台車を連ねて落合橋まで行くことになった。
落合橋の駐車場は狭いので停められるかどうか心配ではあったが、行ってみるとぎりぎりあと3~4台くらいは停められそうな余地がありひと安心。

駐車スペースで装備を身に着けて出発する。
駐車スペースの裏から沢床に降りられる。降りた箇所は、Co1110二俣のほんの少し上流の左俣(八丁沢)なので、二俣まで下降して落合橋を潜り右俣の金山沢へと進む。

沢は全体的に開けた地形だが、出合からしばらくは岩がゴロゴロ転がっていて少し荒れた印象だ。すぐにナメ小滝が懸かるが、ここは右から巻き気味に越える。

出合からしばらくは、ちょっとデコボコした流れが続いている。

越えるとだんだんとスラブの発達した渓相になる。スラブの上には濡れた落ち葉が張り付いており、先日の釜ノ沢同様よく滑る。水量はかなり少ない。
歩き始めて10分ほどで最初の分岐となる。右手より水量比3:1で枝沢を合わせる。本流はナメが続くが、滑らないよう慎重に足を運ぶ。

濡れた落ち葉は滑りやすく、落ち葉の積もったところは足でヌメりを探りながら歩く。
ちょっとした滝もやはりヌメりを探りながら登る。

最初の分岐から15分でCo1220二俣である。左右とも5mほどの滝で出合っている。この左の支流が、近年「金山沢左俣」と紹介されることもある支流だ。右の滝は左より若干傾斜があるが階段状なので特に問題なく越えることができた。越えた先で、沢幅が少し狭くなりそこに3m滝。倒木があって助かるような邪魔なような…。リーダーが倒木を跨ぐようにずり上がって越えたので、後続もそれに続いて登る。
狭隘部はほんの僅かですぐに沢が開ける。相変わらずナメが続く。

ナメの傾斜が増すと、5×7mのナメ滝が懸かる。直登は途中で行き詰まりそうなので左岸から巻くことにしたが、少し大きめに巻くのが正解のようだ。
ただ、巻き道も足元が悪くロープを出すなどちょっと手間取ったため、越えるのに少々時間が掛かってしまった。

水流沿いに登ると上部で行き詰りそう。
流れを渡って対岸の緩斜面を登ろうと思ったが、微妙な傾斜にぬれ落ち葉が乗っておりちょっと危険なかほり…。
もう少し下から、大きめに巻く方が安心だ。

5×7m滝を越えてすぐにCo1270の二俣となる。水量比は1:1である。ここは右へ進む。右に入ってすぐ左岸に大きな岩が張り出している。水流沿いに進むのに少々じゃまっけだが、右岸の斜面をトラバースするより大岩の縁を回り込みながら進む方が安全そうだ。ぬめりに気を付けながら大岩を越えると、ナメがしばらく続く。

ナメが続く。傾斜はあまりないので水流沿いを登る。
Co1360m分岐の少し手前までナメが続いている。

Co1270から20分で次の分岐、Co1360二俣となる。ここは右には少し大きめの滝が懸かっているが、進路は左を選択。そしてこの辺りでほぼ水流はなくなる、のと同時にナメも終わってガラガラのゴーロが続くようになる。今までよりも傾斜が出てきて息も切れる。

水は殆ど涸れてガラガラのゴーロ登りになる。滑る心配は減るが、傾斜が増して息が切れる。
最後は疎林の急斜面をジグザグに高度を上げて登山道へ詰め上げた。

源頭から急登30分ほどで稜線の登山道に出る。風が強いかと思ったが、さほどでもなく、少し安心する。
登山道を左に15分くらいで、左手にロープのバリケードがあるところへ出る。そこが、本日の下山ルートの入口だが、ひとまず山頂へ行きましょうということで、荷物をデポして山頂を目指す。
山頂は下山路入口から5分ほど。何人かの登山者が休憩をしていた。周囲の眺望はなかなかいい。写真撮影などをして10分ほどの滞在で、荷物のデポ地点へ戻る。

少し雲が多いが、山頂からの眺望はよく気持ちがいい。
甲武信岳付近の奥秩父主稜がよく見えた。右の端正な三角形は小川山だろうか。

ここからの山道はかつてはガイドブックにも紹介されていたのだが、いつの頃からか通行自粛となって歩く人も殆どいなくなってしまった。
ガイドブックに紹介されていた頃に2度下山に使っているが、その時はさほど危ない道と言う認識もなかった。ともに1時間半ほどで落合橋へ降り着いているが、今日はどうだろうか。

降りだして直ぐは、やはり踏み跡が落ち葉に埋もれていて少々わかりづらい。が、思ったよりもしっかりしたふみ跡が続いている。何よりもピンクのテープが要所要所に付いていて、それなりに歩く人がいることが伺える。
ただ、日陰勝ちなので少々寒いのが難点だ。また、今日は乾いているが濡れている時や雪の日はスリップが心配なので歩かない方がいいかもしれない。

落葉に埋もれた踏み跡はところどころ分かりずらい箇所がある。

降り始めてしばらくは山腹をトラバースするルートだ。落ち葉に埋もれたトラバースルートはところどころ足元の様子が分かりずらいので慎重に進む。
Co1400付近で尾根に乗るとだいぶ歩きやすくなる。が、油断したのかCo1300付近でルートミス。尾根が分岐するように広がっており地形を読み間違えたのか、先行する二人の姿を一瞬ロストして真っすぐに斜面を降ってしまった。あれ?と気づいてすぐに登り返し正しいルートに復帰できたのでひと安心。尾根に乗ってしばらくわかり易い道だったのだが、この前後は地形がやや複雑なこともあって、ルートの見極めが少し難しいところだ。同じようにウロウロする人が多いのか、ふみ跡も乱れている。

迷ったところから、15分ほどで眼下に林道が見えてくるが、ここからがある意味核心だった。道ははっきりしているのだが、左側(金山沢側)がすっぱりと切れ落ちており、結構緊張する下りが続く。しかも急降下なので余計に神経を使う。ようやく林道へと降り着いて「ふう…」と一息。
途中で15分ほど休憩をしているので正味2時間の下降だが、以前よりだいぶ時間が掛かっている。

ともあれ、無事に降りて来られたのでひと安心。お疲れさま~ということで、それぞれ装備を解いて帰り支度。
wt氏とはここで解散しましょうということになったが、またどこかへ行きましょうねと話して分かれた。スキーもされるので、これからのシーズンはスキー三昧になるのだろう。

寒かったので温泉で温まるという選択肢もあったが、明日も会のレスキュー訓練があるから早めに帰ることにしようかとお風呂省略で、簡単に着替えて出発する。
帰路は中央道の渋滞を避けようと秩父経由で関越道を使ったが、一般道の渋滞もありあまり早くはなかったような…。関越道回りだと一般道の距離が長いので、時間があまり変わらないようなら中央道経由の方が楽だったかもしれない。


  • 日程:2023年11月18日(土)

  • 天候:晴

  • メンバー:tw(L)、rw、tapiola

  • 地形図:両神山

  • コースタイム:上落合橋駐車場(8:15)-Co1165(8:33)-Co1220(8:49)-Co1270(9:40)-Co1360(10:00/10)-Co1560(10:48)-登山道Co1610付近(11:10/15)-両神山山頂(11:35/45)-Co1690圏鞍部(11:50)-Co1400付近(13:00/15)-上落合橋駐車場(14:03)

※今回の下山ルートは、沢を安全に遡下降できる程度の技量が無い人は歩くべきではないと感じた。登るも降るも地形を読んでルートを見極められないと道迷いに繋がる危険が大きい。いざという時に、沢を下降してでも安全地帯に抜けられるための装備と技術を持っていることが必要だ。
今回さほど危険な目には遭わなかったが、今後このルートを歩くことは多分ないだろうとも思った。


遡行図-神流川金山沢(2023.11.18)

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