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進んでいく季節、進まない自分|Tapestory 交換日記 001

けいさん

けいさんと最後に会ったのは、去年の夏だった。ぽかぽかの日に、公園にピクニックマットを広げて、ちょっと奮発して近所の和食レストランからイクラの乗ったお弁当をテイクアウトして、手指消毒液をぬりぬりしながら食べた。

あれからもう半年たったなんて、信じられる?

あとちょっとしたら普段通りに戻るから、といってホールドしておけたものが、今年に入ってからはそうはいかなくなってる気がしてる。それは多分、近所の桜が満開だったり、チューリップのつぼみが顔をだしていたりするのを見て、あぁ去年この風景を見たときはもうロックダウンだった、って思うのがすごく大きいんだ。自分が人生をホールドしている間に、季節はあっという間に一巡してる、って。

だから私もちょっとずつホールドを解いて、進もうと思う。春だし。新年度だし。堤防の中に留めておいたものは果てしなく多いんだけど、何事も一気にやるわけにはいかないからね。ちょっとずつ。

それで、一番最初にやりたいと思ったのがこれなんだ。けいさんとの公開交換日記。昔よくやったじゃない?かわいいノートに、ラメやらミルキーやらのペンで書いたあれよ。内容だけは、あの頃みたいに〇〇組のなんとか君がどうこう、なんてものには(残念ながら)ならないけどね!

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広く知られた会社のわかりやすい役職、を離れて単品で働いて食べていくようになって、一番苦しいと思うのが「発信し続けること」なんだよね。フリーでユニークなことやってるわけだから、全世界に対して私こんなことやってます、ってどんどん言っていかないと、次の仕事は入ってこないし、その分野のプロとして認められることもないだろうというのは、よぉく分かってはいるんだけど。

でも、単品でやっているからこそ、自分はこんなにすごいことをしているすごい人です!、と全世界に向けて発信することに、ものすごーく抵抗があるんだ。抵抗がありすぎて、考えすぎちゃって、動けなくなるの。頭のなかでぐーるぐるするだけで、ずっと何もできないままで。これ、わかる?

例えうまく発信できる方法を見つけたとしても、負荷が高いと続けるのが苦しくて。何事も細く長く続けるのは、そもそも私不得意なんだけど、それにしたって、去年みたいなロックダウンで学校が閉まったりして、自分のキャパがちょっとでも縮まると、途端に続けられなくなっちゃう。

それでね、じゃあ全世界に向かって言わなくていいから、けいさんだけに向かって、いろんなことを率直に話すのはどうかと思いついたのよ。だってけいさんになら何だって相談できるし、実際会った時なんて、素敵弁当に乗っていたはずのイクラの記憶が吹っ飛んじゃうくらい、相談事がとめどなくあふれて止まらないわけだから。

そんなわけで、はじめてみます交換日記。
私なりのちょっとだけの前進!

いま私、中学校の廊下で、1組の教室から日記の交換相手だったあっこちゃんが出てくるのをドキドキしながら待ってる、そんな気持ち。けいさんは、どんなお返事をくれるんだろう!

それじゃあ、また次回。
私はそろそろお茶タイムにします。


ゆうこ

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