冷蔵庫に入れて保冷しても石けんができるのはなぜ?

受講者のhyacca savonさんから以下のご質問をいただきました。

冷蔵庫の中のように低温でも鹸化するのはなぜなのでしょうか。心なし、むしろ保温するより綺麗な仕上がりな気がします。固まってるけど実は質が悪い、とかそういうことがあるのでしょうか。使い心地は保温したのと変わらない気がしています。


まず冷蔵庫に入れて生地がどうなるかと言うと早く固まります。

固形石けんを作っているのですから、どんどん固めたいですよね。
普通は固まってくる=鹸化が進むと考えますが、それ以外の方法でも固まっていきます。
考えられるのは以下の3つです。

・鹸化が進む(石けんができてくると固まってくる)
・水分が飛ぶ(水分が蒸発すると固まってくる)
・冷やす(特に高融点の油脂が冷えることで固まってくる)

固まらないもの(水など)やなかなか固まらないもの(オリーブオイルに含まれる脂肪酸など)は先に固まっていくものの中に混ざり込んでいきます。

保温をすると鹸化が進んで固まります(水分もある程度飛びます)。
保冷をすると特に高融点の油脂が冷えることで固ります(水分はあまり飛ばないです)。

ふたつを比べると、早く使えるようになるのは保温です。
型出し直後に石けんを使ってみると、保冷の方が油っぽさがあります。
でも1月置いておいている間に、保冷の石けんも反応が進み、水分が飛び、
硬くて使いやすい石けんになってくるので、最後は大きな差を感じないかもしれません。
大きな差を感じないということは、実は型入れまでにしっかりと混ぜている証拠だと思います。攪拌が足りないまま保温すると分離、保冷するとソーダ灰が出やすくなります。

しっかりと混ぜて反応を進めておけば、型入れのあとの温度は割と適当でもいいように思います(言い過ぎな表現かもしれませんが)。

あとは保冷に合うレシピというのもあります。
・ハードファッツやバターがしっかり入っている(固まりやすい)
・乳製品などを入れている(反応が進みやすい)

(ただし、乳製品を入れてきれいにできるのは、本当は油脂と反応させるためのアルカリと乳製品と反応させている、ということです。その分、過剰油脂が多く残ります。それがいいか悪いかは、どんなレシピか、何が好みによります。)

マルセイユでディスカウント多め、水分多め、オプションなし、みたいなものを
手混ぜしてゆるトレースで冷蔵するとたぶんソーダ灰が出ます。固まりにくいので、ソーダ灰も出やすくなります。


Special thanks to:
(株)つくば林業石けん部
https://www.instagram.com/hyacca_savon/

ご質問ありがとうございました!


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