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8月の終わり


過去が砂になって、さらさらと手のひらからこぼれ落ちていくような感じがしている
それらは確かにあったことなのに実感がない
とても遠い

傷も執着も重しや足枷だとばかり思っていたけど、もしかしたら安心とつながっていたのかもしれないな
それによって自分の居場所や輪郭を確かめていたのかもしない
そんなことを思うけど感傷はない(もしくは全てが感傷)

過去が砂になってさらさらと消えていく
儚いものだな
何も残さずに消えていくことを受け入れて、はじめて行ける場所があるのだな
感傷はない(感傷はない)
何もない

世界は美しいな
全て消えていく
波の音だけ響く
果てしないな
生きていることを楽しもうとか、そういうことすらない
生まれてきて良かったな、とだけ思っている

粒子が細かいな
光の粒が風に見える
無になっても無が有るのだから何も心配することはない
死すらも安心の中ならばなにも怖いことはないだろうな

誰も追いつけない
それはとても良いことだ
それはとても美しい
美しい音
美しい明滅
美しい光、闇
それはとても良いことだ

誰も追いつけない
砂は光っている
粒子が細かい
風が吹いてやがて消えていく

生まれてきて良かったな、とだけ思っている





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