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東洋の哲学まとめ

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東洋の哲学(主に仏教、禅、儒家、老荘、神道)について書いた記事が増えて来たのでまとめました。哲学以外のも混じってるかも。
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#宗教

ニッポンのアイデンティティ(その2)~1万年の引きこもりの末に~

前回の続きです。 「日本」のアイデンティティを考えたとき、その最たるもののひとつに「八百万の神々信仰」があります。この「八百万の神々信仰」は、キリスト教やイスラム教のような一神教とは全く世界観が違いますし、また古代ギリシャやヒンズー教のような多神教にみられる特徴もありません。「経典」や「教義」がなく、中心的な指導者(教祖)もいないため、そもそも「宗教」というカテゴリに入るのかも微妙な、土着信仰といえます。 前回のポストでは、その特徴を以下の2点にまとめました。 1) 多

仏教と科学②

前回の続きです。 先日、仏教学者の佐々木閑先生による「仏教と科学」というテーマの講演を聞いてきたので、その内容を振り返ったりまとめたり。 今回は、仏教と科学の共通点の2つ目として「因果関係に基づく真理探究アプローチ」について考えてみます。 科学における原因と結果の関係因果関係とは、文字通り「原因」と「結果」の関係性のことです。 「神はサイコロを振らない」 by アインシュタイン という言葉があるように、この世の全ての事象には必ず「原因」があって「結果」があります。原

仏教と科学①

今週、仏教学者でNHKの「100分de名著」にも出演されている佐々木閑先生の講演を生で聞く機会がありました。佐々木先生は、京大工学部出身でバリバリの理系でありながら仏教学者としての道を選ぶという稀有なバックグラウンドをお持ちです。そんな佐々木先生ならではの視点から「仏教と科学」という難解なテーマについて、とても面白く、分かりやすく解説して頂きました。今回はその講演の中から仏教と科学の共通点について整理しつつ書き留めました。 佐々木先生は仏教と科学の共通点についていくつかの視

ジョブズの価値観の源泉にあるもの①

前回のポストで、「誰かの死生観は、その人自身だけでなく、別の誰かの人生観や世界観として大きな影響を与える=誰かの価値観をアップデートさせる源泉になる」と述べました。 今回は、その具体的な事例として、誰もが知っている革新的イノベーターであるスティーブ・ジョブズについて考えてみます。 スティーブ・ジョブズについて スティーブ・ジョブズについては今更説明も不要なくらい有名な方ですが、一応軽く触れておきますと、Apple Computerの創設者であり、MacintoshやiP