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英語力ゼロなわたしのシビウ国際演劇祭2023④

4・ついに演劇祭開幕!
  観たもの一気感想!

【ついに演劇祭開幕!】
6/23遂に演劇祭が開幕した!
シビウの街で演劇祭の具体的な準備が始まったのは21日頃からだった
さすがルーマニア時間…
急に準備が始まって、凄いスピードで設営された



【観たもの一気感想!】(※長文過ぎるし、完全なる自分の為の書き留め)
※Outdoorのパレード系は“観た”と言っても、目の前通って行ったというレベルではある

6/23
「Cheval」
Outdoor/大きな馬のオブジェのパレード
お祭りが始まったぞ!感に溢れていた

「Pillar of Mind」
リハーサル見学/韓国のダンスユニット
本番を観れず、リハを拝見したが、めちゃくちゃめちゃくちゃカッコよかった!!!
最終的に私のBEST5に入る!緩急と美しさの極みだった!
メンバーのYunjoo Song さんとJongin Choiさんは、その後演劇祭の最後くらいまでシビウにいらっしゃったので、色んな所で遭遇したが、いつも最高に可愛くてテンションが高くて、あっという間にファンになってしまった

「The Scarlet Princess」
言わずもがなのスカーレット・プリンセス!
ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー 脚本・演出/シルヴィウ・プルカレーテ
2022年に東京芸術劇場で拝見していたこの作品
ホームグラウンドで観るスカプリは、芸劇で観るより親密度が増していて、本当に素晴らしかった!!!


6/24
「Romeo and Juliet」
今年ロミオとジュリエットが合計4作品上演された内の一つ
モルドバ共和国の演劇
脚本はスタンダードにロミジュリ、演出はロックで卑猥になされていたが、個人的にはハマらなかった
全役者が押し続ける芝居には少々辟易してしまった
舞踏会のシーンはとても良かった

「Live Concert-ALTERNOSFERA」
Outdoor/音楽LIVE
モルドバ共和国のオルタナティブロックバンド
現地で人気のバンドらしい
野外Fesと言った感じで、ビッグスクエア(街の中央広場)に建てられた野外ステージでの音楽ライブ
夜の23:30スタートという点が祭りだった


6/25
「UK Gospel Choir Show」
リハーサル見学
シビウ国際演劇祭では、音楽系の公演の多くは教会で行われる
教会で聴くゴスペルはそれだけで尊く素晴らしかった
本番も聴きたかった

「Color Wheels」
Outdoor/フランスのパフォーマンス
前章の「英語力ゼロなわたしのシビウ国際演劇祭2023③」で書いた、私がエキストラで出演することになった公演
電飾が巻かれた巨大な車輪(Wheels)がグラブミュージックの中、街中を行くパフォーマンス!爆発あり、スモークあり、派手オブ派手!
出演も楽しかったが、これは観客としても相当楽しいに違いない!


6/26
「Romeo and Juliet.」
ロミジュリ2つ目 アンドリー・ゾルダック演出
ラドゥスタンカの俳優さんも出ているが、メインキャストはオーディションで選ばれた学生が演っている(らしい)
かなり個性的な演出と、ラストはオリジナルの結末となっていた
壁によって奥に向かってVの字に切り取られた舞台、壁にはいくつかのドアがあり、役者は常に出入りしている
しかもただ普通に出入りしていることは稀で、そのほとんどは駆け抜け、壁にぶつかり、ドアが壊れる程の勢いで開け閉めする
あくまで私の抱いた感想であるが、多くの「感情」が「運動」で表現されていた
何度も何度も同じ動きを繰り返すことによって、役者と観客に与える倦怠や苛立ち、舞台上をぐるぐる走り続けることによって起こる紅潮が与える恋の高揚など
また、ロミオとジュリエットの若くて馬鹿で無鉄砲な勢いというのも「運動」から受け取れた(※行動ではなく運動)
ストーリーとして、ジュリエットはロレンス神父から渡された薬で仮死にはならずそのまま死んでしまい、それを追って、ロミオも死んでしまう
要は、ロレンスは毒薬を渡していたということだが、ここで「死」の象徴と共に舞台上に登場する悪魔という存在と、ロレンスが親身な関係であるという描写が入っている
これに関して、私的にはとても腑に落ちた
原作を初めて読んだ時の感想が「おいロレンスてめぇちゃんとせーよ!お前が全部悪ないか?」だったからだ(←私は研究者ではないので、この辺の正式な解釈は横に置いておかせていただきたい)
また、何かの資料で、ロレンスと乳母には、物語の後、なにがしかの罰が下ったと読んだような…(?)
ということもあり、ロレンスが悪魔と密接であるという設定が腑に落ちた
ラストとしては、ロミオとジュリエットの二人があの世?なのか転生?なのか何にせよ、自由を手に入れた様な、ポジティブな印象で描かれている
とにかく役者の体力と怪我が心配になるような、エキセントリックな舞台だった
面白かった

「Bolero and In the name of joy」
シビウのバレエ団
このバレエ団には、日本人ダンサーも何人か所属なさっている
こちらを拝見した時、一番感じたのは「劇場との相性」ということである
シビウ国際演劇祭では通常本番は1回か2回のことが多く、だいたいは同じ劇場で公演される
こちらのバレエの公演は、1回目がかなり大きいクラシカルなホールで行われ、2回目が野外ステージで行われた
私はホールの方を拝見していて、後日たまたま野外ステージの方をチラリとだけ拝見したのだが、その印象があまりにも違っていたのだ
普通に考えたらバレエなのだからホールの方がよさそうなものだが、正直野外ステージの方が断然良かった
このバレエ公演に限らず、劇場と合っていないなぁと感じることは他にもあった
演劇祭の場合、全プログラムを組む上で、どうしてもベストな劇場にならないこともあるのだろう

「Harmonica Rhapsody」
台湾のハーモニカ5重奏
美しかった!ハーモニカってあんなに沢山種類があるの!?低音のハーモニカとかどういう仕組み?てくらい大きいし、教会に響くハーモニカの音色は最高に癒された

「Moods」
イスラエルの団体で「A Work For An Orchestra in Motion」動くオーケストラのための作品?と説明されているが、その通りだった
映像と照明で作られるストーリーのなか、踊りながら演奏するオーケストラ(弦楽器のみ)
ステージの冒頭、一人の人間が、存在しないピアノを弾き始める(パントマイム)
それに合わせてピアノの旋律が流れるのだが、初めきちんと鍵盤を弾いていた指は、どんどんどんどん鍵盤から逸脱していく
しかしそれでも不思議とピアノを奏でているように感じるのだ
音楽の可視化とでもいうか、その姿こそが本当の音楽なのではないかと感じたりもした
余談ではあるが、マイムに充てているピアノは生(別空間)だったのか録音だったのか?どちらであっても、ぴたりと合っていることが凄いなぁと思った





6/27
「Macbeth/A Nightmare For Two」
トルコの団体
面白かった!
舞台は、現代の夫婦の一室
寝巻で寝ている夫婦が、朝になり目覚め身支度を始める中でマクベスを語り出す
2人の視点と2人の会話で話が進む
出演の2人(マクベスとマクベス夫人)のパントマイム&口で出している効果音が最高に上手い!
キッチンにあるトマトソースが血になり、コーヒーの出がらしが泥になるというような使い方も、わざとらしくなくとても好感が持てた(1列目で見ていたせいで、トマトソースやコーヒーの匂いがしていた)
二人の夫婦喧嘩を見ていて、「ああそうだよな、マクベスて、ただのかかあ天下の夫婦問題だよなぁ」ということの腑に落ちっぷり
チャーミングな二人の俳優が、時に戦場で戦い、時に王になった喜びをかみしめ、時に己を失っていく様が、本当に楽しかった
マクベスを1時間15分でやった事も凄い!

「The Dance of Chine」
時間の都合上、途中までだけ拝見
体幹の素晴らしさ、体のしなやかさが凄かった!
始めの方しか見れず、優雅な踊りが多く、きっとラストとか大人数とかで凄いんじゃないかなぁ…と思いながら

「Dorian Gray」
オーストリアの団体
つくづく痛感するが、演劇は言語が要素のそのほとんどを占めているのだなぁと
ストーリーが把握できず、面白さがわからなかった(これは私のせいであるし、一緒に観ていた他のメンバーは面白いと言っていた)
主人公以外の登場人物を全て映像で投影しており、舞台上には無数のモニターがある
ただ、その映像がわざとなのかもしれないが、正直安い感じを受けた
だが、映像と生身の人間がよどみなく会話していることには感心した!あれはどういう処理なんだろう…練習のたまもの?

「WONDER WONDER – In the Land of My Childhood」
Outdoor/ドイツの団体
ビッグスクエアに所狭しと並んだ蝋燭の数々
その中で、敷地のポイントポイントにRPGの村人みたいな?人たちがスタンバってて、パフォーマンスを行っているようではあったが、敷地の中に入るのが大変だったので、私は、外から蝋燭の美しさを見ていただけだった


6/28
「From Scheherezade」
言わずもがな、フラメンコ界の最高峰マリア・パヘスの公演
演劇祭で恐らく一番大きいホールが超満員だった
凄い凄いとは聞いていたが、その存在感は圧巻だった
尋常でなく腕が長くて、関節が異常(褒めている)明らかに可動域が違っていて、そこから生み出されるモノが本当に素晴らしかった
若手のダンサーに多くのパートを任せてはいたが、同じことをしていても、それでも目を引く存在感だった

「The Cherry Orchard」」
ラドゥ・スタンカ劇場カンパニーのレパートリーの一つ
ラネーフスカヤ夫人を、ラドゥ・スタンカの看板女優のオフェリア・ポピが演じており、スタンダードなラネーフスカヤとは少し違い、幼い?無邪気な?ラネーフスカヤの印象を受けたが、その悪意のない天真爛漫さの様な物がとてもしっくりきていた
また、一切装置の無い舞台に(あるのは壁パネルくらい)、ほぼ全キャラクターがいる状態の演出も面白かった

※ここで少しだけラドゥ・スタンカ劇場カンパニーについて
国立の劇団であり、レパートリー劇団である
であるから、役者たちは常に何作品も上演できる状態であり、看板女優のオフェリア・ポピに関しては、この演劇祭の期間中4作品に出演していた、しかも全て主演
凄まじいことだし、この10日間で彼女のファンにならない方がおかしい
素晴らしすぎた!


6/29
「BLKDOG」
イギリスの団体
ダンス公演であり、その身体の素晴らしさは言うまでもないのだが、それ以上に、テーマ性やメッセージの力強さを感じた
貧困、人種差別、戦争、そういったものとド直球に向き合った作品だと感じた

「familie」
ミロ・ラウ演出/ベルギー
この作品は2007年に実際にベルギーで起こった一家心中事件をモデルとしてあり
家族4人の話なのだが、この4役を実際の家族(An Miller, Filip Peeters, Leonce Peeters and Louisa Peeters)が演じている
私は、何の前情報も入れずに観始めてしまったので、この作品が一家心中の話だと知らずにいた
まずセットが変わっていて、舞台上にはなかなか精密な一軒家が作られており、リビング、キッチン、バスルーム、子供部屋、庭を客席から一望できる
一軒家の二階部分には大きなスクリーンがあり、バスルーム、子供部屋、庭、そして舞台奥にセッティングされたビデオの映像が映し出される
リビングは舞台奥向きに作られており、家族の食事風景は背中側からしか見えないが、映像によって、家族各々の表情がクローズアップされたりし、とても有効な映像の使い方がしてあった
また、料理風景などは、本当に目の前のキッチンで調理されていく

物語としては、娘の独白を挟みながらではあるが、淡々と家族の夕食の風景だけが描かれていく
ココがまず凄い!だって特に何も起こらないただ平凡な夕食風景なのに、観客を引き付けて離さないのだ
こんな父親いるよな、とか、娘はホントはこう思ってるな、とか、多くの共感を含んでいるのだ
夕食後、少しずつ物語は疑問を含んでいく、家族が家財道具を片付け始めるのだが、どんどん荷物を庭の端に積み上げていき、引っ越しの様には思えない
その仕上げとばかりに家族はドレスアップをし、梁に首吊りのロープが用意されるのだ

事前情報を入れていっていなかった私は、ここで衝撃を受けることになる
そして物凄い想像を掻き立てられる「なぜこの家族は心中をするに至ったのか」と
生活苦だからと言っても、その選択はあり得るのだろうか?もしやこの作品はユダヤ迫害などに対する問題提起作品だったのか?などなど…
あまりにも素晴らしい家族団欒からの心中という衝撃と、共感からの想像の衝撃は凄まじかった(これは知らずに観た“初回”でしか得られない衝撃だろうが)

物語は、娘がやはり死にたくないと一度考え直す時間を経て、それでもラスト全員が首を吊ったところで終わる(※実際に役者は首を吊っており、確実に背中にワイヤーなどを引っ掛けるはずだが、その引っ掛けたタイミングが全く分からなかったのも、凄い!)
と、まぁ、長々と書いたのは、この作品が私のBEST3に入るからなのだが
本当に素晴らしかった!

※余談
終演後ロビーにいたら、目の前を、父親役の役者さんが通っていったので、思わず追いかけて「写真撮って下さい!」と言ったら「いいよぉ~そこに皆もいるから~」とあれよあれよと連れていかれ、なんと出演者全員(実際の家族・笑)と写真を撮ってももらうことに!
宝物にします!

「MASS」
ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー、またまたまたの主演オフェリア・ポピ
銃乱射事件の加害者家族と被害者家族の対話の物語
舞台は対話をするために集まったある1室だけで進んでいく
完全なる会話劇であり古典でもないこの作品は、正直ほぼわからなかった(語学的な意味で)
今回、語学が出来ないことを最も悔やんだ作品だと言えると思う
全くわからないながら、役者4人(被害者の両親と加害者の両親)の熱演の素晴らしさはよくわかった
だからこそ、この素晴らしい舞台を理解できなかったことが悔やまれるし、必ずいつかリベンジしたい





6/30
「Gravir」
Outdoor/フランスのアクロバットユニット
最高峰クライマーが雪山に登りに来たら、温暖化で山が骨組みだけになっていた、という設定だった(作品紹介を今読んだ・笑)
その通り、巨大な“うんてい”の様な、山に見立てた装置で繰り広げられる無重力ショー
とてもPOPに作られており、落ちそうになるパフォーマーに、観ている子供たちが声を上げたりなど、Outdoorらしい作品だった

「Les Geants Legers」
Outdoor/フランスのバルーンアートのカンパニー
こちらは大通りのパレードを拝見しただけだが、バルーンアートで作った巨大な龍やタコやマトン(もしくはエイ?)など、海の動物たちの行進は、とても華やかだった
別の日には、子供たちとバルーンアートを作るWSなどもなさっていた

「EXIT」
Outdoor/ベルギーのアクロバットパフォーマンス
回転する扉が印象的なアクロバットパフォーマンス
何枚もの扉がある舞台装置の中、センターの扉が水平方向に水車の様に回転し続け、その扉を、パフォーマーは自由自在に上り(持ち上げられている)、下り、渡っていく
あまりに身軽なので、本当に無重力に感じるほどであった
簡単そうにやってるけどホント凄いなぁ!ていうのの典型


7/1
「The Seagull」
山の手事情社
私がカンパニーアテンドで入らせていただいた、山の手事情社さんの公演
ロミジュリが4作品も上演されていたように、チェーホフのかもめ も他のカンパニーと合わせて3作品上演されていた
山の手事情社さんの様式的演技スタイル“四畳半”による「かもめ」は本当に素晴らしかった
私はこの“四畳半”に関して無知なので、これに関してどうこう言えはしないが、脚本から知れる情報以上に、身体から伝わってくる情報は明確で、また、本作で描かれている「退屈に生きる剥製人間」と「世界を変えられると空想する生きた人間」という対立描写もビジュアル(衣装で明確に格差化されている)から伝わってくる
日本で上演される際のタイトルが「過妄女(かもめ)」となっているのも、観終わった後に大いに納得できる
能や狂言の要素を織り込んだ演出も相まって、「絶対海外でウケる!」と感じた
ただ、この件(海外でウケる!)に関しては、現地で安田さん(山の手事情社主宰)とお話させていただいた中で、様々なお考えや想いを持っていらっしゃると知り、一概に誉め言葉にはならないのかもしれないが、それでも私は純粋に凄いことだと思ったし、面白いと思ったし、もっともっと世界中の人に観ていただきたいし、そしてもっともっと日本でも観て欲しいと感じた

「Faust」
ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー 脚本・演出/シルヴィウ・プルカレーテ
“シビウ国際演劇祭といえばファウスト、ファウストといえばシビウ国際演劇祭”と言わんばかりの代表作であり傑作!
脚本・演出/シルヴィウ・プルカレーテ「スカーレット・プリンセス」で始まったこの演劇祭は、ラスト2日間を、脚本・演出/シルヴィウ・プルカレーテ「ファウスト」で締めくくる
劇場は“ファウストホール”と呼ばれる専用劇場で、工場を改装したかのような劇場である
広大な劇場は、水OK火OK
文句なくBEST1!最高過ぎた!

物語としては、ファウスト第一部「ヴァルプルギスの夜」までが描かれており、膨大なファウストの一部分だけと言えるが、そこにエンディングを繋げ、満足のいくストーリーとなっている
この作品の素晴らしい所は、そのストーリー性よりも、演出と役者の素晴らしさが突出している
印象を一言で表すなら「サーカス」である
客席階段下から響く合唱、客席中央階段を駆け抜けるキャスト、崩壊する壁、抜ける床、宙に吊られる人間、爆音の生演奏、吹き出す炎、迸る鮮血…
ヴァルプルギスの夜における魑魅魍魎の世界の印象が強いが、その中心にいる、メフィストフェレスを演じるオフェリア・ポピ、ファウストを演じるミクローシュ・バーチ、この2人が素晴らしすぎた
特にメフィストフェレスを演じるオフェリア・ポピの美しさたるや!その立ち姿だけでメフィストフェレスの存在を疑いようもないものにしていた
併せて言うと、舞台美術と衣装の素晴らしさ!メフィストフェレスは両性具有のビジュアルで作られていたが、胸をあらわに出した上半身と、男性器を装着しているオフェリア・ポピのこの世のものではない感も最高だった
構成の面白さとして、途中、観客は劇場を大移動する
物語中盤ヴァルプルギスの夜が始まるにあたって、舞台上の奥の壁が、更に奥へと下がっていき、次なるアクティングスペースが現れる
観客はキャストに誘導されながら、そちらに移動し、そして最終的にまた元の席に戻る
超超超満員の観客を移動させるのは正直時間もかかり大変だろうなぁ…なんてついつい思ってしまったけど、観客としては、不快な思いは一切なく、このエンターテイメントにワクワクし通しだった

超超超満員と書いたが、ファウストホールのキャパはかなり大きい(正確なキャパを把握していないが、1,000前後ではないだろうか?いや、もっとか?)
シビウ国際演劇祭では、当日券で階段や立ち見も入れるため、キャパに対して120%150%くらいになる場合もある(入れられるだけは入れる!これは日本だと消防法に引っ掛かるのでまずもって無理)
もちろんこの大人気作品も客席だけでなく、中央階段、そして両サイドの壁の立ち見などもいる状態だった
私は当日飛び込みだったので、座席がなく、なんとか階段に座ることが出来たのだが、これがもう“神席”だったのだ!!!
階段は中央なので、まず観やすい
そして劇中キャストは何度が中央階段を通り、芝居などをするのだが、物語終盤ファウストを追いかけてきたメフィストフェレスがうずくまるシーンがあった
なんと私の真横でうずくまっているではないですか!苦悶するオフェリア・ポピ様のご尊顔が私の顔の真横に!その距離マジで30cmくらい!尊い!

なんだかもう言いたいことが何を言ったらいいのかわからなくなってくるので、ほんとアレですよ!とにかく!この作品を観るためだけにシビウ国際演劇祭に行く価値がある!!


7/2
「Diptych:The missing door and The lost room」
ベルギー/ピーピング・トム
「驚愕のテクニックと独創的なスタイル」「脅威の身体能力と奇想天外な物語」等と評されているらしいが(※「英語力ゼロが国際演劇祭のボランティアに参加することの紆余曲折⑩」にて紹介しているナナちゃんのブログより引用)その評につきる!
作品紹介のあらすじを貼っておくと「数人の登場人物が理想を求めて旅に出る。そして今、彼らは迷い込んだ神秘的で不気味な迷宮をさまよい続けている。登場人物たちは、不確かな運命へと導く自然の力に導かれながら、現実と想像のはざまで生きている。」
HPにも“不安定な宇宙”と書いてあるが、その不穏な世界観とストーリーの面白さと、とにかくとにかく信じられない身体!!!間違いなく私のBEST3!
ピーピング・トムは日本公演も何度か行っているので、またいつか日本に来てくれることを望むし、来てくれた暁には、絶対に絶対に観に行く!

「(Not)the End of the World」
ドイツ/演出:ケイティ・ミッチェル
階級、家父長制、植民地主義の視点を通して、気候変動を探求している作品
物語はインタビュー(面接)形式で進んでいき、3人の役者は3つのドアから出入りし、語ってハケていく
その都度、時代や関係性や立場が異なっていっているのだが、この舞台に関しても、またもや私の語学力の壁が立ちはだかった
3人の淡々としたインタビューで進んでいく物語はその内容こそが重要であり、私自身は十分に理解することができなかったのだ…(なんだか作家に申し訳なくなる…)

以下ナナちゃんのブログより↓
「ケイティ・ミッチェルは、最近ツアー公演で飛行機を使わない、現地で俳優を調達して上演する等の取り組みを行っている。今回の作品は、舞台上で三人の俳優が二台の自転車を交代でこぎ、そこで発電された電気で上演の電気をまかなう。このような試みを通して、普段は不可視化されている舞台芸術の電気使用量を観客が感じられるようになっている。」
とのことで、試み自体もとても面白い作品だった

「Springtime」
Outdoor/オランダ
こちらは夕食を食べてる時にチラリと拝見
男女2人が大きなバネに吊るされている状態のアクロバット(?)ショー
「自由は制限されているが、制限の中では無限の可能性がある」2人のラブストーリだったらしい
チラ見しかしてなくて、全部は見ていないのだ
Outdoorの良い所は、なんと言ってもライブ感であり、そしてフラリと来て観てフラリと去っていけるところだと思う
私自身、野外劇をやった時に似たようなことを感じたのだが、もちろん足を止めて最後まで観ていってくれたらうれしい
しかし、そうでなかったとしても、なにがしか、その通過していった時間の中で、心に引っ掛かりが出来たらいいなぁと思っていた

「M (Femeie, Miracol, Femeie)」
カナダのカンパニー
尖りすぎ…尖りすぎではないですか…
上半身裸、蛍光色のズボン、蛍光色のおかっぱのウィッグ
ダンスカンパニーなのだが、今回の大きな特徴として、役者が舞台上で発した特に意味のない擬音をマイクで録音し、その擬音をBGMにし身体表現をするというもの
固定概念やセオリーに囚われない感じで、試みとしては大いに良かったのだが…
もう少し観客に優しくお願いしますよ…という感じだった・苦笑
最終的にそこに行くのは良いとして、今はまだ、少しこちらに寄り添っていただけませんか?と…観客おいてけぼり感が強かった…

バレエ公演の感想でも書いたが、劇場に合っていなかった
こちらも、バレエ公演やフラメンコ公演などで使った、大きなクラシカルホールでの公演だったのだが、空間も照明もハマっていないように感じた
また劇場の性質もあってか(この劇場でやるならこういった感じの作品だろう、的な?)、観客席は年配の方が多く、より一層観客おいてけぼり感が強かった

単に私の感性の問題かもしれないが、とにかく、私には“まだ“ハマらなかった

「Mo and the red ribbon」
Outdoor/フランス
Moと名付けられた巨大な人形が、大通りを進み、大広場では、リボンにどんどん巻かれていく
「家族と離れ離れになった子供と、彼の新しい人生への旅のファンタジー」らしいが、観ていた感想は、ただただ可哀そう…だった
とにかくスケールの大きなショーであるだけに、演劇祭のラストにふさわしく壮大だった

「Drone and laser swhow-closing #FITS30
Outdoor/ドローンショー
こちらは演劇祭初日にも行われたドローンのショー
東京オリンピックでやってたアレ
昨年もあったそうだが、昨年も参加していた子曰く、格段にスケールアップしている、とのことだった
大規模かつ金かかってる感ありで、演劇祭“締めくくったぞ!”と、大満足で演劇祭を終えられた


もっともっと観たい公演は沢山あった
当然仕事がある時は観られないし、観たい演目が被ってると言う場合も多々
それでも、毎日毎日こんなにも観て、演劇漬けだったこと最高に幸せだっ!

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