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ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』
ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』は2007年に発表された本だが、2011年に岩波書店から刊行された翻訳本は今もなお古書でも値が下がらず、大変な支持を得ている。
NHK Eテレの「100分de名著」でも6月に取り上げられた(NHKの良心、最後の砦?)。
上下巻で5000円を優に超える金額の本だが、まずはAmazonのページから、無料の「試し読み」で最初のほうだけでも読んでみよう。
民営化、規制緩和、社会支出の大幅削減という三点セットの押しつけは、一般市民からはひどく不評を買ったが、それでも当時はまだ、協定締結の際には交渉にあたる政府同士、およびその分野の専門家たちは形式上だけでも合意の手続きを踏むのが一応の道理だと考えられていた。
それが今や、同じイデオロギーに基づく政策をもっともひどい強制的手段で、つまり他国に軍事侵略したあとの占領体制下や、自然災害による激変の直後に強行するようになってしまったのだ。
どうやら9・11を機に、アメリカ政府は世界各地の国々がそれを望むのかどうかを顧みることなく、「衝撃と恐怖」の軍事力を行使してアメリカ流の「自由市場と民主主義」を推し進めてもかまわない、と自己判断するに至ったらしい。
(略)
ショック・ドクトリンというレンズを通すと、過去35年間の世界の動きもまるで違って見えてくる。この間に世界各地で起きた数々の忌まわしい人権侵害は、とかく非民主的政権による残虐行為だと片づけられてきたが、じつのところその裏には、自由市場の過激な「改革」を導入する環境を整えるために一般大衆を恐怖に陥れようとする巧妙な意図が隠されていた。
(ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く ナオミ・クライン 著、幾島幸子・村上由見子 訳、岩波書店 2011)
本書の最初に「ショック・ドクトリン」の実例として取り上げられているチリの軍事クーデターは1973年9月11日に起きている。
Wikiでは「世界で初めて社会主義政権(アジェンデ大統領の人民連合政権)が、自由選挙によって民主的に選出されたにもかかわらず、武力で打倒して新自由主義的な経済政策を押し付けるべく、米国政府、米国多国籍企業、シカゴ学派経済学者がチリ軍部を裏で操った。」と説明されている。
ニクソン大統領はCIAに対し、どのような手段を使ってでもアジェンデの就任を阻止するよう命じた。当時のチリ軍部はアジェンデの大統領就任を静かに受け入れていたので、CIAは、議会での決選投票における票の買収と軍事クーデターという2本柱の作戦を立てた。
チリ駐在米国大使はチリの現職大統領に次のように言って脅しをかけた。「アジェンデ政権下では、ナットもボルトも一つとしてチリに入るのを許さない。あらゆる手段を使ってチリとチリ人を最低の貧困状態に陥れてやる」。
CIAはアジェンデを鬼として描くプロパガンダを展開した。記者たちに金銭を渡してCIA製の記事を新聞や雑誌に掲載させた。ラジオ番組では迫真の演技も行われた。番組の途中で銃声に続いて女性の悲鳴、「息子がマルクス主義者にやられた」との叫び、など。
(Wikiより)
……これが50年前のこと。
すでにこの時期には、戦争や災害などの恐怖に乗じて海外資本がその国を経済的に乗っ取り、資源や労働力などを思うがままに収奪するという手法が確立していた。
それがうまくいくと分かってからは、戦争(内戦やクーデター)や災害を巧妙に仕掛けて、人為的に「恐怖とショック」を生み出すことも平然と行われるようになった。
これがどんどんエスカレートして現在に至っている。
この「ショック・ドクトリン」を理論や政治の面で牽引していったのはミルトン・フリードマンを崇拝する「シカゴ学派」と呼ばれる連中だが、今ではこの役割をWEFのヤング・グローバル・リーダーズあたりが取って代わった感がある。
日本からも100人以上が名を連ねている。
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企業家、政治家、芸能人など、ああ、あの人も、この人も……と、ゾロゾロ。
ここから主な政治家を拾ってみると、
小池百合子、猪口邦子、高市早苗、船田元、林芳正、野田聖子、小渕優子、中田宏、浅尾慶一郎、津村啓介、遠山清彦、大塚 拓、鈴木英敬、荻原健司、三日月大造、小泉進次郎、山内康一、越直美、小林史明、橋下徹
……といった面々。しっかり覚えておきましょう。
日本では幸か不幸か(どちらの要素もある)、軍事クーデターなどの急激な仕掛けはなかった代わりに、じわじわと「情報宗教」による洗脳や飼い慣らしが続き、スイッチ一つでいつでも国民全体を操ることができる土壌ができあがってしまった。
歴史を学ぶことがいかに重要か、改めて痛感させられる。
これだけの歴史があるのに何も学ばず、あまりにも簡単に世論が操られ、最大の搾取標的にされている日本。
国民の8割は今なお瞞されているとは思わず、コロナ詐欺で健康寿命を失い、ロシア憎しプロパガンダ漬けのまま税金を海外の善良な市民殺戮作戦のために吸い取られている。
毎日働きづめで余裕がないのは分かる。でも、近現代史を学ぼう。少しずつでいい。
最低限の知識は持たないと、自分の命も大切な人の命も守れない。
78年前に完全敗北が決まっている状態で原爆を2発も落とされ、多くの優秀な若者に政府が死への片道切符を渡した歴史が、子孫になんの学びも与えていないと知ったら、殺された人たちの魂は本当に浮かばれない。
「100分de名著」より↓
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『神は成長する 霊肉二元論の向こう側』
肉体と魂といった単純化された霊肉二元論を超えて、「私」という意識は脳(肉体)と個性を持った神が結びついて生成されているという思考モデルを展開させた「神カミ」論。
後半では2020年以降の「リセット世界」「人間を機械化した専制世界」という企みにどう向き合うかについても触れる。
読みやすいよう、本文フォントには大きな16級明朝を使用。
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こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。