シ から始まる

2019年に書いた『シから始まる』を録り直してみた。
今回は気合いを入れて、ギターは久々に Conde Hermanos を持ち出して、マイク録りの生音無加工で使用。
エフェクトもイコライザーもかけず。やっぱ高い楽器はちゃんとした音で収まるのね。しかも「下手にエフェクトなんかかけるんじゃねえ」って主張しているような気がした。コンデ兄弟の亡霊?
……ん? まだ死んでないのかな。コンデ兄弟は。
兄弟でやっていた工房はだいぶ前に閉めてしまい、その後は兄と弟が独立した工房を作って……とかなんとか読んだような気がする。
一昨年だったか、Martin、アントニオサンチェス、Parkerの3本をまとめて楽器買い取り専門店に売り払ったとき、コンデも一緒に売ってしまうかどうか悩んだのだが、まあ、そう慌てることはないだろう……と踏みとどまったのだった。
もちろん、ここにあるよりは、上手なフラメンコギター奏者の手にでも渡ったほうが、楽器は幸せなのだけれど。

ギター一本でもいいのかもしれないが、Kim姐御が「私がカッコいいソロを弾いてあげるから」と言うので、やってもらった。
テンキチはいつものように、文句も言わず、淡々とベースを弾く。

また同じことを……と言われるかもしれないが、「自分のスタイルを固める」ということに徹すれば、少し気持ちが楽になるのかもしれない。
EWIという楽器をこのテイストに徹して使う。そのことに迷いを持たないことにしたい。
ヴァイオリンに聞こえない、とか、そういうことではない。これはヴァイオリンのシミュレーションではなく、私が考える、いや私が「好きな」EWIの音なのだ。本物のヴァイオリンでこのメロディ、このアドリブフレーズを演奏すれば、それはそれで迫力あるかもしれないが、私は自分のスタイルとして、この音、木管楽器のニュアンスで弦楽器的な音を出すという、このスタイルが好きなのだ。
生音の迫力やシズル感がない分、メロディそのものを聴いて感動できるとも思う(かなり強がっているけどね)。

「冗談騎士」や「あちこちオードリー」で、芸人たちの本音の話を聞いてると、学ぶことが多い。
自分よりずっと若い人たちの話なのだが、ああ、彼らも懸命に頭を使い、努力しているんだなあと感心させられる。
テレビ的に認知され、売れることが目的というのは、もうこの歳になるとどうでもいいし、むしろそういう世界からは遠ざかりたいという気持ちが強い。でも、彼らの努力の仕方には学ぶことが多い。
年寄りは謙虚になるしかないよね。謙虚さの部分にしか、もはや伸びしろの可能性はないだろうから。
自分らしさ、自分にしかできないことを追求したい。なぜなら、それが「好き」だから。

こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。