ダボスの思考回路を探る
第7回ぷちぷちサミットより抜粋 その1
幽大: 連中は一体何をしたいんだ?
イシ: 私もそれを最近ではよく考えるんです。昔からある覇権主義というのとも違うと思うんですよね。もっとゲーム感覚に近いというか……。
吾狼: そうそう! まさにゲームなんじゃないですか? ビル・ゲイツなんて、そもそもがOSのライセンス買収で詐欺師的な才能を発揮して成功を収めたことが人生ゲームのスタートだったわけで、そういう人物が世界を動かせるほどの富を得ると、人生というよりも、この世界全体がゲームのように見えるんでしょう。
イシ: そうだね。世界全体をゲームととらえているゲーマーにとっては、国家なんてものも駒にすぎない。ましてや個々の人間なんて、石油や地下資源、食料と同じで、ゲームを進めるための資材というか、データ……ただの数字なんだろうね。
吾狼: 数字ならコンピュータが扱えますからね。感情移入する必要もない。
イシ: ゲームを効率的に進めるためには、今の世界人口は多すぎるから減らしたほうがいい。
今の技術やインフラを最も効率的に運用していく社会システムにとって、必要な人材は残すが、ただ資源を消費するだけの人間はいらない。
生かしておく人材は一定の知的レベルをクリアしなければいけないが、同時に、上からの指令に忠実に従う性質を持っていなければならない。
幽大: そんな世界のどこが楽しいのか。連中は自分の人生をどう考えておるんだ? 自分たちの思い通りに駒が動き、世界というゲームが進む。それで満足できるのか? だとしたら相当な愚か者ではないか。
イシ: やはり一種の病理なんでしょう。
吾狼: ゲーム感覚で生きてきて、あまりにも桁外れの富と権力を得てしまったことで、中毒症状を起こしているとか?
イシ: そういう連中が多数だとは思うけれど、宗教的なものに突き動かされている者もいるんじゃないかな。
吾狼: 終末論的な世界観というか、信仰心のようなものですか?
イシ: そうだね。世界は一度滅びて、その後の新世界に自分たちは選ばれて生き残り、永遠の命を授かる、みたいな。
幽大: それを神任せではなく、自分たちで積極的に実行しているわけか?
イシ: ええ。それが自分たちのような選ばれた者の使命なのだ、と。
幽大: それはやっかいだな。死んだら終わりではないわけだから。
吾狼: 中には、科学技術を神のように信仰している者もいるんじゃないですか。肉体は老化して滅びるけれど、自分の脳の中身をデータ化してデジタル世界に遺すことによって永遠の命が得られる、みたいな。
イシ: あるかもしれないね。まさにメタバースかな。
幽大: う~む。どうにも理解できんな。そんな世界で永遠に生きるなんぞ、地獄だろうに。
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こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。