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ブラッシュアップライフ(今更)

(一部ネタバレがあります。)

「輪廻転生」(何度も生死を繰り返し、新しい生命に生まれ変わること)は仏教徒の多い日本に根差した死生観である。

いや、でも人間以外の来世は想定してないよね!?

ペットとして飼われているような動物だったら分かる。イメージが湧く。

あなたの来世は「グアテマラ南東部のオオアリクイ」です。
分からねぇ…場所のイメージもつきづらいし(多分コーヒーとか美味しい)、オオアリクイの生態も分からねぇ…

本作は、そんな来世を通告された主人公が、人間としての徳を積むために現世を生き直すお話。

◆時代描写がすごい

主人公と年齢が近いこともあり、幼少期の描写で懐かし死にした。
シール帳やプロフィール帳の描写は、自分の小学生時代を見ているかのようだった。
しかも表面的に映すだけではなく、「シール交換のレート」や「好きな人に書いてもらうプロフ帳」などの描写がリアル。
バカリズムさんは心に女子小学生を住まわせているのか?
毎回テーマとなる楽曲があるのだけど、時代にも各話の内容にもぴったりだった。

◆中身のない会話

「謎の変遷を辿るあだ名」「なっちの紹介しない問題」「熊谷ビューティー学院」「ドラクエとFF(強いて言うなら犬派・醤油派)」
本当に会話に中身がない(笑)
でも、それだけに、聞いている私もメンバーの一員になったかのような錯覚に陥る。
私は「ドラクエ派」だよ、なっち!
思い出って、結局はこういうどうでもいい話の積み重ねのことなんだよなぁ。
ちなみに私が最近した中身のない会話は…
・「その着こなし『世界モテ女大学』卒のコーデじゃん!」(「世界モテ女大学とは」大喜利に続く)
・「明日の渋谷集合、今金曜ロードショー(名探偵コナン)で爆発しそうだけど大丈夫そ?」
・初めて買ったスタンプ選手権
だった。
本当にどーでもいい。
あと、学生時代は、教師をポケモンのタイプ別に分類していた。

◆もし自分が人生をやり直すとしたら?

絶世の美女になっているわけでもなく、運動神経が良くなっているわけでもない。(私は運動神経が悪いため、運動が得意な人に憧れがある。)
私が私として人生を生き直すとしたら、きっと大して今と変わらない気がする。
職場で気が利く新卒になったり、些細な怒られを回避したりするかもしれないが、学校や職場は今のままがいい。
新卒の職場なんてたった2年で辞めてしまうのだけど、それでも一度はあの会社に就職しておきたい気がする。
節目(進学や就職)となるところで今と違う選択をすると、「あの子とは友達になっていないルートかぁ」と思ってしまうからだ。
きっと違う選択をした先では別の友達が出来るのだろうけど、現在の交遊関係を捨ててまで得たいものではない。

◆30代女性の友情

30代になると、どうしても学生時代と同じような距離感で友人と付き合うことは難しい。
独身か既婚か、子どもは居るか居ないか。
ライフステージが変わるとどうしても、取りまく環境が変わってくる。
本作ではそういった描写が一切なく、ずーっと変わらない女性同士の友情を見せてくれて嬉しい。
あと、地元で就職して実家から通勤してることを肯定してくれたのも良い。

◆幸せな人生とは?

結局「『地元で過ごす友達との時間』を選んで1回目の人生に寄せていく」というラストが最高だった。
私の人生、特段冒険も挑戦もしてこず仕事もそこそこだけど、悪くないよねって思わせてもらえた。
私も「同じ老人ホーム入れたら幸せだろうな〜」って友達がいる。
そう思えること自体が、既に幸せなことなのかもしれない。

加藤くん、20年粉雪歌ってることになるの最高だったな(笑)

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