保護した野良猫(地域猫)が、扁平上皮癌でした。

はじめまして。
noteを使って記事をまとめるのは初体験。
不慣れで読みづらい可能性もありますが、よろしくお付き合いください。

ここでは、我が家が2021年4月に保護した元野良猫(地域猫)の「たぬきち」が扁平上皮癌と診断され、抗がん剤の服用・投与、外科的手術、さらには放射線治療を受けるまでの歩みと、その時々の飼い主としての心情や決心などを書き記していこうと思います。

Twitterでは #たぬきち扁平上皮癌治療  というハッシュタグで一連の経過、日々の変化を綴っていますので、そちらのリンクを使いながら。

このnoteに行きつく方は、飼い猫、あるいは飼い犬やウサギなどのペットがガンと診断されたり闘病の真っ只中にあり、少しでも情報を得たいと考えているのではないでしょうか。
私自身がそうでした。
多くのご経験者さんの体験談を検索して読み漁り、「こんな治療法があるのか」と希望を持ったと同時に、「ガンが進行した先の未来はこうなんだな」と覚悟の気持ちを持ちました。


我が家はアラフォーの共働き夫婦、子供はいません。
幸い安定した世帯収入を得られているため治療費の捻出に困ることはありませんでした。今のところは。

このnoteでは治療費の話題にも触れるつもりですので、「抗がん剤っていくらぐらい?」「放射線っていくらぐらい?」と気になる方は、あくまで我が家のケースはどうだったかを参考情報としてお読みいただけたらと思います。

「たぬきち」の紹介をしておきますね。
たぬきち。
名前を聞いて「オスなのね」と思われたかもしれませんが、実はメスでした、、、。
保護する以前から3ヶ月ほどお外でふれあっていて、なんだかタヌキっぽい丸みを帯びたシルエットに見えたので勝手に「たぬきち」と呼び始めました。
その当時はオスかメスかなんて考えたことなかったなぁ。

たぬきちはいつも大体決まった場所にいて、地域の方々から何年にも亘って可愛がられ、面倒をみてもらっていたようです。
いわゆるTNR活動によって避妊手術済み。お耳のカットもされ、詳しくは知りませんがゴハンやお水やりの担当の方もいたようです。
たぬきちがいた場所には他にも数匹の地域猫が住み着いており、我が家ではたぬきちの後にもう1匹地域猫を保護しています。

そんな風に地域で飼育?お世話?されて、自由を満喫して暮らしていたたぬきちでしたが、初めて会ったときから「この子、お鼻がおかしいね」と夫婦で気になっていました。
たぬきちは白と黒のバイカラーで、本来なら薄いピンク色のお鼻を持っているはずなのですが、初めて会った2021年1月の時点で既に「鼻」と呼べる部分がエグれてしまっている状態。
知見のない私たち夫婦は「皮膚病か何かだろうね」と思っていました。
それ以外は、野良にしてはぷくぷくと丸みを帯びた立派な体をしているし、体を撫でると気持ちよさそうに鳴くし、重大な疾病を持っているとは考えていませんでした。

2021年1月の出会いから保護する4月までの間、見守る気持ちでたぬきちと接していましたが、何となく、何となく、お鼻の状態がゆるやかに悪化しているように思え、「治療してあげたいね」と夫婦どちらからともなく言い合うようになっていきました。
元々私たちは入籍を機にペットOKの物件に越してきた身で、さて、どんな子をお迎えしようか、という状態だったのです。

たぬきちを可愛がっている地域の皆さんが寂しくなるのでは、、、というか実は地域猫ではなくて誰かの飼い猫で放し飼いされている可能性があるのではないか、、、。
色々な不安もあったのですが、この鼻の状態を見ていてもエサやり以上のことをしてもらえないのなら、仮に誰かに文句を言われても「我が家の責任で治療を受けさせます」と言い返せばいいよね!と決心。

かくして自由気ままにお外で生きてきたたぬきちは2021年4月のある日、私たち夫婦に洗濯ネットで捕獲されて自由を奪われ、我が家に連れて帰られたのでした。

捕獲した翌日には近所の動物病院へ連れてゆき、ICチップが入っていないことを確認。猫エイズや白血病などの検査、レントゲン、ノミダニ駆除などをひととおり受けました。
獣医師はとても優しい女性の先生で、地域猫を保護して勝手に治療を受けさせてもいいんでしょうか?とお聞きしたら「地域猫は誰のものでもないんですよ。誰が保護してもいいんですよ。お外で寒い思い暑い思い、車や人に怖い思いをするより、安全なお家の中で過ごせたほうが良いに決まってますから、気にすることなくお迎えしてくださいね」そう言って下さいました。

この日の診察でたぬきちがメスであることが判明するとともに、推定年齢は8歳以上、もしかすると10歳を超えているかもしれないと言われました。
口腔内の状態が悪く、歯周病がひどかったのです。確かに口臭がありました。歯も既に何本も抜け落ちていたようです。
そして、肝心のお鼻について。
先生は初見から扁平上皮癌の可能性があると言われました。そうでなければ感染症・皮膚炎かもしれないが、この病院でできる範囲の検査では原因特定はできないので「スタンプ検査」を外注でやってみましょうか?とのご提案。
問題のお鼻の部分にガラスだったかな?フィルムだったかな?を押し当てて、皮膚に潜む何らかの原因採取を試みるというものです。

結果としてこの検査では「炎症が見られる」「もっと内部に腫瘍細胞が潜む可能性があるのでスタンプではなく細胞を採取しての検査を推奨」といった回答があったのみで、癌であるとは診断されませんでした。
今にして思えばこの時点で細胞診まで踏み込んでいればもっと早く『癌の治療』に移れたわけですが、「まずは炎症を抑えるステロイドを使ってみるのもアリだと思う」「それでも悪化するようなら次のステップに進んではどうか」との助言もあって、夫婦で考えた結果、まずはステロイドで様子見することになりました。

この当時、私たちには扁平上皮癌の可能性はまったく頭になくて、先生から示唆されても今ひとつピンと来なかったのです。
「こんなに食欲あるし、レントゲンや血液検査でも大きな異常がないのに癌ってことある?」とさえ思っていました。
なので、先生の言う「ひとまずステロイド」という提案がしっくり来たわけでした。

ここから数ヶ月。
具体的には5ヶ月ほどの期間。
たぬきちはステロイドを飲み続けましたが、ジワジワと鼻の状態は悪化。
エグれている部分は常にジュクジュクし、時々出血していました。
薬が効いていたならば、ジュクジュクが無くなって出血も起こさなくなり、鼻のエグれが広がらないはずなのに、、、。

定期的に同じ近所の動物病院へ通い続けましたが、先生は「扁平上皮癌の可能性は、私からは『可能性がある』としか言えないんです。もし癌だってわかれば、癌の子にだけ使えるお薬や治療法があります。でも、癌だっていう確定を受けたい飼い主さんと、受けたくない飼い主さんがいるので私の立場では『飼い主さんはどうされたいですか?』とお聞きするしかないんです」と仰いました。
言葉を選んでお話しされてましたが、要約すると、「元野良猫に、どこまで治療費や手間暇をかけますか?」ということ。

何年も一緒に過ごしてきたわけじゃない猫ちゃんに「癌ですよ」と言うと、「そこまでは手を掛けられない」「安楽死させてほしい」と言う飼い主さんも一定いて、そうなってしまうぐらいなら癌かもしれないけど癌であるとはハッキリさせないままでいるのも1つの選択肢。

私たち夫婦はそんな先生の態度に、「癌の可能性が高い、ぐらい言い切ってくれればいいのに。私たちは治療するつもりで保護したんだから」とヤキモキしていました。
冷静になれば、先生には言っていいことダメなこと、先生なりのポリシー、様々な飼い主と対峙してきた経験などがあって、私たちを誘導するような発言が出来なかったんだろうなーと思えるのですが。

それで、セカンドオピニオンを受けることにしました。
訪れたのは私の地元に昔からあって、私の実家で飼っていた愛犬が何度も何度も大病を乗り越える支えになってくれた動物病院。友人知人も大勢お世話になっている超ベテランの獣医師です。
受付で、「扁平上皮癌の可能性があると言われており、その確定診断を受けに行きたいと思っているが、今お世話になっている病院の先生は中立の意見しか言ってくれないので決断しきれない。何かアドバイスをもらえないか」と相談し、すぐにベテラン先生の診察に通してもらえました。

先生はたぬきちの鼻を一目見るなり、「これは扁平上皮癌やで」と発しました。
町の獣医にできるのはせいぜい癌に効くとされるサプリを処方する程度。
治療したい、治すために行動したいと思うのなら、さっさと確定診断を受けに大きな病院へ行きなさいとアドバイスを受けました。
この先生のひとことで私たち夫婦は背中を押された気持ちになり、早々に掛かりつけのご近所の動物病院を再訪して「やはり癌かどうか白黒つけたい。詳しい検査を受けたい。癌と判明したら可能な限りの治療を受けさせるつもりです」とお願いしました。
先生はすごくホッとした表情をしたように見えました。
「そうですね!わかりました!飼い主さんがそう決めたなら、私からも色んなご提案ができます」
きっと先生も心の中では扁平上皮癌だろうな~って思いながらも、それが言えなかったのでしょうね。

ご相談した結果、CTや細胞診(鼻の一部を採取して癌があるか調べる)を一度に受けられるようにと、私たちが通える範囲の総合病院を複数紹介いただき、それぞれの病院が持っている施設・通院のしやすさなどを夫婦で検討して、県内のとある総合病院への紹介をお願いしました。

割愛しますが、総合病院で受けた検査によってようやく「扁平上皮癌」と確定診断を受けました。この現時点で肺やリンパ節への転移なし。
2021年10月のことです。

とても経緯の説明が長くなってしまいましたが、次からは癌と戦うために取った行動について触れていきたいと思います。
まずはたぬきちとの出会い、保護、癌とわかるまでの間の出来事や私たち夫婦の心境などを綴りました。

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